河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1760- プロコフィエフ、戦争ソナタ、イェフィム・ブロンフマン、2015.3.4

2015-03-05 01:33:38 | コンサート・オペラ

2015年3月4日(水) 7:00pm トリフォニー

プロコフィエフ  ピアノ・ソナタ第6番  10′6′5′7′
プロコフィエフ  ピアノ・ソナタ第7番  9′6′3′

Int

プロコフィエフ  ピアノ・ソナタ第8番  13′4′10′

(encore)
スカルラッティ  ソナタ ハ短調 K11  2′
ショパン  12の練習曲より第8番ヘ長調 作品10-8  3′

ピアノ、イェフィム・ブロンフマン


昨年、ニューヨーク・フィルと来日したブロンフマン(2014.2.12)。この日は単独のリサイタル。3曲まとめて戦争ソナタ。全体でもそんなに長いプログラムではない。
リサイタルに出かけることはほとんどないが、舞台にはピアノが1台だけ。始まる前は静謐とさえいえる。精神を鎮めて臨むのはプレイヤーのみならず聴衆も同じ。神経も呼吸も整えなければならない。前列中央席からは全て敏感に感じられる。ブロンフマンが出てくる前から。

戦争ソナタと言うのはこの作品順番毎にだんだんとエキセントリックになっていくのかしら。7番の3楽章はニューヨーク・フィルのときアンコールでやっていましたが、最後の爆な椅子の蹴散らし作戦が功を奏した見事なショーマンシップぶりでした。
この7番と言うのは全曲をこうやって聴いていると音の連鎖と言いますかチェーンの様につながっている雰囲気で、バランス崩さないようにするにはどんどん先に進めていくしかないような錯覚に陥る。

8番の第2楽章は思いの外、調性が柔らかく響く。これはなにかの回顧なのか、次の楽章では元に戻ったように聴こえるが、存外、別のロマンチックな音楽が隠れているような気がする。この8番だけフメクラーさんがついておりました。


明確でクリアでやや硬めな響きには一点の曇りもない。左手のひらを握りこぶしにして文字通り叩きつける感じの打撃音的な強烈なアクセントから、ガラスのような透明なピアニシモまで、音価レングスが正確、歯切れよろしく、音楽が波打つというより響きの連鎖。プロコフィエフの感情を排したような響きの世界に浸る。

アンコールのスカルラッティはガラスのような世界で美しく響く。

ブロンフマンは職人気質の芸風とはかなり距離があり、一瞬そのようにみえなくもないところもあるが、全て計算された意識されたもので実は理がかなったピアニストの様に感じます。ですので、プロコフィエフは気質に合った弾きやすいもの。理詰めでいけそうなものは割と楽だったりする、理系であれば。
こんな感じのプロコフィエフであれば、スカルラッティもショパンもプロコフィエフに聴こえてくる。頭の中がプロコフィエフになった一夜でした。
おわり