河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2006- ラフマニノフの墓、ルーム、猫、天使、小川典子プロデュース、2015.10.31

2015-10-31 22:22:28 | コンサート・オペラ

2006- ラフマニノフの墓、ルーム、猫、天使、小川典子プロデュース、2015.10.31

Oct 31,2015,  6:00pm  MUZA, Kawasaki

Le Tombeau de Prachmaninov  (Japan Premiere) 19′
Prelude,  Stephen Hough   3′
Fugue,  Alan Mills  4′
Forlane,  Peter Fribbins  3′
Rigaudon,  James Francis Brown  5′
Menuet,  Cecillia McDowall  2′
Toccata,  Takeshi Yoshimatsu  2′
Piano, Noriko Ogawa

John Cage,  A Room  3′
Prepared Piano, Noriko Ogawa

Yoshihiro Kanno,
Cat in the Box for Prepared Piano 4 Hands and 2 Toy Pianos (World Premiere) 8′
Prepared Piano & Toy Piano, Noriko Ogawa, Noriko Otake

Yoshihiro Kanno, 
The Remains of the Light Ⅲ, Angel’s Ladder for Piano and Computer 20′
Piano, Noriko Ogawa    Computer, Yoshihiro Kanno

2015年10月31日(土) 6:00pm ミューザ川崎

ラフマニノフの墓 (日本初演)  19′
プレリュード、 スティーブン・ハフ  3′
フーガ、 アラン・ミルズ  4′
フォルラーヌ、 ピーター・フリビンズ  3′
リゴードン、 ジェイムズ・フランシス・ブラウン  5′
メヌエット、 セシリア・マクドウォール  2′
トッカータ、 吉松隆  2′
ピアノ、小川典子

ジョン・ケージ  ルーム  3′
プリペアード・ピアノ、小川典子

菅野由弘
猫はしばしば箱に潜る (世界初演)  8′
プリペアード・ピアノ4手連弾と2台のトイ・ピアノのための
ピアノ&プリペアード・ピアノ、小川典子、大竹紀子

菅野由弘、 天使の梯子  20′
ピアノ、小川典子  コンピュータ、菅野由弘


ホールアドバイザー小川典子の連続した企画3回目の日、当日は3公演ありそのうち一番晩い時間帯のイブニング・コンサートを聴きに行きました。といっても、一連の企画お目当てではなく作品に食指が動いたピンポイントでのお出かけ。
休憩なしの1時間ものと書いてありましたが、演奏間にトークがはいりましたので、結局1時間20分ほどかかりました。新しい作品が多く興味深いコンサートでした。

作品は世界初演というのもありますし全部お初でお目にかかります。
最初の作品、ラフマニノフの墓。マンチェスター、ブリッジウォーターホールの委嘱作品で6人の作曲家による小品集。ラヴェルのクープランの墓へのオマージュ、今年の4月に同じピアニストで世界初演されたばかりという事です。
響きはラヴェルの様な趣きがあり透明なガラス細工模様がきれいに流れていく。これは小川のピアノによるところも大きいと思う。比較的強めのアタックながらうるさくならず、またあとをひかないサッパリ風な切り上げで、これは弾く前に一呼吸入れてまるで習字のときの息を沈めるような振りで緊張感を自分に強いているしぐさと締めの具合が良くバランスしていて気持ちがいいもので、このようなスタイルが演奏するに際しうまく反映されているからだと思う。
作曲家の中にはピアニストのスティーブン・ハフの名前も見える。自分の印象としては、ジェイムズ・フランシス・ブラウンのリゴードンが印象的だった。形式を失ったがために短い曲しかできないと思わせるような現代の音楽作品の中にあって、それとは別の思考による音楽を摸索しているように思えた。太めのガラス細工でジャングルジムのように隙間から先が見えるようでもあり、それでいて鉄の棒を意識させない。隙間があるがゆるくない感じ。
6作品を一つの作品とみてもアンバランスな感じは無く、統一された響きを感じさせるピースの集合体でした。良かったと思います。

ケージのルーム。大竹&小川によるプリペアード・ピアノのトークがあり演奏へ。
同じようなリズムの繰り返しで、事前にまさにプリペアされた長ボルト、大ボルト、中ボルト、ゴム付きボルト、ゴム、1セント硬貨(ペニー)などで押さえつけられたピアノの響きを楽しめる。その為のリズムだけの音楽作品と言えるかもしれない。

菅野さんの作品がふたつ。一つ目は世界初演の猫。
ピアノ連弾で、各奏者の右と左側に小さなトイピアノが一台ずつおいてあり、片手でピアノを弾きながらトイピアノも弾いていく。後半は左側ピアニスト大竹が立ち上がり歩きながら手拍子、ピアノのボディを手でたたいたり、弦をハープのように引っ掻いたりする。猫はしばしばピアノという箱に潜んでいるのかもしれませんね。
曲はストラヴィンスキー特有なリズムだけをピックアップしたようなリズミカルなものでそれがずっと続いていく。後半は描写音楽の要素が濃くなりはじめ、大竹ステップとなるわけですね。ピアノ、プリペアード、トイ、ステップ、盛り沢山な内容でした。

天使の梯子。メイン・タイトルが光の残像Ⅲとなっていて、武満の光に向かう梯子、その梯子をピアノが昇る。
全く沈んだピアノの響きから始まり、少しずつ浮き上がってくる。左手と右手が随分と離れている。だんだんと過剰と思える光、飛び跳ねる光、ダイナミズム、スライド状に大きくなるサウンドに乗じるようにコンピュータの響きが覆いかぶさって進行。
梯子を昇り詰めた人が上から、下を眺め、梯子を使ってだんだんと昇ってくる様を描いているような雰囲気を醸し出している。
コンピュータサウンドは最後7分ぐらいから。音量の増強に比例させるために使用したようなうがった見方も出来なくはない。光というよりも音の洪水のようになる。

1、2階センターにこぢんまりと聴衆がおさまっているコンパクトなコンサート。最後の曲が終わる10秒ぐらい前に1人席をかき分け退場しておりましたが、いくら知らない曲とは言え感覚的に終わりも近いのはわかりそうな中、これは演出かと勘繰りたくなるようなタイミングに苦笑しました。

とはいえ、曲間に解説をはさんだていねいな企画で理解が進む演奏会でした。
ありがとうございました。
おわり