魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ツノハタタテダイ

2021年02月06日 01時57分05秒 | 魚紹介

この度石垣島から貴重な魚を購入した。チョウチョウウオ科のツノハタタテダイという種である。

名前に「ハタタテダイ」とあるように、チョウチョウウオ科ハタタテダイ属の魚なのであるが、見た目はハタタテダイと異なり、体が茶色になり、地味な色彩である。またハタタテダイ属の魚は背鰭第4棘が長く伸びるが、ツノハタタテダイでは背鰭第4棘が比較的短い。


ツノハタタテダイ頭部


ツノハタタテダイの頭部にはその名の通り「ツノ」がある。外側にツノが広がっていて、まるでシカとかそういう動物のようにもみえ、派手ではないのだが大変に格好いい種類である。ただし、正面から見ると眉毛のように見えてお茶目である。なお、英語名でもHorned bannerfish、つまり「ツノのあるハタタテダイ」という。

分布域は東インド洋からソシエテ諸島にまでおよび、ハワイ諸島には見られない。インド洋でもアンダマン諸島より西では近縁の別種に置き換わる。日本でも小型の個体は静岡県以南の太平洋岸でみることができるが、数は少なく、主な分布は琉球列島以南である。

ツノハタタテダイは大きいものでは全長20cm近くに育つ。ハタタテダイの仲間はチョウチョウウオ科としては比較的大きくなるように思える。またサンゴのポリプを主に捕食するミナミハタタテダイを除くと多くの種が雑食性であり、釣りなどで捕獲されることがある。このツノハタタテダイも雑食性であり、釣れる可能性もあるが、今回の個体は漁により漁獲されたものである。体表についた跡もあるのだが、耳石を採取する私にはありがたい。

 


ツノハタタテダイ刺身


チョウチョウウオの仲間はあまり食用にはされていないものの、美味しいものは多い、私はハタタテダイやセグロチョウチョウウオなどを塩焼きにしてきたが、今回は鮮度抜群なので、塩焼きではなく、刺身にしてきた。しかし、これが意外と脂ののりがよくて美味しい。内臓は万が一のことを考えると食べるのを避けるようにしたい。

もちろん頭部は耳石の標本用にキープ。石垣島の漁師さん「ゆーま」さん、ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミナミギンガメアジ

2021年02月03日 16時24分01秒 | 魚紹介

先日三重県熊野灘から珍しいアジがやってきた。アジ科ギンガメアジ属のミナミギンガメアジである。えらく細長いように見えるが、これは画像を引き延ばししたわけではなくて、もともとこんなに細長いのだ。この個体は全長825mmもある超大型個体。これほど大きいのは日本では珍しいのかもしれない。

鹿児島県産のミナミギンガメアジ若魚 全長380mm

 

私にとってミナミギンガメアジを見るのは初めてではない。昨年鹿児島の田中水産の、田中積さんから送っていただいたことがあった。去年は何度か上がったようで「当たり年」だったのかもしれないが、最近30cm程度の個体は決して珍しくないという話も。

三重県でもミナミギンガメアジの記録はあるのだが、いずれも幼魚や若魚である。しかし今回は真冬の1月終わりから2月の頭にこの個体を含む大型個体が4匹も網に入ったようだ。これが何をあらわすのかはわからない。海水温の上昇や海流の影響もあるだろうが、鹿児島からの成魚の運搬というのもあるのかもしれない。当たり年だった昨年、餌を求めて北上しながら大きくなった可能性もあるが、成魚の運搬というのもあるのかもしれない。しかしなぜ三重でこれほど巨大なものが漁獲されたのか、謎が多い。基本的に50cmを超えるのは日本では奄美大島以南であり、それでもこれほど大きいのは少ないらしい。

ミナミギンガメアジの鰓蓋後縁上方には大きな黒色斑があり、その後方にはオニヒラアジのような銀色の模様があるが、それが若干下方に伸びる。まあこの黒色斑で間違えないだろう。また独特な顔つきもミナミギンガメアジの特徴である。動物食性が非常に強く、主に小魚を捕食する。この個体の胃の中からはカタクチイワシとキビナゴが大量に出てきた。アジ科の仲間は優れたハンターであり、定置網の中でも魚を追いかけて捕食する。小魚は逃げ場所がなく簡単に捕食できるものの、最後はミナミギンガメアジも囚われの身になってしまうのである。

ミナミギンガメアジの刺身。やや脂の乗りは少ない。それでも美味しくいただいた。肉は薄ら桃色になっている。身はもちもちした感じである。ただ寝かして数日後に食べたものはやや大味であった。

今回は三重県の長野 淳さんより。ありがとうございました!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バラハタ

2021年02月01日 02時18分44秒 | 魚紹介

今日から2月。今年はこのぶろぐをメインに更新していくことになるであろう。

昨年は欲しかった魚を色々入手することができた。沖縄の石垣島で入手したバラハタもその一種。

バラハタはハタ科・バラハタ属の魚である。このバラハタと近縁種のオジロバラハタの2種類でバラハタ属を構成する。英語ではLyretailというのだが、これは尾鰭が弦楽器の一種のライアーに似ていることから。背鰭棘数が少ないので、おそらくはアカハタや同じく石垣島で売られていたナミハタなどよりもユカタハタやスジアラに近いグループなのだろう。

ラハタ幼魚

バラハタは幼魚と成魚では大きく色彩や斑紋が異なっている。幼魚は白っぽいのだが成魚では赤紫色に変貌する・成魚の濃い赤い体にピンク色の斑点といういでたちはかなりおしゃれなものである。一方オジロバラハタは子も赤い体で成魚によく似ている。成魚の見分け方は簡単。バラハタは尾鰭後縁が幅広く黄色に縁どられるが、オジロバラハタは縁取りが白くて細い。私は魚の写真の多くを白バックで撮影しているが、撮影して加工が難しい「白バック」殺しの魚なのだ。今年はオジロバラハタも入手し食することが出来たので、いつかご紹介したいと思っている。

小笠原諸島のバラハタ

バラハタは長いこと探していた魚だが、なかなか購入できなかった。喜界島のオフ会でも釣ることができず、縁の遠い魚になりそうであったが、昨年には沖縄県の石垣島だけでなく、小笠原諸島のものも購入できた。待っていてもなかなか来ない。しかし来るときはまとまって来てくれるというのは、魚類あるあるだろう。

バラハタの刺身


肉は刺身、カマは焼いて美味しくいただいた。ただしバラハタは沖縄ではシガテラ中毒をおこすことも多い種である。そのため東京の市場には出ないのだが、沖縄では釣りや突きで漁獲されるおなじみの食用魚である。なお、沖縄では「ながじゅーみーばい」と呼ばれている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする