くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「人はあなたの顔をどう見ているか」石井宏之

2011-02-04 07:40:22 | 哲学・人生相談
人は、あなたの顔を、どう見ているか。
おかげさまで年相応に見られるようになりました。新任のとき保護者と間違われたり、美人の同期と比べられて「人生って不公平なんだね」と生徒に言われたり(笑)。
そのせいか、若い頃に戻りたいとは思わないですね。人は付き合いを深めていく中で、相手の顔にも愛着をもつものだと思いますし。
この本の著者である石井政之さんは、「アザのあるジャーナリスト」です。
理想の顔と現実の顔の間にはギャップがある。自分にとって「アザ」のない状態を本当だと思うことは、間違っているのではないか。
整形手術が気軽に行われる韓国。日本でも同じようになればいいと感じている人たちもいるそうです。
わたしはそれが当たり前になる社会は、嫌だなあ。美についての価値観は、それぞれ違うと思うのですよ。
でも、美容整形を魔法のようなものだと思いこんで、それを受ければ全く違う自分になれると考えている人もいるようですね。でも、ちょっと目の感じを変える(二重にする)とか、輪郭を変えるとかで、そんなにガラッと変わるものではないんだとか。
さらに、もっと理想の自分に近づきたいとあがくのは、「理想の外見イメージ」と「もうひとりの自分」との間で揺れ動くことになります。
このあたりのことを読んでいると、外見すらも「自分探し」の要素なのかなと思ってしまいます。だって、本当の自分は、「もうひとり」の方ですよね。でも、「理想の外見イメージ」とのギャップに悩む。あるべきはず(と考える)の姿と、現実とはイコールでないのですから、苦しむことになるのです。
石井さんは、手術でアザを除去してはどうかとすすめられることがあるそうです。しかし、それがなくなるのは、自分が本来求めているものなのか。
コンプレックスを克服することについて、ヒントが見つかるのではないでしょうか。
さらに彼が考えるには、中高生が同じ制服を着ていることも外見の差別につながるのではないか、ということ。
違う体つき、違う身長、違う好み。街でならその人が選ぶ好みの洋服を着ることもできるでしょうが、学校ではみんなが同じ恰好をしている。だから、差異をつけようとして着崩したり改造したりする人が現れる。
学校の中にいると、あまりそういうことを考えたりしないですね。わたしにとって制服はありふれた風景なので。
先日、あるネット相談で、自分の顔が嫌でたまらない、醜いと言われて学生時代は距離を置かれ、最近は仕事もやめることになったという投稿がありました。
結構ショックでした。顔って、第一印象よりもその後の付き合いの方がなじみやすくなると思うから。
わたしは、あまり自分の外見に価値をおかないように考える方ですが、前述の「不公平」発言をした子に「自分の顔が嫌いではないからかまわない」と答えたら、「えーっ、目が悪いんじゃないの」と言われました。
たしかに目は悪いですが(笑)、でも、人と比べてもねぇ。世界がみんな同じ顔だったら、つまらないと思いますけど。
うーん、わたしは「モテることが人生最大の価値」タイプの人とは友達になれないので、とくにそう思うのかも。いつまでも思春期みたいなこと言ってられないし。
はっ、この本はまさに思春期対象なのでした。渦中で悩む人も多いでしょう。でも、どうして「理想の外見イメージ」を求めなかったるのかというと、人に認められたいからでは。
まず自分を自分として認めることから始まるのではないかな、とそう思いました。