2016年3月20日(日) 3:00pm トリフォニー
ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 10′
Int
メシアン トゥーランガリラ 6,7,5,10,11,11,4,11,4,7
オンド・マルトノ、原田節
ピアノ、児玉桃
大友直人 指揮 群馬交響楽団
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この作品の演奏は群響にとって初トライとの事。前日地元で、そして今日は東京でと、満を持しての公演と思います。
この曲は、前半フレーム、後半フレームの二枠があって、前半フレームは1と5、そのなかに、2愛の歌、3トゥーランガリラ、4愛の歌、という具合に、トゥーランガリラが愛の歌にサンドウィッチされる。後半フレームは6と10、そのなかに、7トゥーランガリラ、8愛の歌、9トゥーランガリラ、前半フレームと逆で、愛の歌がトゥーランガリラにサンドウィッチされている。
時間配分は、2,4,8の愛の歌が長くて、3,7,9のトゥーランガリラが短い。前半後半のフレームとなる1,5,6,10は概ね縁どり以上の長さですね。後半フレーム開始の6はスローテンポで速めればそこここにあるメロディーラインそのもの、シンプルさを追ったもので、愛のモード表現と言える。
演奏は全体に淡泊、展覧会の絵風な並列陳列物のように聴こえてきたのは、別にわるい話ではないのですが、ここらあたりのフレームワークを少し意識した棒であればさらに引き締まったものになっていたかと思う。例えば、弦の強い弾きを部分スタッカート風にしてメロディーラインを浮かび上がらせるとか、何か押しの技を使えば、メロディーの連関が、より強くわかるものとなっていたと思う。また、3,7,9のトゥーランガリラが弱い。特に7,9はこのオーケストラの初演奏という以上に指揮者の振り具合がまるで世界初演みたいに板についていない。7,9は特にパレットの複雑な光のあやが欲しい。全体にカラーな陰影が無い。単色での陰影はなかなか堪える。
1は不発、5は最良、10は刻みの彫が浅いのとフレーズの息が途切れる。1と10は団体の限界を感じるが、5はちょっと復調してストレートに伸びた。ここで終わりなんだというぐらいの強烈さがあればさらに伸びたと思う。伸縮でいうと全体を上から俯瞰した楽章ごとの伸縮バランスが配慮されていなくて今一つつながりに欠けた。
この指揮者も棒もたずですが、振りが大きく打点合わせは問題ないとしても、なんだか古風な振りですね。この瞬間天才技の作品には閃き型の鋭い棒が似合います。
児玉さんと原田さんは定位置です。児玉さんの8での鍵盤の上でのふさぎ込みもだんだんと見慣れてきました。
おわり