魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

コオロギ

2023年02月25日 21時32分07秒 | 魚介類以外を食べる

最近コオロギ食についてニュースサイトなどで見ることが多い。コオロギクッキー、コオロギパンなどいろいろ種類があるようだ。その「原料」の供給は、というと各企業がコオロギの養殖に取り組んでいるのだとか。コオロギは「タンパク質がとれる」とか「省スペースで養殖可能」などいい話を強調するが、最後には見慣れたようなアルファベット4文字「SDGs」につながっていく。

ただ「コオロギなどの昆虫食=SDGs」というのは違うと思う。確かに低いスペースで養殖できるし、餌のコストもニワトリや獣類よりはずっと低いだろう。しかしながら日本には昆虫食には抵抗がある人も多いし、甲殻類アレルギーの人は食べられない。6年ほど前にデュビアというゴキブリの一種の料理を某イベントでみた母氏は大声をあげながらどこかへと消えてしまったし、その会場で私が購入した乾燥ヨーロッパイエコオロギ(上の写真)にも一切手を出すことはなかった。つまり、昆虫食が根付いていない地域、昆虫食に触れてこなかった人に安易に昆虫食をすすめることは難しいのである。また日本に古くからあった昆虫食文化というのはほとんどが野外で昆虫を採捕して食してきたものであるが、今や昆虫の住処は埋められ消えつつあるし、農薬も撒かれるなどしておちおち昆虫食に手を出しにくくなっている。本当に昆虫食を推進したい、昆虫食はエコ、などというのであれば昆虫が住めるような場所を復活させるようにするべきなのだが、この国の政治家や行政、大企業はメガソーラー推進にハコモノ作りにご熱心...。

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日本のアカグツ属

2023年02月17日 14時33分00秒 | 魚紹介

昨日、Twitterでアカグツ属について疑問がある方のツイートが私のタイムラインに流れてきた。アカグツ属の同定については写真から難しいこともあるのだが、現状では日本産のアカグツ属魚類はアカグツ、オキアカグツ、ヘリグロアカグツ、トゲアカグツ、テンジクアカグツ、ヒメアカグツの6種と少ないのでポイントを押さえれば同定困難というほどでもないと思われる。なお、トゲアカグツとテンジクアカグツはよい画像を有していないので、申し訳ない。

●アカグツ

この属の中では最も多くみられる種類である。胸鰭は13軟条で胸鰭の縁辺は黒くない(この個体は尾鰭の縁辺が黒いがふつうは黒くない)。ただし、Fishbaseではアカグツの学名を検索していると、アカグツのような、テンジクアカグツのような不思議な色彩の個体が出てくるのである。これはおそらくアカグツとは違うのだと思うが、確証は持てない。腹部はつるつるではなく、微小なビロード状の棘が密集し、触るとざらざらしている。そのためオキアカグツやヒメアカグツなどと見分けられる。背面の模様はアカグツにもオキアカグツにもあるため、これで見分けることはできないだろう。

本種の分布域は新潟県・青森県太平洋岸~九州南岸までの各地である。「講談社の動く図鑑MOVE 魚」に掲載されたのは京都府産の個体である。写真個体は鹿児島県産であるが「鹿児島大学には九州南岸から得た標本がない」と魚類検索第三版にある。ただし実際にはぼちぼち漁獲されているようだ。もっとも、ほとんど水揚げされていないのではないかと思われる。私もアカグツは食べたことはない。消化器官の中にはたくさんの線虫がいるが、これはおそらく消化能力の弱い(と思われる)本種が好むカニやエビなどの甲殻類の消化を助けているのかもしれない。なおこの線虫はほかのアカグツ属魚類にも見られる。

 

●オキアカグツ

アカグツに似ている種である。長崎など東シナ海からくることがある。たとえば長崎「印束商店」さんでアカグツを購入すると、本種であることが多い(逆に私は長崎産のアカグツは見たことがないのでもしいたら教えてください)。背面には特徴的な模様があるが、アカグツにも背面に模様がでる個体が多いため、あまり参考にはならない。

アカグツと違って腹面はすべすべしているので見分けは難しくはない。また胸鰭軟条数も14~15とやや多いので、その点でもアカグツと見分けられるかもしれない。なお、生息水深は100~360mほどとされている。分布域については、長崎のほか、千葉県館山や九州-パラオ海嶺からの報告もあるようだ。ごくまれに釣りなどにより漁獲され、食用になり汁物で美味である。アカグツでは腹面に微小棘があるため皮を入れることは難しいが、本種の場合は腹面に棘がないので腹面の皮なら入れることができる。胃もよく洗って鍋の中に入れると美味しい。なおアカグツ類の線虫はいわゆるアニサキスとは違うようで無害であり、胃袋を突き破り筋肉内に入ることはない。

 

●ヘリグロアカグツ

アカグツに似ているのであるが、胸鰭、尾鰭、臀鰭の縁辺が黒いのが特徴とされている。ただし、Fishbaseでアカグツとされる個体であっても、このヘリグロアカグツのように胸鰭や尾鰭の縁辺が明瞭に黒いものもいる。今後アカグツ属魚類の再検討が必要であろう。分布域は宮崎県、東シナ海であり、遠隔地の産なのであまり手に入らないが、某サイトに掲載されているヘリグロアカグツの小型個体に似たものを2010年に宇和海で採集している。未記載種である。

 

●テンジクアカグツ

テンジクアカグツはヘリグロアカグツに似たところがあるが、腹部に大きめ(背面の棘の半分くらいの大きさ)の棘があるのが特徴。残念ながら写真はない。東シナ海の遠隔地にすむらしく、日本にはほとんどいない、と思いきや近年鹿児島県から2匹相次いで獲れている。その個体(お魚三昧生活 テンジクアカグツ)では、背面の胸鰭の縁辺が薄く黒っぽくなっているのが特徴である。ただ、「日本産魚類検索」で記されている「胸鰭と尾鰭縁辺に黄褐色横帯がある」とされる特徴は見られない。この特徴はFishbaseで掲載されているものに見られる特徴であるが、もしかして複数種いるのではないのだろうか。

 

●トゲアカグツ

トゲアカグツはテンジクアカグツに似ていて腹部の棘が大きいのが特徴とされる。ヘリグロアカグツ同様未記載種であり現在研究が進められていると思われるが、この種はめったに見られないため分類学的研究が進んでいないということもありうる。国内からは九州-パラオ海嶺からの記録はあるが、沼津市戸田沖の駿河湾からも腹面の棘が大きな個体が漁獲されている。この種についても残念ながら画像はない。

 

●ヒメアカグツ

ヒメアカグツはで全長10~15cmくらいである。腹面に小棘がなく、オキアカグツのような模様がないのが特徴である。私が入手したものはまだ小さめだったためか、背中が若干もりあがっていた。千葉県銚子~土佐湾までの太平洋岸、シナ海、インドー西太平洋にすみ、底曳網では水深458m以浅から漁獲されている。写真の個体は150~180mくらいの海底で漁獲された。小型種でありあまり食用とはされない(もっとも、アカグツ属自体はほとんど食用にされないのだが)。

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カンムリベラ

2023年02月14日 01時21分52秒 | 魚紹介

最近忙しくてぶろぐ更新ができていませんでした。

さて、今回は八丈島からやってきたスペシャルな魚のご紹介。スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・カンムリベラ属のカンムリベラ。この個体は,Facebookを通して友人となった八丈島の高橋晃雄さんよりいただいたもの。ありがとうございました。また八丈島にお伺いしますのでその時はお相手お願いします。

 

カンムリベラは緑色(写真は黒っぽく見えるが)の体をしていて、大型個体はコブが出てくる。そのためアオブダイなどと間違えやすいが、アオブダイとは異なり歯が歯板を形成しないので見分けられる。

本種が含まれるカンムリベラ属の何種かは背鰭が若干伸びる。本種も背鰭の第1棘が長く伸びているが、幼魚や若い個体は伸びていない。

尾鰭はブルームテール、つまりホウキのような尾鰭となっている。この特徴でベラの仲間のほかの多くの種と見分けることができる。ただし若いうちはこの特徴が出てこないのである程度大きくならないと見分けられないだろう。

浅いサンゴ礁や岩礁域をウロつき、甲殻類などを食うので磯釣りで時々釣れることがある。メジナやイシダイ釣りで外道として釣れるという。こういう釣りではオキアミやヤドカリ、イセエビなどの甲殻類を餌に使うので、カンムリベラが釣れることがあるのだろう。

カンムリベラのお刺身。釣り人による評価は芳しいものではない。しかし今回刺身にしてみたら身の色が非常に美しい色合い。食べてみたが,これがなかなか美味しい。刺身醤油はあまり合わない。ぽん酢がよいが魚自身もうまみというものがある。

カンムリベラ属はインドー太平洋域、東大西洋、地中海に27種ほどが知られているが、東太平洋のアメリカ沿岸(ハワイやイースター島にはいる)や西大西洋には生息しない。このカンムリベラ属には何種か大型種が含まれ、オーストラリア近海に生息するCoris bulbifronsという種は1mにもなるらしい。この種は全身がグレーで派手ではないが、大きくなるとまさにコブダイのように頭部が盛り上がる。カンムリベラはそれよりは小さめであるがそれでも60cmにはなり、この個体も50cmを超えるものであった。1996年の3月に東京の葛西臨海水族園で見たのは80cmくらいあったように思うが大昔なので記憶は定かではない。このときは旧江戸川の向かいにある「ねずみの国」へ行く予定であったのだが、その入り口はあまりにも混みすぎて待ち時間が長くこちらの水族館へ行くことができたのだ。ラッキー。ちなみに弟には「●●●ー●●●(ねずみの名前)は風邪ひいて出られなくなっちゃったのよ」といって説得していた。

なおカンムリベラはあちこちの水族館で飼育されている。家庭水槽でその成魚を維持するのは困難であると思われるので、水族館で見て楽しむべき種かもしれない。幼魚は灰色の体で,大きな二つの橙色斑が目をひく。10cmほどくらいまでは残るが、そのあとは概ね灰色っぽい体と、頭部の斑点が目を引くようになる。

カンムリベラの若い個体。まだ頭部に斑点が残っている。背中の大きなオレンジ色の斑紋は消失している。

沖縄美ら海水族館で飼育されているカンムリベラの大型個体。50cmほどになるのではないだろうか。頭部が盛り上がり、特徴的なブルームテールもできてきている。本種の飼育については遊泳のためのスペースが必要になるのはもちろん、夜間に眠るための底砂を敷くことも必要になるため、いまの海水魚混泳水槽に多い、砂を敷かないベアタンクでは眠ることもできないだろう。やはりこの種は水族館で見るべき種類といえるのかもしれない。

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ガンギエイ

2023年02月06日 16時36分29秒 | 魚紹介

これも久しぶりに我が家にやってきた魚。ガンギエイ目・ガンギエイ科・ガンギエイ属のガンギエイ。

標準和名で「ガンギエイ」と呼ばれるだけあってこの科の代表的な種であるといえる。この種は北海道の全沿岸から九州沿岸まで広い範囲に分布している。

なお、北海道の近海ではほかにメガネカスベも多く生息している。以前羅臼からきたのはメガネカスベであったが、今回はガンギエイがやってきた。なお、メガネカスベとガンギエイは属が異なる。メガネカスベはメガネカスベ属で、日本では1属1種であるが、ガンギエイはガンギエイ属、日本にはほかにゾウカスベ、テングカスベ、キツネカスベという種がいる。Dipturus chinensisという種もいるが、これはいったい何者だろうか?Fishbaseでは日本にもいることになっている。なおCASによればタイプ産地は中国だが、タイプはNo typesらしい。

鰭についていた寄生虫。寄生性のカイアシの仲間ではないかと思われる。海底にじっとしていることも多いので、カイアシにとっては格好の付着先であろう。

ガンギエイの仲間は重要な食用魚として扱われるが、地方により差がある。北日本ではありがたいものだが、西日本では北日本ほど重宝されないのか安価である。ガンギエイの仲間は唐揚げで食することが多かったのだが、ガンギエイは以前唐揚げで食したことがあるため、今回は煮つけでいただいた。美味しい。今回のガンギエイも有限会社丸の野水産 野圭司さんより。ありがとうございました。

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ヘラヤガラ

2023年02月05日 16時47分02秒 | 水中写真

ヘラヤガラ。「ヤガラ」という名前ではあるが、ヤガラ科ではなく、ヨウジウオ目・ヘラヤガラ科の魚である。体側後方に細い線が出ているが、ベラの仲間の幼魚にもこの線が出ることがある。アズキハタはそれに擬態しているというが、ヘラヤガラがやってもあまり役に立つとは思えないのであるが。

この海域ではアオヤガラは非常によく見られるが、ヘラヤガラは少ない。といっても、めったに見られないというような種でもない。アカヤガラは近辺で行われる底曳網漁業や定置網漁業ではお馴染みの魚であるが、やや深い場所に生息する種で、潜っていても見かけることはない。

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