魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

カタグロアゴナシ

2022年08月25日 16時05分02秒 | 魚紹介

今日は部屋の水槽のサンゴをご紹介しようと思ったのだが、今日は以前我が家にやってきて、紹介できなかった魚をご紹介。スズキ目・ツバメコノシロ科・ツバメコノシロ属のカタグロアゴナシ。実はこの「魚のぶろぐ」でツバメコノシロ科の魚を紹介するのはこれがはじめてである。なお、「コノシロ」と名前がついているのだが、ニシン目・ニシン科のコノシロとは全く関係がないので注意が必要。

カタグロアゴナシの特徴のひとつは鰓蓋後上方に目立つ黒色斑があること。よく似た黒色斑を有するものに、Polydactylus microstomaというのがいるが、この種については胸鰭遊離軟条数が胸鰭の遊離軟条が5本であることが特徴である。

写真ではわかりにくいが、カタグロアゴナシの胸鰭の遊離軟条数は6本であり、前述のP.microstomaとは見分けることができるだろう。この胸鰭の遊離軟条数はツバメコノシロ科の同定に役に立つ形質のひとつであり、ツバメコノシロでは5本、本種とナンヨウアゴナシについては6本である。そのためこの仲間を確実に同定するのであれば、この遊離軟条数を見なければならない。なお日本産で唯一のツバメコノシロ属でないツバメコノシロ科魚類である、ミナミコノシロでは胸鰭遊離軟条数が4本であるという。

日本では1999年ごろに宮崎県から日本初記録魚種として報告されている。宮崎では門川湾や南郷の定置網により漁獲され、そこそこ獲れているのかもしれないが、ほかは鹿児島県からの報告がある程度で数が少ない。分布域は東インド洋~ニューギニアまでで、西インド洋では別種に置き換わるようである。またP.microstomaはインド~タイ、台湾くらいまで見られるので、近い将来琉球列島や九州の南部沿岸で見られる可能性はあるだろう。

今回のカタグロアゴナシは宮崎県門川の定置網で漁獲されたもので、和田正昭さんから頂いた個体。いつもありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする