魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

オンデンザメ

2016年11月29日 00時51分43秒 | 魚紹介

この間我が家に届いた物体。ツノザメ目・オンデンザメ科のオンデンザメの肉である。オンデンザメは北海道全沿岸~土佐湾までの深海(水深2000m以浅)に生息する深海ザメ。今回は切り身の状態で送られてきたもので、残念ながら全身の画像はない。

こんな感じで皮がついた状態で送られてきた。

肉はこのような感じで白色できれいだが水分がよく出る。

粉をつけてムニエルにしたり、煮つけにしたりして美味しくいただきました。坂口太一さん、ありがとうございました。

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シロゲンゲ

2016年11月26日 00時02分42秒 | 魚紹介

今日は以前少しだけ紹介していたのだが、全身の写真は今回初めて登場となる魚。スズキ目・ゲンゲ亜目・ゲンゲ科・シロゲンゲ属のシロゲンゲ。

この魚を入手した坂口さんが画像を送ってくれたのだが、体高が妙に高くて最初カムチャッカゲンゲ、もしくはオグロゲンゲという別の種のようにも見えた。彼は最初からシロゲンゲとおっしゃっていたのだがとてもそのように見えなかった。しかし届いて同定を行ったところ、シロゲンゲと同定できた。

シロゲンゲの側線

オグロゲンゲは側線が一本しかないのだが、シロゲンゲは二本ある。二本あるといっても側線二本が頭から尾まで走っているのではなく、頭部から体側の途中までを走る1本と、体側の途中から尾部までを走る1本の、合計2本あるということだ。オグロゲンゲは1本で側線が体側の中央付近でまがり、尾部にまで到達する。残念ながらオグロゲンゲの写真は持っていない。シロゲンゲの色彩は名前の通り海からあげてすぐのときは白っぽい色なのだが、陸にあげてしばらくすると灰色っぽく変わってしまう。これはカンテンゲンゲなど、ほかの同属の魚にも同様のことが言えるだろう。

分布域は広く、国内では八丈島、相模湾以北の太平洋岸、北海道オホーツク海岸に生息している。この個体もオホーツク海岸の羅臼で採集されたものである。海外ではオホーツク海、ベーリング海、アラスカ沖にまで分布しているが、日本海ではなぜか見られないようだ。

カンテンゲンゲ 岩手県産

カンテンゲンゲとシロゲンゲの違いは以前に書いた。シロゲンゲは眼隔域が広いが、カンテンゲンゲは狭い。

 

ほかにはシロゲンゲの胸部には鱗があるが、カンテンゲンゲの胸部には鱗がないという特徴もある。一方カムチャッカゲンゲやオグロゲンゲでは胸鰭基部上に鱗があるのに対し、シロゲンゲやカンテンゲンゲでは胸鰭基部上に鱗がない。

シロゲンゲの胸部。少し鱗が見えるが写真からはわかりにくい。

シロゲンゲの鱗

カンテンゲンゲの胸部には鱗がない

シロゲンゲは水深1620m以浅の深海にすむ深海魚である。漁法は釣り、底曳網、刺網など。東北地方太平洋岸沖の沖合底曳網漁業では多く漁獲されているようだ。シロゲンゲは日本に3種が知られ、ノロゲンゲは干物に使用されるが、本種やカンテンゲンゲなどの大きくなる魚はぶつ切りにして汁物にされている。今回は煮つけにしたが、肉がやわらかくて美味であった。下の写真の右の魚がそれである。

いつの間にかぶろぐの魚紹介のコーナーもみなさまのおかげで400回目になりました。ありがとうございます。

●おまけ

明日は午前中~午後3時くらいまで浅草寺そばの「アクアリウムバス」に行ってきます。

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アラスカメヌケ

2016年11月25日 23時19分39秒 | 魚紹介

今日は本当はホラアナゴ科の何かを紹介したかったのだが、写真がなかった。だからまだ紹介していなかったポピュラー種を。スズキ目・メバル科・メバル属のアラスカメヌケ。

アラスカメヌケ、という和名よりは故阿部宗明博士が述べている「アカウオ」という名前のほうが一般的だろうか。アラスカメヌケはよく海外から輸入されているメバル属の魚である。切り身、粕漬け、あるいは顔&内臓抜きで販売されているのはたまに見るが、頭も内臓もちゃんとついた個体を見るのはもちろん今回が初めてである。アラスカメヌケ、という名前であり日本には分布しないと思われがちな本種であるが、日本では北海道から東北地方太平洋岸に分布している。海外では名前の由来となっているアラスカ~カリフォルニア半島までのアメリカ大陸西岸と、アリューシャン列島、オホーツク海、ベーリング海、カムチャッカ半島にまで分布する。今回の個体は北海道の羅臼で採集されたもの。

アラスカメヌケ頭部背面

アラスカメヌケはほかのメヌケの仲間の多くと同様に頭頂棘をもっている。後頭部に1対見える線のようなのがそれ。背鰭はふつう13棘、13~17軟条・臀鰭3棘6~9軟条。

 

アラスカメヌケの眼

ホウズキ(ホウズキ属)の眼

アコウダイやアラメヌケとは、眼窩下縁に棘がないことで区別できる。ホウズキやベニメヌケ(ホウズキ属)とは背鰭局数でも区別できる。ホウズキ属の魚は背鰭棘数はふつう12棘なのだ。

アラスカメヌケの下顎

ほかのメヌケの仲間にはよく似たものもいるが、アラスカメヌケは下顎が著しく前方に突き出るといった特徴がある。バラメヌケとは頭部背面に明瞭な帯が見られないという点でも区別できる。バラメヌケは頭部背面に3本の明瞭な横帯が出るのだ。アラスカメヌケの体は一様に赤色であるが、鰓蓋に黒っぽい模様が出ていたり、体側の背部に暗色の模様があったりする。

ほかのメヌケ同様にやや深海性で、アラスカメヌケは検索図鑑によれば通常、水深100~450mほどの場所に生息しているという。しかし825mで漁獲されたこともあるようだ。同じメヌケ類であるオオサガなどは水深1000mを超える深さからも獲れる深海魚だ。

「新顔の魚」によればメヌケの仲間は1970年の時点で給食、食堂、一般家庭用の惣菜と広く使用されていたようだ。様々な料理に使えるというが今回は鍋で食した。今年は関東でも11月に雪が積もるという珍しいシーズンとなったが、美味しい鍋であたたまりたいものだ。実際にこのアラスカメヌケは極めて美味なものであった。

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クロソコギス

2016年11月22日 12時28分31秒 | 魚紹介

以前このぶろぐでも紹介してきた魚。今回は久しぶりに入手したので、記念に。

最初に写真を見たときは、ウナギ目ホラアナゴ科のコンゴウアナゴという魚(ちなみにホラアナゴ科の魚は一度もこのぶろぐには登場していない)と思ったのだが、よく見るとソコギス目・ソコギス科・キツネソコギス科のクロソコギスであることが判明。

ウナギ目やソコギス目と近縁なソトイワシの仲間の鰭は軟条で構成されるが、このソコギスの仲間は立派な棘を有しているのである。

クロソコギスの背鰭

背鰭は5~12棘で、軟条はない。背鰭に軟条部がないことで近縁のタヌキソコギス属と区別できる。日本産キツネソコギス属は2種が知られており、キツネソコギスは背鰭棘数が12~15であることで本種と区別できる。では12棘の場合、どちらに同定すればいいのか悩むが、今回の個体は痕跡的なものを含め10棘であり、本種と同定できた。一方科の和名になっているソコギスは背鰭に26~40棘もあるというのだから驚きだ。

クロソコギスの臀鰭

臀鰭にも13~21の棘をもつ。なお、今回の個体は吻の部分を損傷しており、頭を右に向けて撮影したものを左右反転している。

分布は広く千島列島~房総沖までの太平洋岸、北太平洋、大西洋。しかし日本国内ではあまり暖かい海では見られないようで、そのような場所には同属のキツネソコギスが生息する。キツネソコギスは青森県~土佐湾までの太平洋岸と沖縄舟状海盆、太平洋に分布し、クロソコギスよりも南方系といえそうである。

ソコギス目の魚はほとんどが深海性。トカゲギスの仲間は深海底にいる様子を撮影したものが書籍やテレビなどでも見られるが、本種も水深3000mまでの深海に生息している。しかしながらクロソコギスは比較的浅い場所にも出現することもあるようで、検索図鑑によれば水深125mほどの場所でも漁獲されている。漁法は刺網や底曳網。

基本的に食用にされることがないソコギスの仲間。そもそも深海性でめったに出会えない種類の魚である。しかし、見た感じは安いアナゴのかば焼きに使われていることもある、イラコアナゴという魚にもよく似ており、今回は食してみることに。まずさばいてみる。この個体は雌であったのだが、卵の様子がゴテンアナゴなどのウナギ目魚類そっくりであった。ちなみにソコギスの仲間もウナギ目同様、レプトケパルス期を経て大きくなるらしい。

ウナギ・アナゴといえばかば焼きであるが、今回はあえて白焼き。

そして唐揚げ。

味は本物のアナゴに似た感じで極めて美味であったが、かなり脂っこくその辺は好き嫌いが分かれるかもしれない。次回また機会があったらほかの料理も試してみたいものだ。なお前回のツマグロカジカと一緒に煮て食べたのは本種ではなく、別の魚、北の海で細長い底生の魚といえば、あの魚だ。またのちの機会にご紹介したい。なお昨日月曜日にも素晴らしい魚が届いたのだが、これの紹介はまた後になるかもしれない。魚に触れるのは楽しいことだが、やらなければならないことも多いのだ。

今回のクロソコギスは坂口太一さんより。ありがとうございます。

 

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ツマグロカジカ

2016年11月19日 13時10分07秒 | 魚紹介

久しぶりに北海道の魚シリーズ。スズキ目・カジカ亜目・カジカ科・ツマグロカジカ属のツマグロカジカ。

カジカの仲間はよくハゼの仲間と間違えられやすい。暖かい海ではハゼの仲間が多数みられるのだが、北の海では少ない。そんな感じで北の海ではカジカの仲間が反映しているのだが、カジカの仲間はハゼの仲間より大きいものが多い。マハゼの「尺」はかなりでかいが、カジカの仲間も30cmくらいある種も何種もいる。もちろん数cmほどの小型種も多い。トゲカジカのように70cmあるものもいて、そのような個体は小さなズワイガニを丸のみにしていたりする。

ツマグロカジカも全長30cmほどになるカジカの仲間である。分布域は岩手県・島根県隠岐以北の各地沿岸で、北海道では全沿岸で見られる。このほか魚類検索によれば相模湾でも見られるようだ。生息水深は10~150mくらいで、釣り、刺網、底曳網で漁獲されている。

Fishbaseによればツマグロカジカ属魚類は北太平洋、北大西洋に7種が知られている(うち1種は西サハラ産とされているが・・・さて??)。そのうち日本産は5種。見分け方は眼隔域の骨質板の有無だ。これらの5種は頭部背面に多数の骨質板があるが、眼隔域の骨質板の分布が重要な同定形質になりうるのである。

1.骨質板が眼隔域の中央部にのみあるもの

2.骨質板が眼隔域を完全に被うもの

3.骨質板が眼隔域にない(あるいはわずかにある)もの

写真は撮り忘れたが、この個体の骨質板は骨質板が眼隔域の中央部にのみある。この特徴に当てはまる日本産ツマグロカジカ属は2種類で、ツマグロカジカとアイカジカの2種である。ツマグロカジカとアイカジカは一見よく似ており見分けにくいのだが、胸鰭の模様をみたらわかりやすい。

ツマグロカジカの胸鰭

黒くて太い帯があるのがツマグロカジカ、その胸鰭の太い帯の間に数本の細い帯があるのがアイカジカ。尾鰭の形も若干違い、ツマグロカジカは尾鰭の後縁が少し湾入するが、アイカジカはまっすぐに近いようである。ただこの個体はまっすぐに近いように見えるが。アイカジカのほうは以前写真を撮影したと思ったが、結局見つからなかった。アイカジカの分布域はツマグロカジカの分布域と似ているが、アイカジカは茨城県にまで分布している。

ほかの3種はハゲカジカ、セビロカジカ、チカメカジカで、ハゲカジカは石川県・福島県~北海道全沿岸。セビロカジカは北海道でも北東部にのみ分布する。チカメカジカは北海道の東部から岩手県・福島県に分布している。やや深い場所にいることが多いことや、カジカの仲間は同定が難しいことも多いため、あまり気にされていないのかもしれない。はたして出会うことができるかはわからないが、ぜひ出会いたい魚である。

今回はクロメヌケや近いうち紹介する予定の魚と一緒に煮て食べたが、かなり美味であった。汁物も美味しいと思われる。汁物には肝臓と卵を入れることを忘れてはならない。これも坂口太一さんからのいただきもの。ありがとうございました!

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