2016年3月10日(木) 7:00pm サントリー
ブラームス 悲劇的序曲 14′
シュトラウス メタモルフォーゼン 25′
Int
ブラームス 交響曲第1番ハ短調 13′10′5′16′
ローター・ツァグロゼク 指揮 読売日本交響楽団
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シュトラウスをブラームスでサンドイッチにした構成。
ブラ1を聴くとよくわかるのですが、ツァグロゼクのスタイルというのは、経過句や主題の準備句、主題のクロージング句、これらの味わいが深い。非常に注意深く指示を与えていて、あまりテンポを落とすことは無い中、丁寧さが光るもの。それでいてメインテーマは切り込み鋭く、突き刺さるように先へ先へと進んでいく。この響きと構成感の対比が普段聴いている指揮者のスタイルと違っていて興味深い。
プログラムに舩木さんの解説があって、メタモルフォーゼンは、逆さ変奏曲、最初にエロイカの対旋律が疑似テーマ、等々、最後にエロイカの本テーマ、といったお話し。なるほどそういう心構えで聴くと面白さが倍増しますね。
演奏は峻烈なもので相当な猛速でこれまた切れ味が鋭い。テンポを緩めないものだが、時折、弦のふくらみをキラリと感じさせてくれる。印象深い演奏でした。
ツァグロゼクは1942年生まれでバレンボイムと同年生まれだが、作る音楽は随分と異なりますね。
退廃音楽が流行り始めたのは、かれこれ15年ぐらい前のことか。最初の頃デッカから多く発売があったと記憶します。当時、友はすっかりはまって、なんと、ものによっては口ずさむほど。ツァグロゼクの棒による音源も色々と発売されたかと思います。
今日のブラ1を聴いているとフィナーレ楽章の緩めないホルンのスーゥと退いていくような感覚というのは、なんだか面目躍如といった雰囲気で、現代もののオーソリティを感じさせてくれます。研ぎ澄まされた棒はお見事ですね。
見た目の棒の振り具合はアバドみたいなところもあります。音場の重心が下がらないあたりも似ていると思います。
日本に来る回数をもっと重ねてほしい指揮者です。
おわり