魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

キツネダイの刺身

2022年11月30日 22時49分19秒 | 魚介類を食べる

今日は軽くいきます。この前我が家にやってきたベラ科タキベラ属のキツネダイの刺身。薄く切った身はベラ科とは思えないくらい美しい(ほかのベラ科のみなさま、ごめんなさい)。基本的に底曳網や釣りで漁獲される本種、他にも購入できるチャンスは多いが、鹿児島県・田中水産のものは特に美味。田中積さん、いつもありがとうございます。

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ササムロ

2022年11月29日 22時43分23秒 | 魚紹介

今回は久々に登場の高知県産の魚。スズキ目・タカサゴ科・タカサゴ属のササムロ。

ササムロはほかのタカサゴ科魚類と比べるとやや体高が高く、尾鰭に黒い線が入る。タカサゴ科魚類の中で尾鰭に黒い線が入るものはほかにクマササハナムロがいるが、クマササハナムロよりも体側にある帯が黄色く、幅が広いので見分けることができるだろう。

生鮮時ササムロは体が鮮やかなブルーで黄色帯はもっと明瞭である。胸鰭基部付近に黒色点があるが、これをもつのは本種とクマササハナムロくらいのよう。タカサゴなどでは胸鰭の内側が黒っぽくなるようだ。腹部は白いのだが、釣りあげられて少し経つと赤くなってくる。この個体も腹部がうっすらと赤い。

タカサゴ属は日本からはこのササムロのほか、ユメウメイロ、ウメイロモドキ、ハナタカサゴの4種が知られている。なお、属の標準和名になっている「タカサゴ」は本種ではなくクマササハナムロ属の魚である。またユメウメイロやウメイロモドキはウメイロと関連付けされることが多いが、ウメイロはフエダイ科の魚である。ただしタカサゴ科はフエダイ科と近縁で近年は再びフエダイ科の中に含められることもある(従来もフエダイ科の中に入れられていた)。

タカサゴ科の魚は基本的に熱帯性の魚であるが、一部の種は九州以北の太平洋岸でも時々見ることができる。私はササムロをこの高知県のほか、愛媛県でも見ているし、このぶろぐにおいても以前三重県の尾鷲の定置網で漁獲されたササムロの幼魚を掲載している。関東沿岸でも年によっては見られるが、関東近辺では越冬できない死滅回遊魚である。本種は沖縄では「ひらーぐるくん」と呼ばれるが、唐揚げなどにするにはタカサゴやクマササハナムロより大きいよう。この個体は刺身で食したがかなり美味であった。

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オオグチイシチビキ

2022年11月28日 15時16分23秒 | 魚紹介

昨日、オオクチハマダイをこのぶろぐでご紹介したが、今回はよく似た名前の魚をご紹介。同じくフエダイ科の魚である、オオグチイシチビキである。なお、本種は「オオグチイシチビキ」であるが、ハマダイのほうは「オオクチハマダイ」で3文字目に濁点はつかない。

オオグチイシチビキの口はその名前の通り大きく、大型個体では主上顎骨が眼の後縁にまで達するように見える。しかしこの個体は体長156mmの幼魚であり、眼の中央下よりわずかに後方に達する程度である。大きいものは下顎もより突出する。

尾鰭は上・下葉の先端に黒い点が入っている。ほか、オオクチハマダイのように中央部が凹んでいるのも特徴的である。背鰭と臀鰭の後方も若干伸びている。尾鰭の色彩は成長すると赤紫色になる。

 

本種をふくむイシフエダイ属は世界で1属2種が知られ、日本には両方の種が分布している。もう1種イシフエダイは頭部がオオグチイシチビキに似ているものの、イシフエダイでは体の色彩は青みがかる。またイシフエダイでは各鰭が黄色っぽいという特徴もある。またオオグチイシチビキよりも小型で全長は40cmほど。Fishbaseでは70cmとかあるけれど、普通はこれほど大きくはならない。ヒメダイ属の魚に似ているが、ヒメダイ属の魚とは鋤骨に歯帯があるので見分けられる。

オオグチイシチビキは食用魚である。最大10kgほどになり沖縄方面では「てんくちゃー」などと称されるが、「沖縄さかな図鑑」では価値がやや低いとされている。美味しいとは思うがまだ食べたことはない。普通100m以深の岩礁域に生息しており、深場から釣りなどで漁獲されるが、幼魚は浅い場所から釣りや定置網で漁獲される。今回ご紹介した幼魚もまさしくそのような個体で奄美大島・名瀬の浅瀬で釣れたもの。星 剛彦さんより。ありがとうございました。

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オオクチハマダイ

2022年11月27日 22時59分42秒 | 魚紹介

この間我が家にやってきたスズキ目・フエダイ科・ハマダイ属のオオクチハマダイ。

ハマダイ属の魚は日本に4種ほどが生息している。いずれも大きくなり、赤い体をしている。そのなかでオオクチハマダイは同属他種と比べて口が大きく、主上顎骨後端は眼中央下かそれより後方に達することが特徴である。ハマダイはよく似ているが主上顎骨後端は眼中央下より前方にあるので見分けはそれほど難しくはない。

尾鰭の形状。オオクチハマダイも少し尾鰭が伸びてはいるが、ハマダイほどではない。また尾鰭の後方中央部が凹むことも特徴である。尾鰭は後縁が若干白くなることがあるようだ。

分布域は伊豆諸島、トカラ列島以南。海外では東インド洋からサモア諸島にまで分布しているが、ハマダイやハチジョウアカムツとは異なり、ハワイ諸島では見られない。生息環境はほかのハマダイ属と似ており、水深100m以深の岩礁域に見られる。ただし、これもほかの近縁種同様に幼魚はもう少し浅い水深でも見られるようである。ハマダイ属は世界に5種類が知られているが、インド洋のハマダイとされているものなどは明らかに別種のようにも思える。昨年にハチジョウアカムツ近縁種が新種記載されたように(Etelis boweni)、今後もそのようなことがあるかもしれない。

たまに「オオグチハマダイ」と書かれたりするが、「オオクチハマダイ」が正しい。一方同じ亜科に含まれるオオグチイシチビキは「オオグチイシチビキ」が正しいので注意したい。味や市場での価値については「沖縄さかな図鑑」の中では「身が赤く身質も悪い」とされていて、「ハマダイ類中最も市場価値が低い」とのことである。確かに新鮮なものは身がピンク色であり美しいが、切り分けると翌日には皮目が灰色っぽくなってしまうことがある。そのため見栄えがよくないといえるかもしれない。なお、今回は刺身にして美味であったのだが、写真を撮影するのを忘れてしまい残念である。なお、オオグチイシチビキはオオグチハマダイと見た目は似ているが色彩は淡褐色であり、赤い本種とは異なる。またハマダイ属と異なり背鰭にはほとんど欠刻がないのも特徴である。

オオクチハマダイを食したのは今回が2回目であり、1回目は長崎県産。今回は鹿児島県産である。今回の個体は久しぶりに丸万 田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。

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椎名さんが「危険生物ランキング」というのを作らない理由

2022年11月26日 22時46分14秒 | 魚類とインターネット

椎名さんはじつはYoutubeチャンネルを有している。まあ宣伝するのは好きではないので好き勝手にやっているのだが、最近Youtube動画の中でも多いジャンル「顔出しをせずにただ写真についてしゃべっている動画が中心のチャンネル」を運営している。そのような動画の人気ジャンルはいくつかあるが、特にランキング系の動画は非常に人気があるようだ。生物系では特に「最強生物ランキング」や「危険生物ランキング」などが人気が高い。しかし私はこのような危険生物のランキングものは扱うことは今後ないと思う。

このような動画では紙芝居のように画像や動画を画面にだして、後から声をつける。その「声」というのは大体が人工音声、通称「ゆっくりボイス」と呼ばれるものである。しかし、ゆっくりボイスというのは近年Youtubeでの収益化が難しい。というのは、「ゆっくりボイス」というのはオリジナリティが低いためである。Youtubeというのはオリジナリティがあるテーマが重要であるため、オリジナリティが低いということはYoutubeの競争力が低いことを意味する。「ゆっくりボイス」は簡単に作れるため、Youtubeにとって見たらコピーコンテンツのようにしか見えないのだと思う。あとは私は「ゆっくりボイス」はあまり好きではないということもあるかもしれない。ほかにも、機械的音声が苦手という方がいるかもしれない。

さらに「危険生物」というのは低俗なテレビ番組などのマスメディアなどで、「煽り」をするために使われやすい。生物を愛する人たちは書籍やウェブログ、SNSなどで使用することは少ないように思う。使用する場合はそれに刺されたり咬まれたりした際への対処方法など詳しく記述することが普通である。しかし最近は書籍の中でも危険生物を強調するような中途半端なものが見られる。この間ブックオフで見かけた危険生物の本は、フリー画像集のようなものから持ってきた写真がほとんどであった。もちろんその本は手にせずそっと本棚に戻したのであった。最近の書籍はどうしても劣化が激しいように見える。

そしてこのようなコンテンツとしては誤情報をまき散らすことが多数ある。たとえば「オニダルマオコゼ」を紹介する動画では別科のオニカサゴ属の魚の画像を紹介していることがあるし、昨日ミノカサゴについて書いたのだが、「ミノカサゴの尾鰭に毒がある」なんていうウソ情報をまき散らすようなものも多い。また動画の中の写真についてもオリジナリティは少なく、図鑑サイトから無断で画像を引っ張ってきて低品質のコンテンツをつくるのである。このようなコンテンツは私は作りたくはない。

私はYoutubeで作るコンテンツはほかの誰とも被らないような、オリジナリティにあふれた動画を作りたいと考えている。だから私は「危険生物ランキング」については作成することは今後ないと思うのである。ただランキング形式ではなく、正しく「危険生物」のリスクを紹介する動画であればつくるかもしれない。ただ、動画のねたはたった今思いついた。近いうちに「危険生物ランキングのおかしいところ」を指摘する動画でも作ってみたいと思う。なお、今回の写真は適当に貼っているだけで特に意味はない。

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