魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

タラ鍋

2010年10月31日 23時09分52秒 | 魚介類を食べる

木枯らしも吹くようになり、秋も終わりが近づきつつあります。
そんな時はお鍋が美味しくなります。

鍋のときに主役となるのは白身魚。その代表選手がタラ目の魚です。

写真の魚はマダラGadus macrocephalus Tilesius。マダラは北海道~関東・日本海側では九州付近まで見られます。宇和海でもごく稀に獲れるそうです。

 

タラといえば成魚は高級魚ですが幼魚は安価に購入可能。写真の個体は2匹で合わせて300円ほどでした。

土鍋に魚を入れて、煮込みながら野菜・キノコ・肉類をいれます。

春菊は自家育成。白菜・春菊・まいたけ・細切れ肉にも魚のだしがしみ込みかなり美味しいです。幼魚は今のうちならまだ安く手に入りそう。冬の前に美味しいタラ鍋をどうぞ。

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濃尾平野のタモロコ

2010年10月25日 23時04分43秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

ここまでは2種ともコイ科以外の淡水魚を紹介しましたが、ここではコイ科の魚をご紹介します。

タモロコGnathopogon elongatus elongatus  (Temminck and Schlegel)はその名の通り緩やかな流れの河川や水路などにすむコイ科バルブス亜科(モロコ亜科)の普通種です。

日本産のバルブス亜科は1属2種からなります。その中でもこのタモロコは広域に分布します。分布域は東北地方~四国、九州ですが、九州と東北のものは人為的に移植された可能性が高いのです。

ちょっと見えにくいですが、口にはコイのように髭があります。この髭の長さで日本にすむもう1種のバルブス亜科であるホンモロコと区別できます。私はホンモロコは見たことがありませんが、ホンモロコは琵琶湖固有の魚です。

四方を海に囲まれた島国である日本では、海水魚が多く食べられていましたが海の無い県では淡水魚が主要な蛋白源でした。アユ、ハゼ、ウナギ、ウグイ、コイ・・・その中にもホンモロコがあり、これはコイ科の魚でも最も美味であるとした文献もあるほどです。このタモロコもホンモロコと比較してやや味は劣るようですが食用にされています。

文献 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海 (編), 2005. 山渓カラー図鑑 日本の淡水魚(3版). 山と渓谷社, 東京. 

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スジシマドジョウ小型種東海型

2010年10月22日 18時11分01秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

写真の魚はスジシマドジョウ小型種東海型とよばれるものです。

スジシマドジョウ種群Cobitis spp.は同定が非常に難しく、分類も混乱しており、正確な学名や標準和名などはまだ決められません。

これらは以前紹介しました、濃尾平野の用水路に小型個体から大きめの(全長6cmくらいまで)ものまで多数がゼゼラやメダカと共存していました。水路の状態は健全といえるかはわかりません。どこからかの移入の可能性もあります。

今回採集した中でも最小の個体。大きさは3cmほど。

スジシマドジョウ小型種東海型によく似たものにはスジシマドジョウ小型種山陽型などがいますが、これらは非常によく似ています。保護としては、在来の種および型を保護し、外来種(型)の侵入を防ぐのが最もよいと思われます。姿形が似てるから、と外来のものを放すのはもってのほか。すでに他の魚ではそれによって危険な状態に陥っている現状もあるようです。

参考

日淡会の「同定(9)」http://tansuigyo.maxs.jp/a/link7-10.htmlスジシマドジョウ小型種東海型とそれに近縁なシマドジョウ西日本集団2倍体型について詳しいです。また、スジシマドジョウの移入についての記事もあります。

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空飛ぶ剣

2010年10月19日 23時07分16秒 | Fish news

本日のYahoo!ニュースより、米フロリダ沖の事故。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101019-00000302-reu-int

はねたオニカマスSphyraena barracuda (Walbaum)が女性に襲いかかったのだそうです。

オニカマスはカマス科の魚では世界最大で、全長1.5mを優に超えます。体は銀色で、成魚は体側下方に黒色斑を出します。

この魚は2つの理由で危険な魚としてしられています。まず、先ほどのニュースでもありましたように、ほかの生物を襲う非常に獰猛な魚です。古い記録では人を襲って死亡させた例もあり、熱帯地方、とくにバハマや西アフリカでは恐れられています。

世界中の暖海に分布し、日本でも南日本では成魚が時々獲れます。西部大西洋では結構数が多いようで、バハマ沖ではスポーツフィッシングの対象とされています。ルアー釣りの対象魚なのです。しかしその際も針からはずしてリリースするためには鋭い剣のような歯に注意しないといけません。

この魚はきらきら光るものにも反応を示すとのこと。時計やアクセサリーなどをつけて潜ったら彼らに襲われる危険性が出てくる、ということです。よっていかない限り危うくないメジロザメ類などよりも危険な生物かもしれません。今回もアクセサリー、もしくは光の反射によって発生したケースかもしれません。

また、本種を含む大型カマスは食物連鎖の上位に位置し、熱帯域でしばしば食中毒を引き起こします。そのため「ドクカマス」の異名があります。

「光るアクセサリーを身につけない」「熱帯域の大型カマスを食する時は、種を確認する」

オニカマス対策を万全にしましょう。

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深海魚のもと

2010年10月19日 00時37分45秒 | 魚介類を食べる

これは、「とある深海性魚類」を包丁でたたき(すぎ?)つくったものなのですが、いったい何かおわかりでしょうか。

これは非常に美味でした。ただし、脂も多く、なかなか多量は食えないかもしれません。マダラなど、深海魚の胃の中からはこれがよく出てくるのです。なるほど、美味なわけです。

正解はこの魚です。ニギスGlossanodon semifasciatus (Kishinouye)。地方によっては沖ウルメとか沖ギスなどと呼ばれる、深海性の小魚です。

写真からはなかなか伝わりにくいのですが、ひかりの加減で七色に輝く美しい魚です。

先ほども述べました通り、日本海にすむタラやフサカサゴの仲間の胃内容物としてしばしば見られます。日本海側の資源となりうる底魚はタラ、フサカサゴ類などで、これらの胃の中からはしばしばこの魚が見つかります。そして日本海側ではなく、太平洋側でもこれらの魚は重要な餌資源・食糧資源です。

日本産のニギス科魚類は4種が知られています。うち本種とカゴシマニギスの2種がポピュラー。イチモンジイワシは希な種で、コタカニギスは今年に新種記載されたばかりの「新顔」です。

では、このニギスは何を食べているのか。胃の中からは小さなエビなどが見られましたが・・・魚も出てきました。

キュウリエソMaurolicus japonicus Ishikawa

これこそが、タラからニギスまで、全ての日本海産肉食性深海魚の餌、つまり深海魚のもと、となる魚です。以前ご紹介しました、デメエソダマシとか、そのあたりと同じ生態系の位置にいるといえそうです。

 

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