goo

駿河土産 37 大国を治める法の事、治乱は天気と同じ事、加茂社人訴訟の事、他

(何もないので、台風接近の空模様。)

台風8号はだいぶヘタって、もうじき遠州灘沖だろうか。外は静かで風音もほとんど聞こえない。

長かった「駿河土産」を漸く読み終えた。江戸初期の武将たちの、戦争と平和の日々が色々と知れて、大変興味深かった。もっとも、このブログではあと四日ほど続く。さて、早速、駿河土産の続きを解読する。

(56)大国を治める法の事
一 権現様、駿府の御城にて、ある時、御夜詰に召し出されたる衆中へ、上意遊ばされ候は、大国を治めるは小鮮を煮るがごとしとはもっともぞ。国家の仕置き、何角と事多く、せゝり候へば、悪しきものとの仰せなり。
※ 小鮮(しょうせん)- 小さい魚。こざかな。
※ 何角(なにかと)- 何やかやと。あれやこれやと。いろいろと。
※ せせる - 箸で、食べ物をあちこちつつきまわす。


(57)治乱は天気と同じ事
一 権現様、駿府御城にて、ある時御夜詰の節、御近習衆へ仰せ聞けられ候は、世の治乱は天気と同じ如くなるものにて、晴かゝりたる時は、少々降りそうにてもふらぬ物ぞ。降りかゝりたる時は晴れそうにても降るものなり。治まりかゝりたる時は乱るゝごとくの義、これ有り候ても治まり、乱れかゝりたる時は、治まる如くに相見え候ても、乱るゝものぞ、との御咄しなり。

(58)加茂社人訴訟の事
一 ある時、加茂の社人訴訟の義を、本多佐渡守、上聞に達っせられ候えば、権現様、その公事の義は打ち捨て置き候らえ、との上意にてこれ有りたる由なり。
※ 公事(くじ)- 訴訟およびその審理・裁判。

右加茂の社人公事の義、打ち捨て置き候らえと上意これ有り候は、社人ども度々一揆がましき儀を仕り候ゆえ、田地なども亡却仕るごとくこれ有り候えば、自ら身体不自由に成り候えば、天下のため能き事なりとの御底意にてもこれ有るべきかとなり。
※ 亡却(ぼうきゃく)- 荒れ果てる。
※ 底意(そこい)- 心の奥にもっている考え。本心。


(59)公事の聞様の事
一 権現様、ある時、秀忠将軍様へ御物語遊ばされ候は、公事の聞き様は第一理非を正しくするが肝要なれども、理非よりは仕置に障らぬ様に心得らるゝが能く候との上意なり。
※ 理非(りひ)- 道理にかなっていることと外れていること。是非。
※ 仕置(しおき)- 江戸時代、刑罰に処すること。特に死刑にすること。また、その処罰。


(60)仕置肝要は万石以上の事
一 ある時、駿府御城にて、権現様上意遊ばされ候は、仕置肝要は万石以上の面々なり。たとい重罪有るといえども死罪には行うべからず。流罪にされるべきなり。跡目は半才の子たりともあらば立てるべきなり。人質をゆるすべからず、と上意これ有り候となり。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )