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色は白黒ですが、
限りなき繁栄の1940年代のアメリカ。
マンハッタン中心部の絵です。
第2次世界大戦なんて、
まるで、
なかったかのような、
未曾有の繁栄。
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人間の本能、
というより、
煩悩、
は、
狭い空間を求め、
限りなく空中にのびていくらしい。
集団のなかで、ひたすら高さという覇権を追う人間たち。
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広い土地で、平野で、
同じ目線で競うのは、
広すぎて、寂しくも、空しい。
混沌とした、限りなき混濁の中で、
上から下を眺めるときの気持は、
まさしく天上から睥睨する下界の人間たち、
である。
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あすこのビルのてっぺんから、
両手を広げ、
思いっきり上空にジャンプすると、
このスカイスクレイパーのなかを、
どこまでも飛んでいけるような錯覚に陥る。
実際には、何秒かの間に地面に落ち死んでしまうわけだが、
それでもいいから、
それまでの束の間の、
空中瞬間、
のようなものを味わいたい気持ちになったりすることがある。
雲海ならぬ光の海。
光の渦の先にはなにがあるのだろうか。
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