河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2069- アンサンブル・ノマド 55、ルツェルンから、2016.3.4

2016-03-04 23:31:21 | コンサート

2016年3月4日(金) 7:00-9:20pm リサイタル・ホール、オペラシティ

1.アッペンツェル民謡より、ユーツリ  2′
2.アッペンツェル民謡より、インナーローダー地方への挨拶  3′
3.八橋検校 乱     箏、木村麻耶   9′
4.ティチーノ民謡(ヴィンケルマン編曲)、ト短調のマズルカ  2′
5.アッペンツェル民謡より、アウサーローデンのガッガーリ  2′
6.アッペンツェル民謡より、にわとこの樹の下で  3′
7.奥州薩慈(古典本曲)   尺八、黒田鈴尊   6′
8.ヴィンケルマン 浄土からのメッセージ(2016)  世界初演 10′

Int 10′

9.グラウビュンデン民謡より、ロ短調のワルツ   2′
10.アッペンツェル民謡より、ロ短調のワルツ   2′
11.ペルツェル  変容する空間(2007) 世界初演   10′
12.三橋勾当 松竹梅(抜粋) 箏、木村麻耶 尺八、黒田鈴尊 鼓、島村聖香 13′
13.アルダ ソーソー・ツォイヤリ 2′
14.ワーグナー ジークフリート牧歌 20′

(客演)
ヴァイオリン、ヘレナ・ヴィンケルマン、原田亮子
ダルシマー、フローリン・グリューター
箏、木村麻耶
尺八、黒田鈴尊
鼓、島村聖香
トランペット、佐藤秀徳
オーボエ、林憲秀
クラリネット、伊藤めぐみ
ファゴット、奈波和美
ホルン、西條貴人、矢野健太
チェロ、松本卓以

佐藤紀雄 指揮 アンサンブル・ノマド


小編成によるジークフリート牧歌のプログラムに惹かれて来てみました。

結果的には大変に充実した演奏会。世界初演2本、和物3本、これらが聴きごたえあるものでした。
ルツェルンがテーマのようで、その地方の民謡が間に短く挟まれていて、2時間半近いコンサート。現代ものの場合、1曲ごとのセッティングに時間がかかるのですが、それを除いても十分な長さの演奏会です。
民謡を外すと以下のプログラムになります。

3.八橋検校 乱     箏、木村麻耶   9′
7.奥州薩慈(古典本曲)   尺八、黒田鈴尊   6′
8.ヴィンケルマン 浄土からのメッセージ(2016)  世界初演 10′
11.ペルツェル  変容する空間(2007) 世界初演   10′
12.三橋勾当 松竹梅(抜粋) 箏、木村麻耶 尺八、黒田鈴尊 鼓、島村聖香 13′
14.ワーグナー ジークフリート牧歌 20′


八橋検校の乱、この種の演奏会には通うことがまずありませんのでちょっと戸惑いました。最初のお辞儀のところですね。クラシックの演奏会では奏者が舞台に歩いてくるあたりでバチバチと拍手を始めて挨拶する方もそんな感じなのですけれど、今日は違う。お辞儀のタイミングは、座って形を整えてから聴衆を向き挨拶。普段から接している人にとってはあたりまえのことも、このように違うものかと。
静動静、激しくなる音楽、山ができて静まる。タイトル通りのもの。魅惑的なプレイで奏者も素敵です。

奥州薩慈、尺八とはこぶしの山か。こぶしを作るためにあるのではないかと思うぐらい。その見事さにほれぼれする。こぶしの芸術。節回しの芸術。

この日、民謡でヴァイオリンも弾いているヴィンケルマンの世界初演曲、浄土からのメッセージ、
明確な4拍子主体の曲。左サイドに陣取った箏、尺八、鼓、中央から右に並んだ洋楽器群、これらが音色の融合を魅せる。しなって進む和洋の音が融和していくようなおもむきで、気持ちをゆだねて聴くことができる。新鮮でした。もっと長くてもいいと思いました。ちょっとしりつぼみ的な惜しさがありました。
初演ものには欠かせない正確なスキル、ノマドの腕が光ります。

ペルツェルの世界初演曲、変容する空間。
大変に面白い曲で全部の楽器が打楽器風、ピチカート風で進みます。パチパチという音が空間にフレームを作っていく。音の響きの空間が明確に見える。今の現代音楽風味満載で雰囲気出ていました。ここでもハイスキルなプレイがうならせてくれます。

三橋勾当の松竹梅(抜粋)、
歌詞がついていますので木村さんが琴を弾きながら歌詞を歌います。そして鼓の島村さんも合いの手をいれます。グイッと引き込まれますね。血が騒ぐというかあまりの見事な緊張感あふれる3人アンサンブルに唖然。ファジーさが力強さに変わる。充実の演奏。この日は抜粋とのこと、全曲聴いてみたいです。

締めは13人編成のジークフリート牧歌、格別でした。一本ずつの線がよく見えて、それらの絡まり具合もよくわかる。比較的速めのテンポで研ぎ澄まされている。切れ味ありました。


民謡は街場の居酒屋で、といった雰囲気があって楽しいもの。ダルシマーという楽器も間近で見ることができました。
この中で一番ワンダーだったのが、アルダのソーソー・ツォイヤリ、とてもシリアスで厳しい作品でした。

オペラシティのリサイタル・ホールに来たのは初めて。音が拡散しながら響きあう感じで、ちょうど池袋の芸劇のサイド席で聴いているようなガチャ感がありますね。

最後まで楽しめた演奏会でした。
ありがとうございました。
おわり


第55回定期演奏会
 ~ドイツ語文化圏Vol. 3 :ルツェルンから~