魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ロウソクギンポとサンゴと雑誌

2016年06月30日 18時37分06秒 | 魚介類飼育(海水)

我が家の水槽にすむロウソクギンポ。先代のアオモンギンポを一年ほど前に失ってしまい、2代目「かわいいカエルウオ」を襲名した。眼上のアンテナのような皮弁が細長く発達しているのが先代とちょっと違うところ。

喜界島で採集した個体であるが、紀伊半島以南の太平洋岸でも採集することができるようだ。ごく浅い磯の潮だまりに数匹で見られた。孔の中の潮だまりにいたのだが、そのような場所では潮だまりごとに全く別のカエルウオの仲間が生息していた。カエルウオの仲間はサンゴにいたずらし、捕食してしまうような種もいるのだが、ロウソクギンポはサンゴにいたずらをするようなことはないようである。体にある細い白い線のような模様があるのも特徴。眼の上の皮弁と合わせ、ほかのイソギンポ科とは区別しやすい。

カエルウオの仲間は主に藻類を捕食する。実際に磯でカエルウオを見ると腹がぱんぱんに膨らんでいるものが多いが、これは常時、岩に付着している藻類を食んでいるため。水槽でも餌をたくさん食う。やせた個体を絶対回復させることはできないというわけではないが、観賞魚店でこの仲間を購入するときはよく餌を食い、太った個体を選ぶべきであろう。

水槽では壁面に生えるコケを食べてくれるが、それだけでは足りない。植物食性魚類用の配合飼料も与えたい。我が家では植物食性魚類用の餌は、キョーリンの「海藻70」と、同社製の配合飼料メガバイトシリーズ「メガバイト グリーン」の2種類を与えている。メガバイト レッドはクマノミやハゼの類が好む。海藻70は大きな丸い餌で、底に沈みやすい。そのため底の方にすむカエルウオの類やハゼの類が好んで捕食する。

水槽の最近の変更点はサザナミサンゴ?を6月25日に新しく入れたこと。最初は私の好きなキクメイシの仲間かと思ったが、帰ってインターネットと睨めっこしていたらサザナミサンゴに近いものであるようだ。私は以前サザナミサンゴの飼育に失敗してしまっている。今度こそ長生きさせたい。最初はシコロサンゴの手前に置こうかと思ったが、ちょっと離したところに置くようにする。それは正解で、夜間にたくさんのスイーパー触手を出していた。この触手に触れると弱いサンゴが溶かされてしまうのである。夜間はラパスオリジナルのLEDを当てると鮮やかなメタリックグリーンに光り輝き美しい。


さて、今日は6月30日。今日でちょうど2016年も半分が終わってしまった。なお本日はコーラルフリークスの特別編集版「クマノミの飼い方がわかる本」(ネコ・パブリッシング)という本が発売になった。例のねずみの会社の映画「ファインディング・ドリー」の公開に合わせた特別編集版である。この映画にあわせた本としては以前コーラルフィッシュ誌を出していた枻出版社からも「カクレクマノミの上手な飼い方」という本が出されている。さらにマリンアクアリスト誌も健在。また海水魚ブームが来るのではないかと少しは期待しているのだが、前作のクマノミ映画の時のように魚をトイレなどに捨てたり、乱獲されることがあるのではないかと、若干ではあるが気になっているところである。期待しているところもたくさんあるがそのなかで一番大きいのは、さらに海水魚やサンゴが飼育しやすくなる、新しいテクノロジーが登場するのではないかというところである。前回の映画の後は器具の小型化がすすみ、だれでも海水魚を飼育することができるようになった。さらにこの本の中にはすごいクマノミ飼育のテクニックもある。詳細は中を見てほしいが、表紙にもそのヒントがある。なおこの本の私の執筆分は71~73ページ。仕事をもらうことができて私もうれしい。

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シマガツオ

2016年06月29日 12時58分09秒 | 魚紹介

今年は年頭にも書きましたけれど、過去に見たり食べたりした魚の写真もご紹介したいと思います。

今日ぶろぐに登場する魚はシマガツオ。シマガツオは「カツオ」という名前があるが、スズキ目・スズキ亜目・シマガツオ科の魚。スズキ目・サバ亜目・サバ科のカツオとは全く異なる魚である。この種の標準和名は科名にも使用されており、シマガツオ科の魚の中では最も一般的な種のよう。シマガツオ科の魚は日本からは6属10種、世界では7属20種が知られている。このぶろぐではシマガツオの仲間はこれまで記事に登場していなかったようだ。

体は一様に黒っぽいが光沢がある感じ。体側の縦列鱗数は65~75。よく似たものにヒメシマガツオという種類がいるが、体側の縦列鱗数が異なる。こちらはシマガツオよりも縦列鱗数が少なく57~65である。こちらの種類もたまに漁獲されることがあるようだが、私は見たことがない。

シマガツオ科の特徴としてはいくつかあるのだが、背鰭は基底が長いという特徴がある。カツオ、とあるが先述の通りサバ科の魚ではないので小離鰭はない。

臀鰭基底も長い。この科の魚にはリュウグウノヒメやベンテンウオなど、極めて巨大な背鰭や臀鰭をもつものが知られている。その一方でこの科の魚の腹鰭は極めて短いものが多い。

シマガツオは相模湾などでの深海釣りでキンメダイなどとともに釣れるらしい。よく「エチオピア」と呼ばれているが、これは体が真っ黒で黒人のようだとか、エチオピアの偉い人が来たときに大量だったとか、説が色々あるようだ。肉はかなり美味しく、この個体も美味しくいただいた。

国外では意外と広い範囲に生息しているもので、太平洋の北半球沿岸に広く分布しているが、東太平洋ではペルー沖にまで分布しているよう。北はアラスカ湾にまで分布している。この個体はいただきもので産地は北東太平洋ということであった。シマガツオ属は研究者により7、または8種に分類されており、日本には4種が分布している。

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シチロウウオ

2016年06月28日 19時23分09秒 | 魚紹介


先週土曜日にスマと一緒に京都中央卸売市場仲卸「シーフーズ大谷」さんより珍しい魚が届きました。トクビレ科のシチロウウオという魚です。こんな魚が…

8匹も届きました!

シチロウウオはトクビレ科の魚であるが、見た目はトクビレと大きく異なる。以前ご紹介したサブロウによく似ている種。しかしながら頭部の形状が大きく異なる。シチロウウオでは吻がやや細長く、サブロウではやや短いという違いがある。シチロウウオ属は1属1種のようであるが、同じく1属1種のオニシャチウオ属にも近いようである。

オニシャチウオとの違いは第1背鰭や臀鰭の基底が短く、背鰭棘数、臀鰭軟条数がそれぞれ7~9、12~15であること、オニシャチウオでは第1背鰭や臀鰭基底が長く背鰭棘数、臀鰭軟条数がそれぞれ17~21、23~27と多い。また脊椎骨数などでも差が見られるようである。

シチロウウオを背面からみると、吻が長くサブロウなどとはかなり違う雰囲気。トゲウオ目の魚などにもなんとなく似ているがシチロウウオはスズキ目・カジカ亜目・トクビレ科の魚である。


頭部側面。胸鰭には小さな斑紋があるがこれは同定の材料にはならないようである。

分布域は相模湾・新潟県から北海道。千島列島にもいる。国外ではロシア東部~朝鮮半島東部。浅海の砂底や藻場に生息していて、たまに底曳網などで漁獲される。

体が武装されているように見えるシチロウウオであるが、実際にはその鎧は案外やわらかいものでキッチン用のハサミでさばくのが早い。ほかの魚のように鱗が飛ぶことがないのもよい。しかし案外食べるところは少ないようである。

シチロウウオのお刺身。こりこりしていて美味である。シソの上に乗っているのが卵巣、今回入手した個体はすべて雌であった。

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スマ

2016年06月26日 02時02分25秒 | 魚紹介

最近周りが忙しかったり、とある方と対立してそういう意味でも忙しかったりということでなかなか更新できていませんでした。ということで久々のブログ更新。

写真の魚はスマというサバ科の魚。サバ科の魚は日本人にはなじみの深い食用魚であるが、いくつかのグループがある。マグロの仲間、サバの仲間、サワラの仲間など…。スマはカツオに近い仲間ではあるが別属とされる。スマは口蓋骨に歯があるのが特徴とされるが、カツオにはそれはないという。

カツオとの見分け方で一番簡単なのがよく言われるこの黒い斑点だ。この斑点があればスマと同定していいとも思うが、小さい個体では出ていないこともあるので、先に述べた口蓋骨の歯の有無なども使いながら同定するとよいだろう。

▲スマの背鰭

ソウダガツオの仲間との見分けはこれ。第1背鰭と第2背鰭がよく接近していることで見分けられる。ソウダガツオの仲間2種は、二つの背鰭がかなり離れている。愛媛県の宇和海沿岸など、一部地域ではヒラソウダのことも「そま」といってたりするが、これで間違えることはないだろう。このほか鰓耙数にも違いがあるようだ。いずれにせよソウダガツオの仲間とほかのサバの見分け方についてはまた書きたいところである。

スマによくにたカツオはほぼ世界じゅうの暖かい海に生息しているが、このスマはそうではない。スマEuthynnus affinisはインド-西太平洋に生息しているが、東太平洋ではほとんど見られず、かわりにE. lineatusという種がみられるようになる。大西洋にはまた別の種タイセイヨウヤイトE.alletteratusが広く分布し、この種は地中海やメキシコ湾などにも見られる。

最近養殖もされているようで、一部では「全身大トロ」なるキャッチコピーでも売られているらしい。クロマグロの完全養殖など個体数が減ってきているものの養殖はアリかもしれないし、養殖を否定するわけではないが、このようなキャッチコピーは正直どうかと思う。要はメタボで不健康な魚であると宣伝しているようにも見えるからだ。

今回のものは長崎産。脂は少しのってる感じ。でも、やはりほどほどがいいのだろう。いずれにせよこの個体のお刺身は最高であった。今回も購入したのは「シーフーズ大谷」さん。ありがとうございます。そして皆さん深夜に飯テロ、スマん。

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アカトラギス

2016年06月22日 12時22分33秒 | 魚紹介

以前投稿していたと思っていたが、結局まだ紹介できていなかった魚。スズキ目・ワニギス亜目・トラギス科・トラギス属のアカトラギス。

トラギス科の魚は日本には少なくとも27種が生息しているが、生息環境は二つのタイプに分かれるように思う。温帯から熱帯海域の浅い岩礁域にすむものと、温帯のやや深い海底に生息するもの。前者にはオグロトラギス、コウライトラギスなどが含まれ、後者にはオキトラギスやユウダチトラギスがいる。アカトラギスもオキトラギスやユウダチトラギスと同様にやや深い海域、沖合底曳網漁業においては100~250mほどの海底で漁獲された。

アカトラギスの特徴は、体に太い黄色帯が5本前後あること。これによりオキトラギスやユウダチトラギスとは容易に区別することができる。

アカトラギス尾部

オキトラギス

オキトラギス尾部

ほかの特徴としては尾鰭基部の黒色斑の有無。オキトラギスとはこれによって見分けられる。オキトラギスでは明瞭な黒色斑が見られるが、アカトラギスには見られない。両種ともに尾鰭に細い線が入っていて綺麗である。

アカトラギス(2009年)

この個体は2009年に沖合底曳網、水深200mより深い場所で漁獲された個体。揚網中にスれてしまったようで、鱗がはがれてしまっているが、それでも特徴的な黄色の帯が見られるので、アカトラギスだとわかる。

トラギスの仲間は減圧に強いようで観賞魚として出回ることもあるが、少なくとも水温を10数℃に抑えなければ飼育は難しいだろう。動物食性で小魚、甲殻類、軟体動物などを捕食している。

この個体は宇和海の沖合底曳網漁業で漁獲されたが、関東近辺でも東京沖の船釣り、とくにやや深場にすむイズカサゴなどを狙っているとたまに釣れることがある。本命の魚に比べると小さめではあるが、かなり美味な魚である。トラギス科の魚は三大洋にすみ、南米のパタゴニアや、ニュージーランドではトラギス科の大型種であるオオトラギス、チリアマダイ(名前は「アマダイ」であるがトラギス科、昔は実際にアマダイ科とされたらしい)、ミナミアオトラギス(ブルーコッド)などが重要な食用種となっている。

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