百田尚樹氏と橋下徹氏との罵り合いのバトルに象徴されるように、最近は左右を問わず罵倒し合うのが普通になってしまった。冷静であるべき保守派までもが、その渦中に巻き込まれてしまっている。マスコミもまた例外ではない、安倍内閣を批判するにあたっても、単なる嫌がらせである。子供の喧嘩のレベルなのである▼オルテガは『大衆の反逆』(桑名一博)において「議論の際に考慮すべき幾つかの究極的な知的態度に敬意を払わないところに文化はない」と書いた。この本が世に出た1930年の時点でも、討論が成立しない事態が起きていたのであり、今日ではそれがより深刻化しているのである▼「日常の会話から学問を経て議会にいたるまで、客観的規範に対する敬意を前提としているいっさいの共存形式が嫌悪されている。これは規範のもとでの共存である文化的な共存を見捨て、野蛮的共存への逆行を意味している」とのオルテガの言葉は耳が痛い▼「敵と共存する」ことを許さない社会的な風潮は行き過ぎである。保守派の私たちだけでも「文化的な共存」を心掛けるべきではないだろうか。いかにそれが困難ことであろうとも、自分以外の他者を切り捨てるのではなく、討論を通じて理解をする努力を怠ってはならないのである。
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