魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ニシン

2010年07月27日 21時42分35秒 | 魚紹介

日本海の北の魚、最後はこのニシンClupea pallasii Valenciennesにしましょう。

ニシンはニシン目、ニシン科、ニシン属に属する種です。ニシン科の魚はいずれも食用魚であり、日本産としてはウルメイワシ、キビナゴ、ヒラ、マイワシ、ヤマトミズン、サッパ、コノシロなどの産業種を多数含みます。ニシンは身は塩焼きや刺身にして美味ですが、卵のカズノコが有名ですね。

ニシンはいくつかの系群に分かれていますが、この個体はおそらく山田ほか(2007)でいう「北海道・サハリン系群」ではないかと思うのですが、外観では区別できませんね。

ニシンは北海道や北日本に生息し、日本海側の南限は富山湾だとよく言われていましたが最近山陰の沖合いで底曳網でまとまって獲れることがあるそうです。他にも黄海など、朝鮮半島近海でも以西底曳船が漁獲していたことがありました(今では朝鮮方面はもうあまり行かないのかも)。近年日本での漁獲量は極めて少ないものとされ、漁獲量の把握さえ難しくなっているようです。

ニシンは暗色斑点列が体側に現れません。良く似たサッパの仲間とは臀鰭軟条の最後2軟条がのびないこと、ミズンとは鰓孔後縁に突起がないことで区別可能です。釣れたらそのあたりを見てみましょう。もっとも、ニシンが釣れることは今はあまりないようですが・・・

ニシンの体側。

 

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ホテイウオ

2010年07月26日 14時48分02秒 | 魚紹介

北海道の名物「ごっこ鍋」。その材料に使われる「ごっこ」というのはこのホテイウオAptocyclus ventricosus (Pallas)のことです。

カサゴ目・ダンゴウオ科の魚です。標準和名の「布袋魚」というのは見たまんま。布袋様にそっくりな?ことからきています。

ダンゴウオ科の魚では日本最大種。40cmほどになります。大西洋にはセッパリダンゴウオ(ランプフィッシュなどとも)という巨大なのがいて、それは60cm近くになります。この種の卵は代替キャビアの原料です。

さて。ホテイウオ。

特徴はその体・・・というより背鰭。完全に棘部が皮下に埋没してしまっています。やはりダンゴウオの仲間ということで、腹部には吸盤があり、それで岩などにはりつきます。

横から見たらこんな感じ。

本種は先ほど述べましたがごっこ鍋の材料として有名になりました。またその奇妙なすがたから水族館でも飼育しているところがあります。卵は粘着性があり、親は卵を保護します。

底曳網で漁獲されますが、冬は浅瀬でも見られるそうです。

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タナカゲンゲ

2010年07月25日 17時17分05秒 | 魚紹介

日本海の深海魚といえば、特に数が多いとされるのがクサウオ類、そしてこれらゲンゲ類です。ゲンゲ類はみな体が柔らかく、細長いのですがその中でも特に大きいのがタナカゲンゲLycodes tanakae  Jordan and Thompsonです。

タナカゲンゲは大きいものでは90cmを超えます。他のゲンゲ類ではノロゲンゲが30cmほど、小型種のオオカズナギなどは15cmくらい。タナカゲンゲは日本海の深海に生息する種で、体側の斑紋が特徴的です。

水深300-500m位の場所に生息しています。カニとりなどでも獲れるようです。肉食で悪食、底生動物を中心に捕食します。

タナカゲンゲとならび大型になるのはカンテンゲンゲで、これも日本海側に生息します。ノロゲンゲなどにそっくりですが、肛門上方の鱗が丸いことで区別できます。非常に細かいので、顕微鏡で見なければ判別はできません。

タナカゲンゲは底曳網でしばしば漁獲されます。中国地方では「ばば」「ばばあ」「ばばちゃん」など愛らしい名でよばれています。

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ヒレグロ

2010年07月20日 18時06分11秒 | 魚紹介

今回は北の海で食用にされている魚です。ヒレグロGlyptocephalus stelleri (Schmidt)です。

見た目まんま、鰭が黒いからヒレグロ。これまた見た目まんまですが、カレイ目・カレイ科に属します。ヒレグロ属の種は大西洋に1種、もう1種、ベーリング海~カリフォルニアにかけて生息します。本種は東シナ海北部・日本海各地、銚子以北の太平洋岸からロシアにかけています。

 ヒレグロはヤナギムシガレイに良く似ていますが、頭部無眼側にくぼみがあること、背鰭・臀鰭縁辺が明瞭に黒くなることから区別できます。小型の個体は浅いところの底曳網でも漁獲されますが、大きな個体は深い場所に多いです。

無眼側もこんな感じで真黒です。

良く似たヤナギムシガレイは高級食用魚(干物)ですが、本種はそれほどでもなく、安価にうられているようです。でも決してまずいというわけでは有りません。干物にしても焼いても煮ても十分に美味しくいただけます。

北日本や日本海側ではカレイの種類が多いです。日本海側の底曳網で漁獲されるのは本種のほかにはアカガレイ属のアカガレイ・ソウハチ、ヤナギムシガレイ、ムシガレイ、メイタガレイなどがあります。いずれもそれらの土地で食されています。

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ガンコ

2010年07月17日 00時41分51秒 | 魚紹介

北の海の魚の3魚種目は、ガンコDasycottus setiger  Beanです。

ガンコも、前々回に紹介いたしました、「ヤマトコブシカジカ」同様、カサゴ目、ウラナイカジカ科に属します。ウラナイカジカ科の魚は軟らかい皮膚をもちます。本種も厳めしい見かけによらず、皮膚はぶよぶよとしています。

日本海の深海で漁獲されるのはこれと、ヤマトコブシカジカが多いです。このほかにも小型種のウラナイカジカが混ざることがあります。本種とヤマトコブシカジカの見分けるポイントは、本種では背鰭が1基であること(ヤマトコブシカジカでは2基)、後頭部に棘があること(ヤマトコブシカジカにはない)で区別できます。

軟かな体とその奇妙な姿からあまり人気はないですが、食用にできます。

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