ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

アメリカ・インディアン悲話から学ぶ

2011年12月10日 | 研究・書籍

毎週火曜日の20:30~21:00はラジオ(NHK第2)を聴いています。アメリカ先住民、インディアンの歴史が放送されている。講師は阿部珠理先生。声だけ聞いているとやや乱暴で早口、中性的なフェミニストの感じがしタレント研究者の田嶋洋子氏のような人かと思っていた。テキストにも紹介されているが声の印象とはちょっと違っていたかな?=写真。

もしアメリカの歴史にイフ(if)があったらなら・・

もしインディアンが、白人がやってきたとき民族として大同団結していたら北アメリカ大陸は植民地化されていなかったのではないか。当時、北アメリカのインディアンの数は1千万人、数では圧倒していた。もし、結束して戦ったなら勝っていたかもしれない。いずれにしてもイフは起きなかった。。

インディアンは民族意識よりもそれぞれの部族意識が強かった。そのため300から500の部族がばらばらで外来侵入者の白人に立ち向かっていった。ラコタ・スー族だけ見ても白人との条約を受け入れた友好派チーフ(酋長)レッドクラウドと、あくまで伝統を重んじる徹底抗戦派のシッテングブルーに分かれた。シッテングブルーは、リトルビルホーンの戦いで、カスター将軍率いる第七騎兵隊を破った勇士である。

カスター将軍は南北戦争の北軍の英雄。彼の死は、白人社会の反インディアン感情を一気に高揚させた。「カスターを殺した男」のスー族・シッテングブルーは、国定忠治にも似た慈悲の長(おさ)として部族内の信頼は厚かった。保留地も次第に狭められていく中でシッテングブルーは「人間は自立しなければ尊厳は保つことはできない。友好派のように白人からの食糧支給を頼って生きているようでは犬でも狼でもなくなってしまう」と語った。植民地支配を拒否する強い言葉だ。わが国の昨今の食糧政策をもチラっと連想する・・。

アメリカ・インディアンの悲しい歴史からひるがえって日本に目を転じると・・

日本は、黒船がやってきた時すでに徳川幕府下で天下(国内)統一はなされていた。江戸の人たちは部族意識よりも日本民族としてのアイデンティティが確立されていた。そのことが白人側の狙い、領土領民を「分断して統治する」という定石の手の内にはまらずに済んだのだろう。

さらに、アフリカ、アジアへと目を移すとどうだろうか・・

19世紀アメリカ大陸の先住民の歴史をたどると、今日的な社会状況の意味するところを知るヒントも含まれているように感じる。まさに歴史再発見だ。

次回最終章は「先住民文化の世界への発信」。

12月13日(火)20:30~21:00(再放送14日10:00~)ぜひお聞きを。

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NHKカルチャーラジオ 歴史再発見 アメリカ先住民から学ぶ―その歴史と思想 (NHKシリーズ)
講師 阿部珠理(立教大社会学部教授)
NHK出版

 

 

コメント (2)
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