先月の終わり。北海道は羅臼から珍しい魚が届きました。羅臼というのはどこかというと...
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頭鰭のところ、赤い「丸」がついているところです。北海道は世界遺産の知床のほか、水産物も有名でコンブやサケ、タラなどが漁獲されるのです。今回は羅臼に在住しているお友達から素晴らしい魚をおくっていただきました。
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ソコダラ科・ホカケダラ属のムネダラ。ソコダラの仲間では大きくなるもので1.8mを超えるとか。生息地はほかのソコダラと同じく深海ですが、この種は水深140mの場所でも見られるとのこと。ホカケダラの仲間にはシンカイヨロイダラという種も含まれるが、この種はなんと水深6900mをこえる深海底からも採集されているそうだ。このムネダラも深い場所では3000mを超える水深でも見られるらしい。
ムネダラが含まれる属についてはいろいろ言われている。最近はムネダラ属の学名にAlbatrossiaという属学名が採用されることがあるが、中坊・甲斐(2013)によれば、本種の帰属については詳しい検討がなされておらず、現状はホカケダラ属としておくべきであろう。
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同じソコダラ科のトウジンは、スズキやオオクチバスなどの釣りのときに使用する、俗にいう「バスもち」なる持ち方でもつことができたが、本種の大型個体ではそれができない。これをやっていたら、手をけがしてしまったのだ。それほど鋭い歯をもっている。ソコダラの仲間はほかのタラの仲間同様に海底の生物を色々捕食する。ちなみにこの歯は上顎が2列、下顎が1列であり、上下とも2列である同じ属のヒモダラと区別することができる。下顎には小さいがひげがある。
ムネダラは北海道の羅臼だけにすんでいる種類ではない。房総半島~北海道の太平洋岸の深海にも生息していて、深海のメヌケなどを釣るときにはたまにかかってくるようだ。水中での色彩は不明だが釣りあげてしばらくしたときの体の色は灰色。しかしながら、一度冷凍してしまうと写真のように茶色に変色してしまうのかもしれない。この個体は冷凍の状態で送られてきたのである。
ムネダラはたしかに深海の釣りでは「外道」扱いされ、人気がある魚とはいえない。しかしながら最近の「深海魚ブーム」でこのような深場の魚にもライトがあたるようになった。底曳網が盛んな地域では古くから食べられてきたものだが、それもいまや全国区。ブームにのるというのははやりものに乗っかるような気もして微妙なとこだけれど、これまで捨てられていた魚に光が当たるのはよいことといえるかもしれない。
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ホイル焼き。今回のムネダラは、かなり水分が多く身からかなりの水が出てきた。これがムネダラの身の特徴なのか、それともこの個体は偶然そうだったのかは不明。水っぽくはあったのだが、やわらかくて美味であった。
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肝臓。つぶしていないものとつぶしたものの2タイプ。肝の味はかなり濃厚。
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こちらは胃袋と生殖腺。これは酢の物にして食べる。
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最後は汁物。身は白身で美味しいものであった。先日鍋に入れていたほかの魚からもよい出汁がとれた。