書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

「温家宝首相への好感『違う』 中国作家が香港から批判書」 から

2010年08月10日 | 抜き書き
▲「asahi.com」2010年8月9日9時11分。(部分)
 〈http://www.asahi.com/international/update/0808/TKY201008080070.html

 〈余傑氏〉 四川省出身。北京大卒。15歳の時、89年の天安門事件をラジオ放送で知り、人権意識に目覚める。98年、社会評論や随筆を集めたデビュー作「火と氷」が100万部超のベストセラーに。06年、中国のキリスト教活動家の代表として弁護士、大学教授らと共に当時のブッシュ米大統領とホワイトハウスで会見。08年、作家の劉暁波氏(2月に国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑が確定し、服役中)が起草した民主化を求める「08憲章」にも中心人物の一人として署名した。 (「3/3ページ」)

 この人には日本で一度会ったことがあるが、自身の旅行記でそこらへんの自虐左翼のように描かれてひどく心外だった。
 この人の、「宦官中国」を頂点とする国内分析の文章のおおかたは正確深刻、傑作だと思うが、もういっぽうのこの人の言論の柱、いっときの激烈な反日・仇日の言動は、あきらかに扇動目的の誇張と体制批判と揺さぶりの思惑を秘めていた。手段を選ばぬ義人の言はそうそう信じられぬ。

「中国:『広東語を守れ』広州でデモ続発 『普通語強要』ネットでうわさ」 から

2010年08月10日 | 抜き書き
▲「毎日jp」毎日新聞 2010年8月8日 東京朝刊。(部分)
 〈http://mainichi.jp/select/world/news/20100808ddm007030050000c.html

 先月初め、同市の諮問機関「人民政治協商会議」の委員が、広州テレビの使用言語を普通語に変更するよう市長に提案。「広東語が廃止され、普通語が強要される」とのうわさがインターネットなどで広まり、擁護運動に火がついた。中国では少数民族地域で使用言語をめぐる抗議行動はあるが、漢族の言語をめぐる住民運動はほとんどない。市当局は先月28日、テレビの使用言語について「変更はない」とうわさを否定した。

 中国王朝の版図を近代国家の領土と誤読して、“中国”なる領土の中の類似言語をみな「中国語(漢語)」とまず一括してからそれぞれの遠近の関係付けをするという逆さまの手順。まさに倒行逆施。ベトナムが10世紀に独立せず、仏領インドシナにもならず、辛亥革命まで中国の直轄領のままだったとしたら、ベトナム語も今頃は中国語の方言として分類されているだろう。

 広東語使用人口は華僑を含め約6700万人。広州市人口約1400万人のうち広州に戸籍があるのは約700万人。半数が地方出身者で、多くは広東語を話せない。香港も97年の中国返還後、大陸の影響が強まる中、普通語への反発は強い。
 
 だからベトナム語が漢語の方言ではないように、広東語は漢語の方言ではないんだって。たとえばイサーン語がタイ語の方言ではなく、ガリシア語やカタルーニャ語がスペイン語の方言ではないように。