ベラ科は世界中の熱帯~温帯、一部亜寒帯の海から500種あまりが知られており、海水魚の中でもハゼの仲間に次ぎ種類が多いグループとされています。鮮やかな色彩のものが多く、イトヒキベラやニセモチノウオ、ホンソメワケベラなどは観賞魚として人気がありますが、中型のホンベラ属、キュウセン、ササノハベラの類のように食用として重要なものもあり。シロクラベラやイラ等のイラ属魚類や、メガネモチノウオやヤシャベラなどのモチノウオ属など大きくなるものは釣り魚としても人気です。
タキベラ属の魚も食用として人気があります。今回和歌山から来たのは、タキベラ属のアカホシキツネベラBodianus rubrisos Gomon, 2006です。
写真の上の魚が「アカホシキツネベラBodianus rubrisos Gomon, 2006」下が「キツネダイBodianus oxycephalus (Bleeker, 1862)」です。2種類ともよく似ているのですが、上のアカホシキツネベラは赤い線が細めで、そのほかに小さな赤色斑が多数あるのが特徴です。キツネダイにはこの小さな赤色斑が見られません。
キツネダイは関東以南の太平洋側ではよくあがるのですが、このアカホシキツネベラはやや珍しいのか、分布域もよくわかっていないようです。幼魚は伊豆半島などにも出現しますが、主に琉球列島以南にすみます。海外では台湾とインドネシアに分布するようです。
学名は従来から変更があります。Bodianus leucostictus (Benett, 1832)というのがあてられていましたが、この学名は現在、別種のスジキツネベラという種類に適用されております。従来はスジキツネベラの老成個体ともされ混同されたようです。スジキツネベラはまだお目にかかっていませんが、スジキツネベラも和歌山に生息するようなので、お目にかかる日を楽しみに待つことにしましょう。