魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

アバチャン

2016年12月31日 10時03分15秒 | 魚紹介

 

今年最後の魚紹介記事。スズキ目・クサウオ科・アバチャン属のアバチャン。

アバチャンは過去2回このぶろぐでご紹介してきたが、このほかにも意外と多数の個体を見ている。今回は北海道羅臼の近海で採集された個体。

東北地方太平洋沖のアバチャン

アバチャンは体側の斑紋により2つの群があるとされている。従来は日本海南部に生息するタイプと、太平洋北部、日本海北部、北海道沿岸に生息するタイプのふたつの群だが、これまで紹介したのは日本海南部に生息するタイプであった。しかし今回はようやく太平洋北部、日本海北部、北海道沿岸に生息するタイプを入手でき、紹介できることになった。

京都府(日本海南部)のアバチャン

日本海産のアバチャンは「黄色斑紋型」などと呼ばれ、黄色っぽい斑紋が特徴である。一方太平洋北部、日本海北部、北海道沿岸に生息するタイプは赤色斑紋型とも呼ばれ、赤い斑紋が目立っている。

上から北海道羅臼の個体、三陸沖(東北地方太平洋沖)の個体、京都府沖の個体。

これは北海道羅臼の個体であるが、吻部の斑紋がよくめだっている。日本産のほかのビクニンの仲間とは吻や上・下唇にたくさんの髭があることで見分けられる、というのだが、今回はそれはうまく撮影できなかった。

以前このぶろぐでご紹介したメガネカスベと一緒に唐揚げにして食べた。真ん中の長いのがアバチャンである。味はあまりないものの、決してまずくはなかった。坂口太一さん、ありがとうございました。今年の総括はまた後で。

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コガネガレイ

2016年12月28日 19時12分32秒 | 魚紹介

3日間もおさぼりしてしまいました・・・。

今日も北海道産の面白い魚をご紹介。カレイ目・カレイ科・ツノガレイ属のコガネガレイ。コガネガレイも名前をきくことは多いものの、まだ姿を見ることができなかった。しかし今回は初めて姿を見ることができた。ほかのツノガレイ属魚との見分け方もご紹介。

まず背鰭基部付近にまで達する側線分岐がないことで、よく似ているシュムシュガレイやアサバガレイなどと見分けることができる。また口のサイズもマコガレイやマガレイ等よりは大きい。頭部背縁が盛り上がらないことでスナガレイや、ハナガレイとも区別できる。

背鰭や臀鰭には縞模様がなくクロガシラガレイやトウガレイ、クロガレイなどとも区別できる。カラフトガレイとはやや体高があることや有眼側の鱗の様子で区別することができる。

コガネガレイは英語名でイエローフィンソールと呼ばれているが、その由来は新鮮な個体の無眼側の背鰭と臀鰭が黄色っぽくなるところからきているようだ。この個体は冷凍しているが、それでも黄色っぽい鰭の様子はわかる。

今回の個体も唐揚げで食したが、私はこの仲間を唐揚げで食すのが好きなようだ。カレイの煮つけも美味しいのだが、たくさんはなかなか食べられない。坂口太一さん、今回もありがとうございました。

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オニカジカ

2016年12月24日 15時42分58秒 | 魚紹介

 

北国の代表的な魚といえば、カジカ。

今日も北海道の魚。スズキ目・カジカ科・オニカジカ属のオニカジカ。

オニカジカは北海道から太平洋岸では福島県まで、日本海側では島根県隠岐にまでみることができる。広い範囲に分布していて、また浅い場所(水深100m以浅)にすむので、情報も多い。

オニカジカの最大の特徴は前鰓蓋骨にある巨大な棘で、内側は鋸歯状になっている。ほかにもこのような巨大な棘を持つカジカの仲間は何種かいるが、それらには頭部に骨質板が密集していたり、小型種である(10cm以下)などの特徴により、日本産のほかのカジカの仲間と区別することができるようだ。ちなみに日本産のオニカジカ属魚類は1属1種、ただし色彩的に区別ができる2型があるようだ。ただしそれがどのようなものかはわかあない。世界では4種が知られているが、北太平洋~ベーリング海、チュクチ海に分布し、大西洋には見られないらしい。

頭部には骨質の隆起があるのも特徴の一つ。同じように大きな前鰓蓋骨をもつクシカジカ類には骨質隆起がない。ツマグロカジカの仲間では骨質板で覆われているなどの違いがある。

オニカジカは今回は3個体を入手。うち1個体は雄の個体だったようで、ずいぶんと長くてりっぱなものをお持ちであった。

あとの2個体は地味な茶褐色の雌であった。

カジカ類は美味なものが多い。本種も唐揚げ、鍋物という二通りの食べ方で味わうことができた。この仲間を鍋で食べる場合、肝臓は絶対一緒に入れるべきである。そうでなければこの仲間の魅力がひとつ損なわれてしまう、ともいえる。カジカの仲間の多くは卵を食用にすることができる。しかし北米に生息する大型のカジカ科魚類で有名な釣り魚カベゾン(カベドンではない)の卵は有毒であるとされている。

今回も坂口太一さんから送っていただきました。ありがとうございました。

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イラコアナゴ

2016年12月23日 14時30分30秒 | 魚紹介

ぶろぐを更新することで「ぶろぐ初登場」となる種はまだまだ更新のたびに出てくるし、ぶろぐを10年間もやってきて「科」としてもはじめてご紹介できる魚もまだまだある。今回もそんな魚。ウナギ目・ホラアナゴ科・ホラアナゴ属のイラコアナゴ。

ホラアナゴ科の魚は日本近海の深海にも8属12種あまりが分布しているのだが、これまではこのぶろぐで紹介することはできなかった。理由はほとんどの種が深海性であり、それも底曳網(~300m)より深いところに生息しているものが多いからであろう。アサバホラアナゴのように水深100m以浅で見られることもある種もいるが、水深4000mくらいのところにいるものもいる。

口は大きく、鋭い歯を持っていてウツボの仲間のようにも見えるが、歯がウツボほど大きくはないように思える。ホラアナゴの仲間もウツボの仲間と同様獰猛なハンターで海底の動物や魚類を捕食する。また眼は口裂中央付近にあることで、口裂後端付近にあるホラアナゴと区別することもできる。

立派な胸鰭があり、これもウツボの仲間とは違ったところである。

ホラアナゴ科の魚類は鱗が同定形質として重要だったりする。イラコアナゴの鱗は棒状で細長く、楕円形に近いホラアナゴや、円形に近いソデアナゴおよびモトソデアナゴと区別できる。

分布域は北海道~沖縄県の太平洋域。海外ではインドー西太平洋、オーストラリア周辺、ハワイ諸島近海、グリーンランド、南アフリカ、ブラジルまでの大西洋域に広く分布している。水深300m以深に多く生息し、3000mを超える深海にまで生息する。日本においては北海道~千葉県までの海域では深海釣りや底曳網漁業などの漁法で漁獲され、食用となっている。

食べ方も色々で、煮物、かば焼き、揚げ物などさまざまな方法で食することができる。また東太平洋に生息しているウミヘビ科のマルアナゴのように、ウナギの代用としての利用もされているようである。

今回はほかの魚数種とともに、唐揚げでいただく。小骨も食べられ、脂がよく乗り美味である。

以前クロソコギスという魚をこのぶろぐで紹介したことがあった。その時にホラアナゴの仲間をぶろぐで紹介したことがない、と書いたら坂口太一さんがほかの魚の中にいれておいてくれたのかもしれない。とてもうれしいプレゼントであった。ありがとうございました。

 

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ウロコメガレイ

2016年12月21日 15時14分18秒 | 魚紹介

なんか久々な感じの北海道シリーズ。
カレイ目・カレイ科・ウロコメガレイ属のウロコメガレイ。

ウロコメガレイはツノガレイ属(研究者によってはいくつかの属に分けているが)の魚に似ているが、その名の通り眼上に小さな鱗があるのが異なっている。このほかミギガレイという種も眼の上に鱗をもっているが、ミギガレイは体がややほっそりしていて、鱗の数もウロコメガレイと比較して少ない。またウロコメガレイと比べると口が小さいのも特徴で、ツノガレイの仲間によく似ている。ミギガレイは以前写真を撮っているのだが、あまりよい写真ではないので今回はパス。久慈のほうでは大きめのものが販売されていて、今度購入してみたいと思う。

ウロコメガレイ側線


ウロコメガレイの側線は胸鰭の上方でカーブしている。これもミギガレイとは異なる特徴のひとつ。ミギガレイの側線は直線に近い感じ。

ウロコメガレイ無眼側

無眼側は特徴が少ない。

分布域は兵庫県香住以北の日本海岸と岩手県以北の太平洋岸で、北海道では各地の沿岸に分布している。海外では朝鮮半島の日本海沿岸、ピーター大帝湾、オホーツク海。やや深場のカレイであり底曳網や刺し網で漁獲される。

ウロコメガレイ属は世界でも1属1種。魚類に関する世界最大のデータベースであるフィリピンのFishbaseでのコモンネームはScale-eye plaiceとなっており、やはり眼の上に鱗があることにちなむのであろう。

今回は唐揚げにした。同じ日にツノガレイ属の別種(近日中に公開したい)も食べたが、ウロコメガレイのほうが脂が多く美味であった。またやわらかくて食べやすい。もちろん他種のほうもそれなりに美味であった。残念ながら料理の写真を撮るのは忘れてしまった。
今回も坂口太一さんからのいただきものでした。ありがとうございました。

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