魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

シマイサキ

2020年12月31日 18時34分04秒 | 魚紹介

もう年末である。今年はいろいろな魚を初めて食べた。今回ご紹介するシマイサキもそんな魚の一種である。

シマイサキはスズキ目シマイサキ科の魚である。主に沿岸から内湾、河口域に多く生息している種である。なお、種の標準和名で「シマイサキ」というものの、イサキ科との縁は遠い。しかしイサキ科の中にも、ミゾイサキの仲間の一部の種はコトヒキの仲間っぽく見えるから不思議である。英語ではトランペッターとも呼ばれている。

シマイサキ科は日本にも7種ほど知られているが、本州の沿岸で見られるのはこのシマイサキのほか、コトヒキ、たまにヒメコトヒキが見られるくらいである。その一方沖縄ではすべてのシマイサキ科魚類が見られるが、シマイサキだけは極端に少ない。つまり本種は熱帯域、というよりも温帯域を好む種ということだろう。

このシマイサキは比較的よく見られ、よく食されている魚であるものの、あまり縁がなかったが今年初めて田中水産さんより送っていただくことになり、初めて食した。美味しい。南九州ではよく食べられているようだ。水もきれいだから、味もよいのだろう。ただ南九州でこれほど多いのに琉球列島で少ないというのも不思議ではある。田中水産 田中積さん ありがとうございました。

これで今年はおしまい。みなさま、ありがとうございました。よいお年を。

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2020年総括

2020年12月31日 01時09分13秒 | シーズン総括

さて、おなじみの「シーズン総括」である。今年は「例のあれ」のせいであまりあちこち行くことはできなかったが、それでも3回ほど海へ行くことができた。

●3月、南方遠征

3月には南の島へ遠征。珍しいハゼやテンジクダイなどを採集。イノー採集はやっぱり楽しいですね。ルリスズメダイはやっぱり綺麗でした。本来は淡水魚採集だったのだが、淡水魚のポイントは雨で増水しており、採集どころではなかった。ただし宮城龍二さんにお世話になったり、長嶋祐成さんに思いがけずお会いできたりもして、なかなか楽しむことができた。ありがとうございました。なお写真は釣れたルリスズメダイ&オジロスズメダイ。小物釣りの仕掛けで入れ食いであった。

●7月 千葉 房総半島へ

例のあれの渦中、ようやく緊急事態宣言もあけ、7月には千葉県 房総半島の磯で採集。磯に潜っているとハコフグを発見。そういえばこの磯ではハコフグは見たことなかったな~と思い網を出したが採集には至らず。ほかにもウツボやイセエビなどを発見。水を濁らせてしまったためか、イセエビが昼間に堂々と歩いていた。雨が降った後のせいなのか、磯の上に泥が堆積していた。

ニザダイの稚魚。ニザダイの成魚は磯では普通に見られるが、稚魚は初めて見た。また何気に採集するのも初めてだったりする。透明な体が特徴的で、1匹は体側に寄生虫がついている。ニザダイは大きくなり小さいうちは飼育も難しいのでお持ち帰りはなし。

魚はほかにもヘビギンポ、アオブダイの子、ほか何種かベラの子などを採集したが、チョウチョウウオの幼魚は種標準和名チョウチョウウオを一匹見ただけ。例のアレと合わせ、なかなか厳しいシーズンであった。

●9月、高知へ

採集してもらったナメラヤッコ

9月は四国に遠征。ここでなんとナメラヤッコを採集してもらうなどした。ナメラヤッコはこれまで海の上から見たことはあったが、飼育するのは初めてのことである。ほかにも何種か採集したが、珍しいテンジクダイの採集もでき個人的には大満足の遠征に。しかし高知県でバンダイシモチなんて採集できるとは思わなんだ。お持ち帰りは少なかったものの、珍しい魚を色々見ることができてうれしい。

●今年食した魚

今年は例のトヨペット病のせいで魚市場も仲買のみなさまも苦労の一年。飲食店で売れないだけでなく、観光客がおらず飛行機も飛ばないということで難しいシーズン。その中でも新しく様々な魚を食することができた。ここではその一部をご紹介。記事にしたものも多いので、その項もご参照のこと。

ナガブダイ

ナガブダイ刺身

ナガブダイ。長崎産のブダイはこれまでブダイとアオブダイ(食べていない)を入手しておりこれが3種目。全身が赤みを帯びているがアカブダイとは異なる種である。この個体は雌で雄はグリーンがかる。インドー太平洋の広域に分布。

 

ホシガレイ

ホシガレイの刺身

ホシガレイ。長崎県産のカレイ。高級な種でなかなか食べられない。マツカワに似ているが鰭の色彩がことなる。またこのホシガレイのほうが南の方にまで分布しているようである。刺身は美味しかった。

ミナミギンガメアジ。鹿児島県産のアジ科魚類。従来小さなのは入手したことがあるが、これほどのサイズは初めてであった。脂がのっており刺身で美味。

クロボシヒラアジ。ミナミギンガメアジと同様に鹿児島の田中水産社長 田中積さんより購入したアジの仲間。ミナミギンガメアジも美味しかったが、こっちのほうが美味しい。魚の見た目自体はシマアジに似ているが、味もそれに近い。

ホシカイワリ。鹿児島の田中さんからはことしはアジばかり購入しているきがする。その名前の通り小さな斑点が散らばるのが特徴。全長60cmくらいになり、やはり美味しいアジである。

バラハタとオジロバラハタ。オジロバラハタは2011、2012年に食したことがあるがバラハタは2012年初めて食した。2匹一緒に入っていて「日本産バラハタ属 全種の同定」ができる。なお、上がバラハタ、下はオジロバラハタ。いずれも刺身で美味。カマを焼いたのもよく脂がのり美味。

こういうそこそこいいシーズンではあったものの、終わりよければ・・・とはならず、年末勤めていた会社をなぜか解雇された。来年も家に住んでいるのか、それとも橋下からぶろぐを更新することになるのか。こうご期待!

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ナシフグ

2020年12月26日 07時24分32秒 | 魚紹介

最近久しぶりのフグと出会うことになった。ナシフグである。前回このフグを見たのは2009年のことなので、11年ぶりのことになる。

なぜナシフグとなかなか出会えないのかというと、本種の主な分布域が瀬戸内海や有明海、長崎県の橘湾だからである。この海域とはなかなか縁がない。四国にいても瀬戸内海では釣りをしたことがほとんどなかったからである。日本海沿岸にも生息しているが、個体数は多くないようだ。

ナシフグの特徴は体側の大きな黒色斑である。この黒色斑の周縁部に独特な白い縁取りもようがあるのが特徴だ。よくにたショウサイフグではこのような模様はほとんど見られない。また、コモンフグにもよく似ているが、コモンフグは体表に小さな棘が散らばるのに対し、ナシフグでは棘がなくてつるつるしている。いいお肌なのである。

同じようにつるつるした肌のフグで黒い模様をもつものにマフグがいるが、マフグでは臀鰭が黄色いのに対し、ナシフグでは白っぽい。またマフグの黒色斑にはナシフグのような縁取りがほとんど見られない。ちなみにこのぶろぐではマフグが掲載されていないが、これはマフグをいまだ入手していないことが理由である。長いこと色々な魚を触ってきたが、マフグはいまだに見たことがない。ゴマフグも同様である。

もちろん、ナシフグもほかのトラフグ属同様に強い毒がある。鮮度が落ちると皮の毒が肉にまわりゃすいともいわれる(ほかのフグでもありえそうだが、ナシフグは特に皮がうすくそうなりやすいよう)。そのため一時は食用が禁止されたというが、現在は一部の産地のもので専門の免許をもっているとさばける。もちろん素人料理は厳禁であるが。

ショウサイフグとの見分け方も紹介したかったのだが、それはまた今度にしたい。実はショウサイフグもあまりいい写真が無かったりする。

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コパディクロミス属

2020年12月23日 16時30分08秒 | 環境問題

今回ご紹介するのは、沖縄県で採集されたカワスズメ科魚類の一種である。おそらくコパディクロミス属と思われる種である。コパディクロミス属はアフリカのマラウィ湖に生息する属であり、もちろん沖縄には生息していないはずである、というかそもそもカワスズメ科自体が日本には生息せず、南米、中米、アフリカに多く、アジアには在来のカワスズメ類はインド周辺に生息するオレンジクロマイドやパールスポット以外には知られていない。したがって日本には在来のカワスズメ科魚類は皆無なのだ。

しかし、なぜかコパディクロミス属の魚は沖縄県の河川で繁殖している。この個体はある方からいただいたものなのだが、沖縄本島の某ダム湖で採集されたものらしい。このダム湖には外国産の魚がほかにもみられるらしく、一大パラダイスと化してしまっているようである。

カワスズメ科の魚類が日本で見られる理由はいくつかある。まずは食料として導入されたケースである。カワスズメ科、とくにティラピア類は白身でおいしい(らしい)。また飼育も繁殖も容易であり、今でも東南アジアでは盛んに養殖される。我が国でも中国人や東南アジア系の人たちの多い地域では冷凍で販売されていることがある。しかし養殖池から逸脱するようなことがあれば、生態系に大きな悪影響を及ぼすことは確実である。さらにカワスズメやナイルティラピアは海水域でもその姿をみることができ、魚類写真資料データベースでは浅いサンゴ礁域を泳ぐナイルティラピア(データベースではナイルテラピアとなっている・・・)の写真を見ることができる。つまりあちこちに分布を広げてしまう危険性があるのだ。

もう一つはアクアリウムにおける放流の問題である。これは飼育しきれなくなったアクアリストが河川や湖沼に魚を放つというものである。これについてはこのぶろぐでも過去何度も書いてきたものであるので、今回はさっと触れるだけにするが、新しい見方からこの問題について考えてみたい。

今年は長く続いた自粛期間ということで家にいても楽しめる趣味ということでアクアリウムを趣味にする人も多くいたようだが、一時のブームに乗っていくだけでは、最後まで世話をできずに河川や湖に飼育生物を放流することが起こりかねない。そのようなブームをつくっているウェブサイトやらニュースやらもこの問題については及び腰なところがある。

最近は在日外国人のアクアリストも増えてきた。しかし出稼ぎに来ている人の多くは日本からやがて出ていかなければならなくなる。そうなったときに飼育していた魚はどうなってしまうのか。考えると恐ろしい。特に「放生会」の文化のあるアジア地域の人については注意が必要であろう。店員さんも明らかに日本人ではない人について、永住権のない限り販売はしない、という風にしてもよいのかもしれないが、そうなったら「差別」という人も出てくるだろうし、一方愛玩動物としてイヌネコみたいに厳しくしてしまうのも多くの問題が発生するだろう。難しくかつ悩ましいものである。

 

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カゴシマニギス

2020年12月22日 04時53分34秒 | 魚紹介

もうすぐ年末。久しぶりのぶろぐ更新。職を失いいろいろと忙しいのだ。ニギスの仲間は日本にも5種がいるが、一般に食用とされるニギス科の魚2種である。この2種のうち、ニギスは以前ご紹介したことがある。過去記事を検索したら2010年ごろの記事にたどりつけるはずだ。

今回紹介するのは日本に生息し食用となるもう1種のニギス、カゴシマニギスである。

カゴシマニギスという標準和名のように、鹿児島には多いのだが、九州の他の地域でも底曳網により漁獲されている。なお、本種はニギス属ではなく、カゴシマニギス属の魚である。

普通のニギスとは体の様子が違う。体が寸詰まりのように見えるのだ。眼はニギスよりも大きいからそう見えるのかもしれない。また、鰓耙(さいは)の数もニギスよりはかなり少ない。今回はたたき、天ぷらなどで食べたが、いずれも非常に美味しい。

今回のカゴシマニギスはやはり鹿児島の田中水産さんより。ありがとうございました。なお、鹿児島ではこのカゴシマニギスのほか、深海魚を食用にするキャンペーンが盛んであるが、本種はその中心的な役割を担うに違いないだろう。


2019年にも送っていただいたことがある。これは2019年の個体。

 

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