くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「紙コップのオリオン」市川朔久子

2016-07-12 21:36:54 | YA・児童書
 すごく良かった! 市川朔久子「紙コップのオリオン」(講談社)。
 中学二年生の論里は、ふとしたはずみで創立二十周年記念行事の実行委員になってしまいます。
 親友の元気はともかく、くじで選ばれたあと二人は、外見に気を使わない独特な女子の水原白(ましろ)と、不良じみた河上大和。面倒くさいと思いながら、サボるわけにもいかずに参加しています。
 論理の母親は突然旅に出てしまい、個性的な妹の有里と血のつながらない父と生活して数ヶ月の間の出来事を描いているのですが、論里がどんどん責任に目覚めていく姿が頼もしい。
 はじめは乗り気じゃなかったのに、「キャンドルナイト」の提案をきっかけに、白や先輩に触発されて実行委員の中心になっていきます。
 白の一途さもいいんですよ。キャンドルで何を表現するか、という話し合いの場面が特に。
「大事だから、そんなに簡単に表しちゃいけないと思うんです」
 こういうのは、彼女にとってすごく勇気のいることだったと思います。それが伝わっているから、論里もどういうデザインにするか悩んだのでしょう。
 彼女のお母さんが言ったという「人の名前を軽んじる人は、人のことを大切になんかできない」という言葉、ずしんときました。
 紙コップで描く、キャンドルの冬の星座。
 イメージしただけでも、すごく印象的です。おすすめ。

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