魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

アオミシマ

2023年04月25日 21時28分41秒 | 魚紹介

こんばんは。もう4月も終わりそうです。

この間ミシマオコゼと一緒に入手したのは同じくミシマオコゼ科のアオミシマ。2009年の沖合底曳網漁業乗船時以来のご紹介ということになる。この種は基本的に底曳網漁業にて漁獲されるもので、今回の個体も鹿児島のトントコ漁の漁獲物である。

アオミシマはミシマオコゼとは大きく異なる特徴がある。写真を見てわかるように、背鰭がひとつしかないのである。トップ画像(サムネ画像)では背鰭があるように見えるのだが、これは胸鰭を広げてピンを打っているため、そのように見えるだけである。日本産としてこの特徴をもつのは本種とサツオミシマくらいである。サツオミシマとは、体側の斑紋(サツオミシマでは白っぽい斑点が入るが、アオミシマでは黒い斑点)で見分けることができる。また、ヤギミシマのほうが体形も幾分細長い。さらにサツオミシマは背鰭に棘条があるがアオミシマの背鰭の前方に棘条はなく、軟条のみで構成されているとされるが、アオミシマの背鰭鰭条の最前方はかたい。これは棘条とはみなさないのだろうか,それとも今回入手した個体がたまたまそのようなものだったのか。

また、ミシマオコゼ属に見られる強大な擬鎖骨棘も本種では顕著ではない。サツオミシマではその下部、胸鰭基底上方に皮弁があるのが特徴である。なおサツオミシマは写真を持っていない。もしサツオミシマが漁獲されましたら宜しくお願いいたします。

生息水深はミシマオコゼよりもだいぶ深く、35~475mから漁獲されるというが、通常は200m以深のところから漁獲されるという。個体数は少ないわけではないが、船の上で投棄されることも多く市場にはあまり出ない。しかしながら近年はちゃんと持ち帰り販売されることも多くなったように思う。分布域は広く、北海道南部~九州南岸の各地に見られ、海外では朝鮮半島や台湾、中国などに生息している。

アオミシマは久しぶりの出会いだったのだが、その時は標本にしてしまったので今回ははじめて食した。ミシマオコゼと同じで薄く切りポン酢でたべる。もちろん肝も欠かせない。これが非常に美味しい。今回のアオミシマも鹿児島市「田中水産」田中積さんより。いつもありがとうございます。

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ミシマオコゼ

2023年04月21日 23時55分59秒 | 魚紹介

10年ぶりくらいにぶろぐに登場。ミシマオコゼ科・ミシマオコゼ属のミシマオコゼ。

ミシマオコゼはいつも海底でじっとしている底魚である。生息水深は幅広く、浅瀬から深海にまで見られるが今回は深海エビなどを漁獲する「トントコ漁」と呼ばれる底曳網漁業によって漁獲されたもの。ということはおそらく水深200mを超えるような水深から漁獲されたものと思われる。ほかにもクダヒゲエビ類やナミアイトラギスなども一緒に漁獲されていた。これらも深海の生き物たちである。もちろんもっと浅い場所からも漁獲されるしダイバーによってもしばしば観察される。釣りでもまれに釣れるが、釣り人が本種をみても何の魚かわからず、フグのような毒魚ではないかと勘違いして逃がしてしまうことも多い。

ミシマオコゼといえば鰓蓋の後方にある大きな棘が特徴である。鋭く強い棘なので深く突き刺さないように注意。これは鰓蓋棘ではなく擬鎖骨棘と呼ばれるものである。ミシマオコゼやメガネウオなどでは明瞭であるが、不明瞭な種もいる。さて、ミシマオコゼは昔はそれほど多くは利用されていなかったようだが、現在はそこそこ値段がつくようになっている。なんにせようまいことが認知されたことはよいことかもしれない。

今回はそんなミシマオコゼを2匹送っていただいた。この大きなお皿でミシマオコゼ2匹分。2匹のうち1匹は小ぶりの個体であったが、大きいほうは卵を持っていた。刺身は薄く切ったほうが美味しい。肝は肝ポン酢で食べたがこれも美味である。ほか唐揚げなど様々な料理に使用できる。ミシマオコゼ科の魚は今回は2種送っていただいたのであるが、もう1種はまた今度ご紹介したい。今回のミシマオコゼは鹿児島県 田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます!

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クロブチテンス

2023年04月20日 22時29分51秒 | 魚紹介

久しぶりのぶろぐ更新です。ベラ科・テンス属のクロブチテンス。

テンスの仲間も種類は多いが、多くは30cmくらいまで。しかしこのクロブチテンスは全長40cmを超える大型種である。インドー太平洋産のテンスの仲間ではおそらく最大級ではなかろうか。

学名はIniistius geisha、つまり「芸者」である。FishbaseでのKuiterのベラ図鑑「Labridae Fishes:WRASSES」ではGeisha razorfishとされている。タイプ標本は沖縄近海である。海外では台湾にも分布していることがしられているが、グアムなどからの記録もある。一方属学名については意見が分かれており、「日本産魚類検索」ではIniistiusとされているが、先述のKuiterのベラ図鑑ではXyrichtysとなっている。太平洋や大西洋に生息するテンスモドキ属もこの中に含めている感じだ。たしかにIniistiusとされても見た目がXyrichtysのように見えるものもいるので、おそらく分けられないのかもしれない。なおオビテンスモドキおよびオオヒレテンスモドキについてはそれぞれ別属である。

テンスの仲間も歯が鋭い。イラ類などほかのベラ科魚類もそうであるが、サンゴ岩などをどかしてその下に生息する甲殻類などを捕食するためにそのような歯になっているものと思われる。吻はほかのテンス属の魚と同様に直線的である。頬の部分にはオレンジ色の斑点がある。

クロブチテンスは水深100mくらいの場所に多く、一般のダイバーが出会うことができないベラの仲間である。確実に本種と同定できる水中写真もない。亜熱帯の深場の魚の生物を展示することに定評がある沖縄美ら海水族館でも展示されたことはないらしい。数も少なく珍しい魚といえるだろう。

そんなクロブチテンスが3匹も我が家にやってきたのだ。私的には大興奮である。

テンスの仲間はかつてテンスとヒノマルテンスの煮つけを食した。テンスの仲間はあまり大きくならないので煮つけなどになる。しかしこれほどの大きさのものは煮つけにするだけではもったいない。ということで鍋にいれたり刺身にしたりして色々食してみた。

クロブチテンスのお刺身。ほんのり赤い白い身が美しい。悪くはないのだがちょっと厚く切りすぎた。そのため先ほど薄く切って食したがこれはとても美味であった。暑かったのに鍋にしても食べたがこれも美味しかった。いずれにせよテンス属である本種をイラ属のように食することができるのは貴重な体験であった。

今回のクロブチテンスはTwitterでのお友達「ホンマさん@魚捌いてる人」さんより、初めて購入させていただいた魚。ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

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家にNectamiaがいる生活っていいよね

2023年04月05日 01時05分09秒 | 魚介類飼育(海水)

4月に入って初めてのぶろぐ更新が今日です。さぼっててごめん。

我が家で飼育しているバンダイシモチなんですが、ほかの魚に追い掛け回されたため拒食になってしまいケガもしているようなのでサンゴ水槽にお引越し。お引越し後,餌はよく食べてくれるようになり一安心といったところ。Nectamia、つまりナミダテンジクダイ属は四国沿岸では珍しい種で、バンダイシモチ以外は見たことがない。四国では2020年以降毎年姿を現しており、これも高知県の漁港で釣れた個体。我が家の水槽にこのNectamiaがいるとQOL(生活の質)の向上が期待できるのである。ではなぜ海水水槽にNectamiaがいるとQOLが向上するのか。

まずかわいい。体が丸くて眼も大きい。私が飼育してきたテンジクダイの中でも特にお気に入りのがキンセンイシモチ、リュウキュウイシモチなど赤いのとこのNectamiaである。本当にこの丸っこい体がたまらん。ついで色彩。Nectamiaは熱帯性海水魚であるが、熱帯性海水魚の多くがカラフルなのに対し、Nectamiaはあまりカラフルではない。しかし自己主張控えめなのもまた良い。さらに夜に見てみると反射?か何かで蛍光色を発するのである。そして性格。Nectamiaは水槽のほかの魚にちょっかいをかけることはなく、逆にやられちゃう・・・。そこが難点かもしれない。なお餌は配合餌を食べるが大きいのは最初のうちは冷凍餌からはじめるのがベターかもしれない。

 

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