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二の丸美術館の鈴木コレクション

(二の丸美術館コレクション図録より)

夜、長崎から帰って来た。長崎滞在時間、23時間。この間に坂本龍馬の長崎を一回りしてきた。亀山社中-めがね橋-長崎まちなか龍馬館-出島-長崎奉行所(龍馬伝館)-大浦天主堂-グラバー邸-長崎県美術館と、丸山遊郭を除いてほぼ龍馬関連の見所はみて来た。しかし、その話はまた後日、書き込もう。

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日曜日、東海パルプ地名発電所跡を見学した後、女房と、気になっていた掛川市二の丸美術館の近代日本画展を見に行った。二の丸美術館は、いずれも掛川市が寄贈を受けた鈴木コレクションと木下コレクションを主な収蔵品として、掛川城の二の丸跡に建てられた美術館である。いずれのコレクションも、事業で財を成した掛川出身の実業家から寄贈を受けたもので、毎年一回、それぞれのコレクションの展覧会が催され、一般公開されている。今回の近代日本画展は鈴木コレクションの展覧会で、工芸品の木下コレクションはこの展覧会に続いて行われるという。

鈴木コレクションの近代日本画は44点あるというが、そのうち今回は36点が展示された。川合玉堂、横山大観、速水御舟、川端龍子、岸田劉生、伊藤深水、前田青邨、東山魁夷、奥村土牛など、日本画を語るときには触れないわけにはいかない有名画家の作品がずらりと並んでいる。一枚*百万もする日本画で、ニセモノが入る余地のないものなんだろうと思いながら、つい落款などに目がいく。

個人のコレクションを見ていると、集めた人の性格まで見えてきて面白い。どの絵も奇を衒ったものはなく、風景や静物や小動物を丁寧に書き込んだものが多い。見ていて心休まるコレクションである。有名展への出品作品は一点だけで、意欲的な作品というよりも、購入者を意識した画家の手馴れた作品群に見えた。真面目にコツコツ働いて、唯一の道楽として、自分が気に入った絵だけを買い集めてきたコレクションだと思った。

コレクションを一括して美術館に寄贈するというやり方は、コレクターにとっては賢明な方法だと思う。せっかくのコレクションも、相続した途端にバラバラに散逸して、コレクションとして残ることがないのが普通である。絵画の流通業者にとっては、相続のたびに絵が市場に出てきて商売が出来るから、美術館に入ってしまうのはうまみがなくなって辛いかもしれないが、一般庶民には、個人所蔵されて目に触れることのなかった日本画群が、観覧料200円で鑑賞できるのだから、大変ありがたい。
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