くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「リトル・フォレスト」五十嵐大介

2011-02-12 13:16:27 | コミック
ずっと前から気になっていたんです。
でも、どんな内容なのかと踏ん切りがつかなくて。食に関するまんがで、岩手出身の実力派の方が描いていることは知っていたのですが、ちょっと手を出しにくかった。
先日、一関のK書店に行ったら、あれほど探しても見つからなかった三浦さんの「完本モザイク」も「師・井伏鱒二の思い出」も売っていて、おぉっと思ったその隣にこの本があったのでした。岩手にちなんだ作家特集だったようです。
五十嵐大介「リトル・フォレスト」(講談社)。
主人公のいち子が住む「小森」という集落の生活を描いています。タイトルは、この地区名を英訳(?)しているんですね。
母親と二人で暮らしていたいち子でしたが、その母親が高校生のときに突然失踪します。朝、雪かきを手伝わなかった。「ばっけみそ」のために雪の下から蕗の薹を探してほしいと頼んだのが最後でした。(二十歳になったときに手紙は届いたそうですが)
料理が上手だった母親。記憶を頼りに思い出の料理を作ることがあります。グミのジャム。青菜の炒めもの。ウスターソースとヌテラ(自家製)。
一度都会に出ながらも、小森に戻ったいち子は、友人のキッコやユウ太、近所のおばさんたちと四季を過ごします。
二色のケーキを作ったりストーブでパンを焼いたり、田舎暮らしでもこういう食事なら楽しそうだなあ、と思うようなオシャレな献立もあります。朝からフリットをあげ(夜は天ぷらだって!)、サンドイッチを作る。小豆を煮てスコーンに入れる。キャベツや大根をお菓子にできないかと試行錯誤。
小森のモデルになったのは、衣川の大森地区だそうです。比較的近いのでこの生活様式はよくわかる。うちの実家も煙突のあるストーブたいてたな。そうそう、えびもち食べるよね。じゅうねもちがあるあたりが岩手だなあ。ふすべもちは、もう知らない人も多いのでは。でも、あまじょっぱいなっとうもちは想像がつかん。(もちの話題が多いのは、岩手県南でもち文化が地域興しとして盛んだからでしょう)
なんといっても「(カブトムシの幼虫が)ワラワラ出てきた」という表現に笑ってしまいました。言う言う! よそでも使いますかね群れをなして続々と出現するこの感じ。
「ひっつみ」でナンみたいなものが焼けるというのも驚きです。
うちでもみそは作っていますよ。わたしが作るわけではないですが。ばっけみそもおいしい。
実家ではあけびのつるを家の前に伝わせていたので、秋になると部屋からもいで食べたものです。もうその部分は取り壊してしまったので、十年以上食べていません。懐かしいな。