2015年10月7日(水) 2:00-4:45pm Opera Palace、新国立劇場、初台
新国立劇場 プレゼンツ
ワーグナー 作曲
ゲッツ・フリードリッヒ プロダクション
New production for opera-palace originally based on Finnish National Opera 1996
ラインの黄金 2時間37分 approx.
第1場 25′(間奏の前まで)
第2場 50′(〃)
第3場 25′(〃)
第4場 45+12′
キャスト (in order of appearance)
1.アルベリヒ、 トーマス・ガゼリ (Br)
2.ヴォークリンデ、 増田のり子 (S)
2.ヴェルグンデ、 池田香織 (Ms)
2.フロースヒルデ、 清水華澄 (Ms)
3.ヴォータン、 ユッカ・ラジライネン (BsBr)
4.フリッカ、 シモーネ・シュレーダー (Ms)
5.フライア、 安藤赴美子 (S)
6.ファーゾルト、 妻屋秀和 (Bs)
6.ファフナー、 クリスティアン・ヒューブナー (Bs)
7.フロー、 片寄純也 (T)
8.ドンナー、 黒田博 (Br)
9.ローゲ、 ステファン・グールド (T)
10.ミーメ、 アンドレアス・コンラッド (T)
11.エルダ、 クリスタ・マイヤー (Ms)
飯守泰次郎 指揮
東京フィルハーモニー管弦楽団
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2015.10.1公演はこちら
2015.10.4公演はこちら
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この日は3回目。
第4場のブラスが大きくうねを入れていく感じで少し時間が増しました。
だいたい2時間20分過ぎたあたりでボクサースタイルのドンナー黒田が、この鬱陶しい空気を取っ払おうと、それまでのことを洗い流しにかかるそのくだりで、そう言われてみればたしかにこの2時間半は鬱陶しかったなぁと、ふと気がつく。それまでワーグナー魔術にすっかりはまってしまっていたんですね。ドンナーのグローブが地を叩き、ものすごい金属音と地鳴り、そして神々入城ワルツダンス、はないちもんめ。そこですっきりと終幕となるわけですけれど、やっぱりちょっとスッキリしないというか、ワルキューレの音形が響いているわけですから、いよいよリングが始まるという感興の中終わりをむかえる。
ワーグナーの筆の運びには唖然とするしかありません。
同じ第4場、アルベリヒはお宝も指環も全部ヴォータンに取られそして解放されて去る。ヴォータンがアルベリヒから指環を強奪する際にもいだ右手首指をローゲが拾い上げどうしたものかとうろうろする。ヴォータンの名状し難い立ち姿。その時、弦によるピアニシモがチリチリと弧を描いて弱音美の限りを尽くす。音の響きが心の動きと一致した瞬間。ワーグナーの心理描写、見事の一言に尽きる。
そしてこの響きはなぜか未来のブルックナー、マーラーを呼び起こさずにはいられない。
第1場ではアルベリヒと乙女、計4人。2場では第1場に出ていない8人。この14人の姿はきっちりとキャラクターに個性があり。見た目もフィギュアの置物が動いているようにさえ見える。愛着がわく置き物。
ゲッツの舞台はシンプルですが、人物それぞれに主張があり見た目も把握しやすい。巨人兄弟の動き表情は笑いを誘うもの、フロー、ドンナーの切り分けも明確。ヴォータンとフリッカの動きはどちらかというと二人の愛の方が勝っている感じ。尻に敷かれという雰囲気はない。
ローゲのグールドはもはや別個性。この日も素晴らしい歌唱で美しくもウィットにとんだテノールの声を満喫しました。
飯守棒のオケは特にブラスセクションが切れ味よりも海原、大河の様な流れが見事。プレイヤーもそちらのツボのほうにはまってきたのではないでしょうか。彼らもワーグナーの魔術にかかり始めたのかもしれない。もしかすると、早く残り三つをやりたいものだと思っているのかもしれない。
カーテンコール、ラインの乙女1人欠けました。
この日もありがとうございました。
以上、三日目