ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

環境・自然重視「スモールな経済」を

2013年04月06日 | 研究・書籍

E・F・シューマッハ―(1911-1977 ドイツ、ボン生れの経済学者)の主著、「スモール・イズ・ビューティフル(人間中心の経済学)」を読んでみました。著者は1970年代に起きた石油危機をその10年以上前から予測して有名になった人物。「スモール・イズ・ビューティフル」は1974年の作。

本書を手にとったきっかけは、緑の党GreensJapanの支持者からの強い推薦によります。彼、A君によると「『スモール・イズ・ビューティフル』は、緑の思想の根幹をなす考え方がいろいろ詰まった本であり世界的にもこの本に影響を受けたグリーンズは少なくない」とのことでした。

思っていたより難解で、途中、何回も居眠りしてしまった。本篇よりもむしろ巻末の訳者、小島慶三(1917-2008 埼玉県羽生市生れ。元参院議員・新緑風会)の解説が分かりやすかった。

シンプルな中間技術の普及を

A君も言っていたがシューマッハーのこの本が強く主張したいところは「中間技術」なのだという。むずかしい技術でなく、誰もが簡単にアクセス(操作・修理)できる技術、たとえばソーラー技術分野なら、太陽熱でお湯を沸かす温水器のようなシンプルな技術をイメージしています。これをできるだけ広く普及させることが「スモールな経済」なのだと。大量生産でなく大衆による生産体制。スモールの思想の実例としては、大企業の税金を免除する代わりに株式をなかば準公有にし、さらに社会評議会的な構想を考えている。・・本書の主張は「シンプル」ですが、やはり読みこなすには難解な本です(笑)

シューマッハーは、これまでの経済学を宗教と表現している。問題は経済ではなく文化にある。生活の水準ではなく、生活の質(=文化)にある、と再三述べています。

少しもビューティフルでない安倍政権

ふと眼を現実の日本に転じてみると、現政権は7月参議院選挙まで、「経済」優先の工程表で乗り切るかまえだ。国民大衆の目先の利欲願望に照準をうまく置く。いずれその先は原発の再稼働に留まらず新規増設へと突き進む。安倍内閣の政策とシューマッハーのスモール・イズ・ビューティフル思想とはまったく正反対であることが本書を通じても読み取れます。

シューマッハーは国有化ではなく私企業所有の優位性を認める。さらにその抵抗力として労働組合の存在にも期待する。貪欲と嫉妬による経済成長が無限につづくことは、資源の保全、自然環境の面から決して好ましいものではないと警鐘を鳴らす・・。

 

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スモール イズ ビューティフル (人間中心の経済学)
E・F・シューマッハー
講談社(講談社学術文庫)
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