河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1996- ラインの黄金、五日目、新国立劇場、2015.10.14

2015-10-15 16:47:01 | コンサート・オペラ

2015年10月14日(水)  7:00-9:40pm  Opera Palace、新国立劇場、初台

新国立劇場 プレゼンツ
ワーグナー 作曲
ゲッツ・フリードリッヒ プロダクション
New production for opera-palace originally based on Finnish National Opera 1996

ラインの黄金  2時間29分 approx.
  第1場 23′(間奏の前まで)
  第2場 49′(〃)
  第3場 25′(〃)
  第4場 42+10′

キャスト (in order of appearance)
1.アルベリヒ、 トーマス・ガゼリ (Br)
2.ヴォークリンデ、 増田のり子 (S)
2.ヴェルグンデ、 池田香織 (Ms)
2.フロースヒルデ、 清水華澄 (Ms)

3.ヴォータン、 ユッカ・ラジライネン (BsBr)
4.フリッカ、 シモーネ・シュレーダー (Ms)
5.フライア、 安藤赴美子 (S)
6.ファーゾルト、 妻屋秀和 (Bs)
6.ファフナー、 クリスティアン・ヒューブナー (Bs)
7.フロー、 片寄純也 (T)
8.ドンナー、 黒田博 (Br)
9.ローゲ、 ステファン・グールド (T)

10.ミーメ、 アンドレアス・コンラッド (T)

11.エルダ、 クリスタ・マイヤー (Ms)

飯守泰次郎 指揮
東京フィルハーモニー管弦楽団


2015.10.1公演はこちら
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2015.10.10公演はこちら


この日は5回目の公演。
ローゲ役のグールドも少し疲れているのかもしれない。ちょっと歌がざらついたところもありました。ここまで2週間で5回ですから大変だと思います。それでも、みなさん余計なことをせず、喉や演技が絞れてきたとも言えますね。
飯守棒はさらに速度を増し、この日はこれまでの最速で2時間半を切りました。だんだんとこなれてきて、より滑らかな演奏となりました。特に第4場が顕著で、ドンナーの一撃の前までが滑るような演奏となり初日とはだいぶ異なる。


ヴォータンの魔力は契約で得た権勢なので、巨人に契約して建ててもらったお城の代金を反故出来ない、未払いすると自分の権勢契約が無くなる訳で、契約の世界。ただその払うものがフライアというあたりジェンダー問題が出てくる。いくらフリッカを片目を失って得たとはいえいろいろと厳しい。魔術で契約を破るという発想はないみたいだし、そうすると罰があるのかどうかわからないが、現代社会の縮図みたいな気もしますね、言われていることではありますけれど。

アルベリヒは腕を後ろに縛られてはいるものの手先や足は自由でローゲが片方のはじを握りながらコントロールしているだけ、つまりアルベリヒの手にある指環は彼の自由なコントロール下にある。それなのにその魔術を使うことなく手首ごとヴォータンの槍でもぎ取られてしまう。
どうしたものかと。

2場で宇宙服みたいな恰好だった巨人2人は4場では野球のアンパイアみたいなスーツ姿に野球帽みたいなものを斜めにかぶり、よくわかりません。
ドンナーのボクサースタイルやヴォータン一家の時折見せるスクラムと合わせなにやらスポーツ系リングみたいなところもありますね。

このヴォータン一家の並びですが、そのスクラムのときと、それ以外は、だいたい直線並び。リンゴ食べてない局面におけるフリッカ、フロー、ドンナーの並びをはじめとして、5人揃って直線並びとなるシーンもある。第2場の冒頭ヴォータンが設計図の上にうつぶせになって現れるシーンにおける丸みの無い背景など、どちらかというと幾何学模様仕様で進められていきます。
フローとドンナーの歌唱も素晴らしい。特に片寄のフローは艶と張りのあるテノールで、力強い確信に満ちた歌唱は湧き立つ場を静めるもの。

この日の公演ではピットのオーケストラにも大きな拍手が湧いておりました。こなれ具合がいいです。
日本語字幕も頭韻を踏んでいるのではないかと思えるほど、ワーグナーにすっかり毒され、ドンナー黒田の一撃で目が覚める、神々の入城は終わりではなく、さてそろそろリングが始まるそんな雰囲気を醸し出してくれた飯守棒はお見事でした。

以上 五日目