魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

今日の魚 2009年3月21日 Vol.38

2009年03月21日 00時26分36秒 | 今日の魚(不定期更新)

オオモンハタ Epinephelus areolatus   (Forsskål)

ハタといえば、大きくて、力持ちで、怪物のようなイメージがあるかもしれない。しかし、防波堤にもその「怪力の怪物」は潜んでいる。しかし、それらは幼魚であることが多い。マハタ、クエ、そしてこのオオモンハタが多い。では、オオモンハタとは、どんな魚なのか。これはあまり知られてはいない。

●特徴

オオモンハタの成魚は全長70cmにもなる大型種。幼魚のころは本州や四国、九州の防波堤の、足元直下の海にも結構いる。幼魚は赤い斑模様をもつ。関西で「あこう」九州長崎で「あこう」と呼ばれるキジハタEpinephelus akaara   (Temminck and Schlegel)に似ているが、キジハタでは尾が丸くなるのに対し、本種の尾は形をしている。尾鰭の後端がまっすぐなのである。よく似たものにホウセキハタEpinephelus chlorostigma   (Valenciennes)というのがいるが、ホウセキハタでは尾鰭の後端が白くならないのに対し、本種は白い。

オオモンハタでは幼魚・成魚での顕著な差というのは見られないが、幼魚の斑紋は成魚のものに比べて大きいことが多い。

●生態

オオモンハタの成魚は岩礁に見られ、船釣りでも釣れる事がある。沖縄などのサンゴ礁にもよくいる。ハタ科魚類はいずれも肉食性で、本種も小魚や甲殻類などを主食としている。熱帯域にも、本州の温帯域にもよく適応しており、四国の海では一年を通してよく見られる。

●利用法と漁法

釣り人の間で「オオモンハタ専門の釣り」というのはあまりない。おそらく、マハタなど他のハタ類全般に防波堤から、船から狙うのであろう。また、本種はルアーでもよく釣れ、ソフトルアーにも果敢にアタックする。
商業としての漁では、定置網によく掛かる。秋ごろの入網が多いが、周年いる。また、愛媛県では養殖も行なわれており、「点ハタ」「点クエ」などと呼ばれるようである。

●飼育

飼育は容易。何でもよく食うが、オキアミの単食は禁物である。他の魚を一緒に入れると食われてしまう。

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今日の魚 2008年10月5日 Vol.37

2008年10月05日 13時29分13秒 | 今日の魚(不定期更新)

ギンガメアジ Caranx sexfasciatus   Quoy and Gaimard

秋も深まる今日この頃。太平洋岸や日本海側の南部の、河川汽水域に面した場所ではこの魚が連日釣れているころでしょうか。いわゆる「メッキ」です。

 

メッキと呼ばれるのは南方系の体高が高いアジ「ヒラアジ」(主にギンガメアジ属)の幼魚の総称で、日本沿岸には本種の他、

カスミアジCaranx melampygus   Cuvier
オニヒラアジCaranx papuensis   Alleyne and Macleay
イトウオニヒラアジCaranx heberi  (Bennett)
ロウニンアジCaranx ignobilis   (Forsskål)
ミナミギンガメアジCaranx tille   Cuvier
カッポレCaranx lugubris   Poey

が知られていますが、このうちカッポレはやや外洋性で残念ながら我々にはあまり馴染みありません。ミナミギンガメアジもあまり河川汽水域には現れないようです。
河口にも現れるものは本種、カスミアジ、オニヒラアジ、イトウオニヒラアジ、ロウニンアジです。

本種の幼魚は河川汽水域や内湾に出現しますが成長すると沖のサンゴ礁域や岩礁域へと出て行きます。そしてオフショアフィッシングの対象魚になるわけですが、時々湾内にも居つくようです。

地方名としては「メッキ」これは幼魚の期間を指します。「エバ」これはこの仲間の総称でしょうか。四国や九州でこの手の魚を指すときに使うようです。また本種は別名「ナガエバ」という名前で、ほかの同属魚類と区別できるようです。

味は他のアジ同様に美味なものです、塩焼きや刺身など様々な料理に向いています。

飼育する場合は大型水槽が必要です。水槽内でも60cmくらいにはなるといわれ、成魚は150~180cmクラスの水槽が必要でしょう。

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今日の魚 2008年7月31日 Vol.36

2008年07月31日 21時51分17秒 | 今日の魚(不定期更新)

リボンスズメダイ Neopomacentrus taeniurus   (Bleeker)

本種はサンゴ礁のスズメダイほど派手というわけではないですが、じっくり観察してみると、非常に味わい深いスズメダイです。

 

●生態

本種は海というよりも、汽水域を好んで生活します。スズメダイの仲間としては珍しい特徴です。汽水域なら様々な場所で見られ、それに続く海でも見られます。私はこの魚の大群を奄美大島の某所で観察しています。

汽水域に続くマングローブの林の中にも見られます。

●餌

基本的に雑食といわれていますが肉食性が強いです。奄美では漁港で魚のあらに群がっているところもみました。オキアミで釣れるのですが、本種が群がってきてしまい他の魚がなかなかつれません。

●特徴

黒い地色で、尾鰭の中央部が黄色になることが特徴です。尾鰭は長く伸びています。尾鰭が長く伸びるといえば、このヒレナガスズメダイもそうですね。

ヒレナガスズメダイは前鰓蓋骨後縁に棘があるか否かで区別できますが、体色だけでも簡単に見分けられます。

●仲間

日本産のリボンスズメダイの仲間は5種類が知られています。そのうち2種は近年八重山からみつかったものです。もう1種は日本からは神奈川三崎から記録されていますが、他の魚との誤同定の可能性もあります。

近縁のクロリボンスズメダイは奄美大島でも見られます。図鑑での分布は石垣島以南ですが奄美大島でも普通種です。ただし個体数はリボンスズメダイのほうが圧倒的に多いです。

尾鰭中央部が黄色にならず、リボンスズメダイと区別できます。

もう1種、奄美や沖縄の河口域で釣りをしているとよく釣れるスズメダイがいます。

スミゾメスズメダイです。この魚はソラスズメダイ属に含まれます。この属の中では珍しく汽水域に進入します。尾鰭の形から区別は一目で可能です。

この3種が、奄美や沖縄諸島の汽水域で我々の竿にあたりをくれるスズメダイの仲間の主なものです。

 

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今日の魚 2008年7月6日 Vol.35

2008年07月06日 13時35分34秒 | 今日の魚(不定期更新)

キヘリモンガラ Pseudobalistes flavimarginatus   (Rüppell)

お笑いでの「ボケとツッコミ」というのは笑ってみていられるのですが、この魚の突っ込みは非常に危険です。

 

●分布

キヘリモンガラは基本的に熱帯の魚ですが、南日本の太平洋岸にも生息しています。これは流れ藻などの浮遊物につくためです。日本海でも年によっては見られます。

海外では紅海、南アのナタール(Natal)沿岸~中部太平洋トゥアモトゥ諸島に至る地域に分布していますが、これはインド・太平洋熱帯域の広域に分布しているということがいえます。

●生息環境

サンゴ礁域、その周辺の砂底に生息しています。Fishbaseによると、水深50mの場所にまで見られるようです。幼魚は流れ藻やブイなどについています。

●繁殖

卵は付着卵です。親は卵を保護する習性があります。卵を保護するのは基本的に雌で、砂底に作られた巣に近づくものには「突進」攻撃をくらわします。そしてこの魚は歯が強く、突進されると怪我をする恐れもあります。

●分類

フグ目モンガラカワハギ科に属します。フグ目の分類については従来様々な議論がなされてきましたが、2亜科に再編されています(中坊編(2000))。モンガラカワハギ科はカワハギ科、ハコフグ科、フグ科などとともにフグ亜目に含まれています。モンガラカワハギ科は12属、42種類が報告されています。

●仲間

本種はキヘリモンガラ属に含まれます。キヘリモンガラ属は日本から2種類が報告されています。同属のイソモンガラは主に琉球列島に分布し、個体数は本種に比べ少ないです。

太平洋の東部にはストーントリガーフィッシュPseudobalistes naufragium  (Jordan and starks) と いう種類が知られています。この種類はモンガラカワハギ科魚類中最も大きくなり、全長1mにも達するようです。こんなのに突っ込まれたら、危ない、危ない。

●飼育

飼育は単独をお勧めします。他の魚との同居は鰭などをかじるためむずかしいです。

流れ藻につくサイズのキヘリモンガラ。

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今日の魚 2008年6月8日 Vol.34

2008年06月08日 00時02分27秒 | 今日の魚(不定期更新)

モンツキベラ Bodianus dictynna   (Gomon)

今回はベラの仲間の熱帯性種であるモンツキベラを紹介します。

 

●分布

モンツキベラはインド・太平洋の熱帯サンゴ礁域に生息するベラの仲間です。しかしわが国では相模湾以南の太平洋岸で見られます。幼魚が黒潮に乗って北上するため分布が広いのでしょうが、死滅回遊というわけでなく、高知では越冬しています。

●食性

ベラの仲間の多くの種が肉食で、本種もそれにもれず、甲殻類をこのんで捕食します。吻が長く、餌を啄むようにして食べます。水槽内でエビ・カニの小型のものと一緒に飼うということは、それらがえさになると考えてよいでしょう。

モエビの仲間。これらはベラの餌食になりやすい。

●特徴

胸鰭を除く各鰭に暗色紋があり、それが和名の由来となっています。臀鰭には2つも暗色紋があります。幼魚は褐色で白い斑点があります。

●仲間

よく似たものにスミツキベラというのがいます。これも高知県ではモンツキベラに混ざって釣れます。ただし個体数はあまり多いわけではありません。

スミツキベラは尾鰭の付け根に暗色紋がみられない

●飼育

飼育は60cm水槽以上を推奨します。結構泳ぐベラなので、ライブロックの隠れ家のほかに、遊泳スペースをつくってあげるとよいでしょう。夜間は砂にもぐらない種類なので、砂は敷かなくてもかまいません。

他の魚介類との混泳ですが、まず小型のエビ・カニ類は厳禁です。入れたらほぼ確実に餌食になってしまうでしょう。ある程度の大きさのオトヒメエビなどならOKかも知れませんが保障はしかねます。

他の魚とは特に問題なく、サザナミヤッコなどの大型ヤッコやハギの仲間、イサキの仲間、ミノカサゴ、チョウチョウウオ、他のベラなどとの混泳も楽しいでしょう。ただし他の魚のことも考えるとちょっと大きな水槽がほしいものですね。

最近は小型魚にこっており、なかなか持ち帰ることはなくなりましたが、また飼ってみたい魚のひとつでもあります。

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