2016年3月26日(土) 3:00pm オーチャードホール
武満徹 ノスタルジア 13′
ヴァイオリン、扇谷泰朋
Int
マーラー 交響曲第6番イ短調 23′13′18′32′
山田和樹 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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ヤマカズ一連のマーラー初振り。これまでの5番まで一度も聴いてなくて今回の6番、お初で聴きに来ました。
柔らかい演奏で、強固なソナタ形式の副主題の柔らかさはヤマカズ独特のものと思う。半面それ以外のところは対比が今一つ明確に浮き上がってこない。全般にソフトな演奏解釈でした。ドライヴかけるところはかけたほうがソナタ形式のいわゆるフィルムが決まると思うのですが、彼の方針はそうではないのでしょう。緩徐楽章や弱音フレーズでのメロディーラインの美しさなどがよく聴こえてくる。曲想が次々とつながっていくようなところがあまりなくて音楽の積分的ヒート感は無い。ちょっと途切れながら進行するような箇所がありました。
第1楽章のタイムチャートは、提示部(Rあり)9、展開部7、再現部4、コーダ3、
スケルツォ、アンダンテの順番、フィナーレは序奏だけで6、
第1楽章からなにもかも破格な巨大さが際立つソナタ形式。いわゆるソナタ形式で編成やらなにやらこれほどまでに巨大化したものは他にあまりみたことがない。(だから聴きに来たのかと、)
昔、吉田秀和が今の日本では演奏困難といったのがこの曲だったと記憶するが、演奏は当時でも出来たのだが、プロオケでも当時のスキルレベルではまともな演奏がなかなか難しいといった意味合いだとは思いますけれど、確かに当時の国内オケでまともな演奏ができるのはN響だけだったと思います。今はどこでも誰でもする。と思いますがだからといって曲が簡単になったわけでなくてスキル的には相対的な克服感はあるものの作品自体が変容したわけでもない。
いたるところで活躍しなければならないソロホルンはかなり健闘、ノンビブで硬直な雰囲気ありますけれど際どい一本線、この作品には合っていると思います。
トランペット、トロンボーンはもっともっと手前のオーケストラ楽器群に覆いかぶさってくるぐらいの幅広なスケールでの峻烈なソロプレイが欲しいところです。
巨大編成でのインストゥルメント配置的パースペクティヴな奥行き感は出ていたと思います。
それにしても唖然とする巨大さです。GM卒業簡単ではありませんね。
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前半の武満は音楽の律動はほぼ皆無で、音楽というよりなにか音が川面の底に澱んで横たわっているよう。音楽に音楽以外の音が響いている感じで、音の律動は消されて、旋律はたまたま音で形成されている、そのように感じます。
おわり