魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

フィリピン魚29.オジロトラギス

2012年03月31日 09時44分07秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はトラギス科のオジロトラギスParapercis xanthozona (Bleeker)です。

トラギス科魚類は近年、分類学的な再検討や、新種記載がよく行われているグループです。フィリピンには2属が分布しています。分布域はインド・西太平洋と広域に及び、日本でも沖縄などで見られます。

頭部には淡色の細線が多数ありますがこれは雄の特徴とされ、雌には見られません。

尾鰭の模様が特徴的です。中心部が白っぽく、その上と下に黒い斑点があります。

●コクテントラギス

1938年、高知県で漁獲された個体をParapercis xanthozona として、報告されたもの。その標本は焼失し戦後高知県から再度報告されたものの、この個体は現在カモハラトラギスとされるものとよく似ているそうです。しかし1938年の標本が無くなったため、比較検討ができず、コクテントラギスの和名は差し控えるべきとされました。その後Parapercis xanthozona は、2003年に日本から報告され、この種にはオジロトラギスという新和名が提唱されました。

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フィリピン魚28.ホシゾラヤッコ

2012年03月30日 13時55分16秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はキンチャクダイ科のホシゾラヤッコChaetodontoplus caeruleopunctatus Yasuda and Tominagaです。

ホシゾラヤッコは1976年、フィリピンで採集された個体をもとに、日本の安田富士郎氏と富永義昭氏により記載されたものです。掲載されたのは日本の「魚類学雑誌」です(※)。今でこそ魚類学雑誌は和文誌ですが、当時は和文と英文の両方が掲載されていました。「魚類学雑誌」は当時、外国の研究者の方々も多く記事を書かれており、ランドール博士らが記載し、アクアリストにもなじみの深い「マルチカラーエンゼル」や、「ゴールデンエンゼル」の記載論文などもありました。

さて、本題。

「ホシゾラヤッコ」という和名の由来は、体側のこの模様でしょう。遠目からはわかりにくいですが、実際には小さな青白斑がありきれいです。個人的には、英名の「Bluespotted angelfish」より、ホシゾラヤッコの和名の方が「ぴん」とくる、あるいはイメージがわいてくるのは、私が日本人であるからでしょうか。

頭部です。鰓蓋に大きな棘があります。ヤッコの仲間はこの強い棘があるので気を付けないといけません。

 

尾鰭は一様に黄色。尾柄部にまで青い小さな斑があります。キンチャクダイ属は尾鰭が黄色い魚が多いですね。

この個体は全長が20cm近くあったように思います。英語の魚類データベース「Fishbase」では最大全長14cmと書いてありましたが・・・あまりにも迫力満点の個体です。飼育は話を聞くところではやや難しいとされており、やや臆病とも聞いています。サンゴ水槽でゆったりと泳がせたい魚です。

●キンチャクダイ属

キンチャクダイ属の魚は太平洋、一部インド洋から14種が知られています。サンゴ礁が発達した暖海にすむものや、波の荒い温帯の岩礁域に生息するものもいます。フィリピンには本種のほか、キヘリキンチャクダイ、チリメンヤッコの3種が分布します。日本産は5種で、チリメンヤッコ、キヘリキンチャクダイ、アカネキンチャクダイ、キンチャクダイ、そして謎の多い珍種、クロキンチャクダイの5種が分布します。ただし、そのうちアカネキンチャクダイは、キンチャクダイとキヘリキンチャクダイの交雑種であるという指摘もされています。

うち、キンチャクダイは浅海の磯などで採集できることもあります。磯採集者においてはあこがれの魚のひとつといえます。

チリメンヤッコChaetodontoplus mesoleucus (Bloch)

チリメンヤッコは、奄美以南のサンゴ礁に生息する普通種です。浅いところに生息し、幼魚は磯採集も可能だそうです。腹鰭は灰色っぽく、尾鰭が黄色です。インドネシアなどで見られる、腹鰭が黄色、尾鰭が灰色っぽいのは別種グレイテールエンゼルフィッシュとして最近記載されています。写真の個体はフィリピン産。

キンチャクダイChaetodontoplus septentrionalis(Temminck and Schlegel)の成魚。定置網で漁獲された個体。観賞魚として近海ものがたまに流通するが、大きいものは餌付きがあまりよくないともいわれ、食用にもあまりされていないようです。南日本から中国、台湾に生息します。ベトナムのものは頭に青い模様がありますが、今でも本種と同一種とされているのか気になります。これは愛媛県産。

オーストラリアやその近辺には種が多く「コンスピ」の愛称で人気の観賞魚コンスピキュオスエンゼルフィッシュや、スクリブルドエンゼルフィッシュなどが分布します。ほか、アクアリストの世界にはまだまだなじみのないオーストラリア固有種、バリナエンゼルフィッシュもいます。

(※)魚類学雑誌の過去の文献は、日本魚類学会のサイトhttp://www.fish-isj.jp/index.htmlからPDF形式でダウンロード可能です。

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新宿で飲み会

2012年03月29日 20時37分27秒 | 魚類関係の集まり

この間の土曜日・日曜日は飲み会でした。私の友人が、コスタリカに行くことになったため、その送別会。頑張って行ってきてください~!!

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フィリピン魚27.ウスバハギ

2012年03月28日 19時16分04秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、カワハギ科のウスバハギAluterus monoceros (Linnaeus)です。ウスバハギはフィリピンのほか世界中の温帯から熱帯海域に見られる広域分布種です。

写真の個体は幼魚です。

ウスバハギ属の魚は世界で5種が分布、フィリピンや、日本の近海を含む西部太平洋には2種が分布します。体はやや長く、大きくなり、カワハギ科では最大となるソウシハギも、このウスバハギ属の魚です。背鰭の棘は2棘からなりますが、うち1棘は皮下に埋没しています。

ウスバハギの体色は灰色の地色で、暗色の不規則な斑模様が出ます。大型種で、60cmを超えます。磯や、やや沖合に生息しており、釣りや定置網で漁獲されます。肉はカワハギによく似て美味、肝臓も食べられるのですが、毒が蓄積する可能性もあり、場所によっては食を控えるべき種かもしれません。

●近縁種

ソウシハギAluterus scriptus(Osbeck)

西部太平洋に生息するもう1種のウスバハギ属魚類です。大型種で全長は1mにも達します。長い尾鰭が特徴です。体側には、青い模様があり、大変美しい種です。幼魚は、流れ藻について、浮かんでいるように泳ぐのですが、擬態のようです。

熱帯性のカワハギですが、流れ藻について思わぬところでも漁獲されることがあります。東北地方や北関東などにも見られることがあります。

肉は白身で美味しいとも、あまり美味ではないとする文献もありますが、一応食用にされているようです。ただし、内臓(腸など)にスナギンチャクに由来する毒 (パリトキシン?) をもっているといわれ、内臓を食するのは避けるべきでしょう。パリトキシンは、ブダイ科アオブダイも有しており、5人の死者を出しているので注意するべきです。観賞魚としてもよさそうですが、デリケートで弱いといわれます。大きい個体は鮮やかな色彩が美しく、水族館でも見られます。

フィリピンに生息する、ウスバハギ属はこの2種、しかし、ほかにもウスバハギに似た魚がいます。

キホシハギ?Aluterus schoepfii (Walbaum) ?

和名はあるのですが日本からの報告はなく、海洋水産資源開発センターの「スリナム・ギアナ沖の魚類」の中で新称がつきました。この写真の個体はキホシハギとして輸入されやってきたものですが、キホシハギですと背鰭や臀鰭の軟条がやや少なく、体側にオレンジ色の斑点があるのですが、この個体にはありません。全体的な感じではこの個体の写真はウスバハギのように見えますが、顔つきなどが若干違うようです。

キホシハギは、カナダのノヴァ・スコシアから、南はブラジルにかけ分布するほか、西アフリカの沿岸にも分布しています。

 

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フィリピン魚26.ナミハタ

2012年03月27日 14時46分26秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、ハタ科のナミハタEpinephelus ongus (Bloch)です。琉球列島にも分布するハタ科の美種です。

ナミハタはサンゴ礁に多く生息する普通種。分布域も広域で、東アフリカから中部太平洋におよび、日本でも奄美以南では多くみられる種類です。

ナミハタによく似たハタもいくつかおり、その中でもハクテンハタなどはよく似ていますが、本種はハクテンハタよりも白色斑が細かく、尾鰭にも白色斑が入ります。ハクテンハタは成魚になると尾鰭にはあまり斑が入りません。

写真は白バックで分かりにくいですが、尾鰭などの縁辺が白いことや、丸い尾鰭をもつなど、特徴の多い面白いハタです。夜間は大きな白い斑を出すこともあるようです。

フィリピンにおいては食用魚として取り扱われています。市場にもよく出ます。友人によりますとフィリピンには「無限に」いるとおっしゃっておりました。

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