魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

クロアナゴ

2022年08月18日 21時44分02秒 | 魚紹介

意外なことにこの「魚のぶろぐ」では、過去一度も紹介できていなかった、ウナギ目・アナゴ科・クロアナゴ属の魚。属標準和名にもなっている、クロアナゴをご紹介。

クロアナゴは日本においては青森県以南の太平洋岸、津軽海峡、日本海、琉球列島と広い範囲に生息している。海外では朝鮮半島、台湾、澎湖、中国に分布している。日本周辺の東アジア沿岸の特産種である。日本においてクロアナゴ属は4種が知られ、このクロアナゴ、ダイナンアナゴ、キリアナゴ、そしてマアナゴが知られているが、キリアナゴはおもに琉球列島以南に分布しており(和歌山県以南で見られる)、キリアナゴを除く3種は本州~琉球列島に広く分布している(マアナゴは琉球列島ではごくまれ)。この4種のうちマアナゴは体に白色点列があり、マアナゴの側線孔は白色斑の中にあるなどの特徴があるためほかの種との見分けは容易である。

しかし、クロアナゴ、キリアナゴ、ダイナンアナゴの3種はやや見分けにくいところがある。ダイナンアナゴは本種によく似ており、北海道、東京湾以南に見られるが、クロアナゴの背鰭は胸鰭よりもだいぶ後ろのほうにあるのに対し、ダイナンアナゴでは背鰭が胸鰭のすぐ上のほう、またはわずかに後方からはじまる。また胸鰭軟条数はクロアナゴ15~16軟条、ダイナンアナゴ19~21軟条という違いもある。ダイナンアナゴは魚類検索では初版、第二版ともに頭部のみの図版が掲載されていた(Jordan and snyderからの模写)が、第三版になりようやくしっかりと全体図が描かれるようになった。一方キリアナゴはさらに背鰭が前のほうからはじまり、胸鰭中央上付近からはじまることでほかのクロアナゴ属と見分けられるようだ。残念なことに、ダイナンアナゴとキリアナゴの写真は持っていない。いつかこれらの魚を入手出来たらご紹介したいと思っている。なお、クロアナゴの学名は長い間Conger japonicusとされたが、これはマアナゴの異名とされた。現在はConger jordaniとされている。この個体は2020年の秋にきさいや広場で購入した宇和海産の個体。

なお、クロアナゴに出会ったのは、これが最初ではない。2007年以降、何度も見ている。ただし状態があまりよくなかったりして、紹介できていないこともあった。2007年に松野の「おさかな館」から頂いた個体は7.4㎏、全長1140mmもあって驚いたものである。この写真は2010年に高知県の漁港で浮かんでいた個体。おそらくイセエビ網か何かで漁獲されたのだろう。しかし展鰭が今見たらあまりにも適当である。

クロアナゴは大型になり底曳網や釣りで漁獲されて市場にでる。市場価値はマアナゴほどではないようだが、白焼きなどにして食され、そこそこ美味である。

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