くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「もじゃもじゃ」

2017-09-03 09:17:43 | 文芸・エンターテイメント
 以前東京で買った「結婚家族」をようやく読んだのが6月ごろ。別れた女と弟が結婚することになり、会場がなんと墓場! という巻頭の短編から、家族をテーマにしたどこか風変わりな本でした。
 同じ作者のもう一冊を読みたいなと思っていたので、図書館で借りてきました。
 渡辺淳子「もじゃもじゃ」(光文社文庫)。
 わたしは割と登場人物の名前をすぐ忘れてしまう方なのですが、もじゃもじゃ頭の彼は田中くん! 次のお見合い相手は韮崎さん! と、結構覚えていました。ついでにお見合いをしきるおばちゃんは中井さんです。田中くん憧れのお嬢さまは百合香。
 あっ、でも主人公を思い出せない……。

 主人公がわからないままだと説明しづらいので調べました。明美でした。同じ名前の友人もいるのに、なんで覚えていないのか……。
 で、明美は市で設置した結婚相談所に登録します。無料でお見合いができるとあって期待していた彼女に紹介されたのは、四つ年下でクリーニング店勤務、天然パーマで牛乳を毎日二リットル飲む田中くんでした。
 一緒にハンバーグを食べ、バッグについたクリームの相談をして、なんだか和める雰囲気だったのに、中井さんからの電話にはつい断りの返事をしてしまいます。
 それなのに、田中くんからもらった名刺を見てクリーニング店を訪ね、バッグを依頼し、ちょこちょこ会うようになる。
 中井さんからは新しいお見合い相手を紹介され、顔もいいし交際もスタートしたのに、なんだかぴんとこない。

 明美パート「私を悩ますもじゃもじゃ頭」、田中パート「おかんに捧げるバラード」、そして、中井の上司パート「かいつぶりの胸の内」(かいつぶりはこの相談所の名称)の三編で、彼らの姿を多角的に描いています。
 明美のお父さんが、顔だけはいいくだらない男で、彼女がそこに引きずられている感じ(顔のいい男に惹かれるためダメンズばかり付き合ってしまうとか、お母さんのことをしょっちゅう気にしているとか)が印象的でした。

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