ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

明るく生きる理由、乙武洋匡さんに学ぶ

2013年04月29日 | 研究・書籍

『五体不満足』を書店で見たとき、まずビックリしたのが表紙の写真だった。電動車椅子でさわやかに微笑む青年、乙武君。当時早大3年生。あれから15年・・。今37歳の彼の新著『自分を愛する力』(僕が明るく生きられる理由)を久々に手にする。

誤った障害者観は打ち破ったが・・

『五体不満足』が話題になった当時は、多くの人が「障害者=かわいそうな人」と思い込んでいた。その固定観念を打ち破りたい、の気持ちで乙武青年は『五体不満足』を世に出した。ベストセラーとなり多くの人に読まれたため今度は、「なんだ、障害者は苦しんでなんかいないのか、という誤った障害者観を広めてしまう結果となり、あくまで僕は一例であり、みずからの障害を受けいれることができず、苦しんでいる方もいる」とアナウンスをし直す必要性を感じていると『自分を愛する力』では述べている。

出産時に母親のショックを憂慮して、病院側が「黄疸」を理由に一ヶ月後に母子を対面させた。周囲の緊張をよそに母親は泣いたり取り乱したりせず素直に「かわいい」と第一声を発した。このことは『五体不満足』と同じように新著『自分を愛する力』でも触れられている。乙武洋匡さんが、終始しっかりと「自己肯定感」を抱いておられる理由のベースに、お母さんの「かわいい=温かい命の肯定感」があったことは大きいのではないかと思う。

「遠出→義手・義足をつける」(周囲の奇異な視線対策)
「近所→ありのままの姿」

これも身近な人たちへには特に理解と協力は必要と考えた幼い障害児をもったお母さんの知恵だった。子育て本としても参考になる内容です。

「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞの詩の通りの生き方を実践している乙武洋匡さん、彼から学ぶものは多い。本書では「障がい者」でなくあえて?「障害者」で記述していますが、その辺も何か乙武洋匡さんらしさを感じた。

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自分を愛する力 (講談社現代新書)
乙武洋匡
講談社
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