今年は群馬大学の早川由紀夫教授の精力的な汚染マップの発表ですいぶん事実が確かめられましたが、今度の全国分布マップ=写真=は、名古屋大学の安成哲三教授と、ノルウェーの大気研究所のチームによって作られたといいます。
原発事故は収束していない。6千万bq/h放出中
このマップによりますと北海道を含め、ほぼ「東日本大震災」の名称通りの東日本全域に汚染は広まっています。単位は土壌1キログラム当たりのベクレル値(米科学アカデミー紀要提供)。これからも汚染マップの改訂版は必要です。まだ東京電力福島第1原発は収束していません。今も毎時0.6億ベクレルの放射能が漏れ広がっています。
昨日まとめられた政府の事故調査・検証委員会の中間報告も形式だけのものでした。「地震」でなく「津波」による事故原因の帰着だけは強く示しています。他の現存する原発への地震による危険性を関連付けないためにも「津波」説だけは死守したかったのでしょう。
SPEEDIとヨウ素剤の責任は誰なのか
そんな検証委員会とは一体何なんなのでしょう。もっとも検証委員会委員長の畑村洋太郎・東大名誉教授は原発推進の御用学者の一人。失敗学が専門でも原子力の専門家ではないし着任した早々から「個人の責任は一切追及しない」と腰が引けていました。個人の責任も含めてすべてを検証されないとなれば何のための検証作業なのだろうかと思っていましたがやはりその通りの報告書に。誰がSPEEDIの活用とヨウ素剤の使用に反対したのか、肝心なところが一切抜け落ちています。こんな“御用検証委員会”の報告より、むしろ朝日新聞の追跡シリーズ記事「プロメテウスの罠」の方がずっと核心に迫っていて発表も速いものでした。そもそも政府が畑村氏のような人物を委員長に担ぎ出すという人選からして甘かったといえます。