くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「堂場警部補の挑戦」蒼井上鷹

2011-02-03 03:41:36 | ミステリ・サスペンス・ホラー
うう、今まで信じきれずにいたんですよ。だって、柿の種にチョココーティングしたのは好みじゃないんだもん。でも、この前、同僚が二人も「おいしいよ!」とおっしゃるので買ってみました。でも、買ったものを車に置いたまま手を出さずにいたのですが。
おいしいです。また買いたい。ロイズのポテトチップチョコレート!
蒼井上鷹って、これとタイプが似ていますよね? ミスマッチなようでかなりはまる。
「堂場警部補の挑戦」(創元推理文庫)、やっと買いました。なるほど、このタイトルは間違っていない。
いちばんおもしろいのは表題作。読み返して確かめたくなります。井口のマキへの思いが、なんとも言えませんでした。しかし、嫌な奴だぜ「敵」。
結構クールでありながらコミカルな堂場元警部補の活躍と挑戦が、とあるオチに向かって突き進むのがおもしろい。
途中で正統派ミステリーっぽい部分もあり、このラストはどうなのよと首を捻る部分もあり。
臼井が許せん臼井が。
個人的にツボにはまったのは、「三点リーダー」ですね。
でも、今後の「著者近影」はどうなるのかしら。身代わりの人はこれからも協力してくれるのかしら。
って、こんな断片的なことばかり書いては駄目ですよね。
「堂場警部補とこぼれたミルク」。このタイトルを理解するのに五日くらいかかりました。要するに「覆水盆に返らず」ってことですね。一体何があったのかは隠されていますが、マキとの仲が壊れたことが故事に引っかけてあるのでしょうし、ミルクをこぼすというのは確か、この言葉を英語で表したもののはず。
堂場警部補は、勤続二十年のベテランでありながら、ある事件で知り合ったマキ(二十五歳くらい?)と付き合うことに。捜査本部が解散してからも粘り強く真相を追う警部補だったが、実はその事件にはマキも深く関わっており……。
ラストの会話から、マキが事実を告白したこと、それによって堂場警部補は退職し、二人の仲も終わりを告げたことが示されます。
でも、それが真実であろうとも、この短編集はそんな警察小説ではありません。今野敏なら絶対こういう側面では書かないだろうと思われます(笑)
ギミックの妙ですね。
途中でこちらの予想がかなり覆されるので、正統派ミステリを好む人にはつかみづらいかも。
ネーミング自己パロディもあります。これは「4ページミステリー」にも取り入れられた技法ですね。
思うに、蒼井上鷹自身はスキンヘッドのいかつい男性ではないのではないかしら。もしかして、女性なのでは、と踏んでいるのですが。
「著者近影」見たことがないので、わたしの妄想かも知れません。
しかし、「九杯目では遅すぎる」が売っていませんよー。わたしの行く本屋にたまたまなかっただけなんでしょうか……。