魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ブラックスポットジョーフィッシュ

2013年01月30日 21時06分42秒 | 魚紹介

 
小さなジョーフィッシュ(アゴアマダイ科)で、背鰭や体側に特徴的な模様がある種類。本を見てみますとブラックスポットジョーフィッシュというのが近そうです。この種はまだ学名が決定していないのか、どんな図鑑をみてもsp.となっています。体は胴が短く、頭はやや大きめです。
 
 
ブラックスポットジョーフィッシュの大きな特徴のうちひとつは背鰭にある黒色斑で、これは白く縁取られています。観賞魚として輸入されているアゴアマダイの仲間に背鰭にこのような斑紋があるのは東太平洋や、西大西洋の沿岸域に多く見られます。
 
 
もうひとつの特徴。体側には上下に白色斑がならびます。上の模様は背部にまで達しています。尾鰭には縞模様などの目立つ模様は確認できません。魚類写真資料データベースでは、本種によくにているものが沖縄県から報告されています。この個体はインドネシアで採集されたのと思われます。
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ソーシャルラス

2013年01月26日 22時10分06秒 | 魚紹介

ベラの仲間も多数の種がいますが、イトヒキベラ属のものほど派手な魚もいないでしょう。
これはソーシャルラスCirrhilabrus rubriventralis (Springer and Randall,1974)と呼ばれる種類のイトヒキベラです。
 
 
イトヒキベラの仲間もほとんどの種類が観賞魚として日本に輸入されています。昨年も3種ほどが新種記載されたようですが、まだまだ未記載のものも数多くいるようです。この種類はスリランカから東アフリカ、紅海、オマーン湾と広域に生息するのですが、お伺いしましたところ、再度精査が必要のようです。
 
 
そして本種の場合目を引くのが背鰭の形状。背鰭の1から2本はよく伸びるのですが、これは雄のみの特徴です。イトヒキベラ属の魚もベラ科の魚ですので、もちろん雌雄で色彩の差はあります(中にはあまり色彩の差がないものもいます)。そして雌は同定が難しいものもいます。
腹鰭もよくのびて非常に格好いい魚です。
 
 
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ノドグロヒメアンコウ

2013年01月25日 21時50分08秒 | 魚紹介

今回はちょっと珍しい深海のアンコウです。アンコウ科ヒメアンコウ属のノドグロヒメアンコウLophiodes insidiator (Regan,1921)のように思われる種類です。

ヒメアンコウ属の魚たちは、鰓孔は胸鰭起部よりも前に開孔するという点でアンコウやキアンコウなどと区別することができます。ノドグロヒメアンコウはヒメアンコウ属の中でも、上膊棘と呼ばれる棘が単尖頭である種のグループに属しています。

 
和名の「ノドグロヒメアンコウ」というのは、口腔内の奥が黒いことにちなむものです。ヒメアンコウは本種によく似ているのですが、口腔内奥部が黒くないことなどで区別されます。
 
 
 
 
口腔内に目立たないが白い斑紋があり、最初はアンコウではないかと思ったのですが、鰓孔のようすややや細身の体からこれはアンコウではないな、と思いました。
 
ノドグロヒメアンコウは初見の魚ではないのですが、これほどきちんとした形状でみられたのはこれが初めてでした。
 
 
左はアンコウLophiomus setigerus (Vahl,1797)、右はノドグロヒメアンコウLophiodes insidiator (Regan,1921)。今回は両方ともから揚げで美味しくいただきましたが、このときはミシマオコゼも一緒に食べたので、味の評価はなかなか難しいのです。
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ヨメゴチの天ぷら

2013年01月24日 21時50分01秒 | 魚介類を食べる

 
ネズッポ科の魚の天ぷらは東京名物、とても美味しいですよね!ただ釣り人にとってネズッポ科の魚は厄介者。今回はネズッポ科のヨメゴチCalliurichthys japonicus (Houttuyn,1782)の天ぷらです~
 
ヨメゴチは西部太平洋の暖かい沿岸に生息するネズッポ科の魚です。その中ではやや大きくなり、全長で35cmを越えてきます。やや沖合の海にいることが多く、投げ釣りやキス釣りではあまりお目にかかれないような種類といえます。ヨメゴチについては前にも軽く記事を書きました(2012/10/30 ヨメゴチ)。
 
ネズッポ科の魚は東京ではメゴチ、関西ではテンコチなどと呼ばれ親しまれていますが、メゴチという標準和名をもつものはコチ科の魚であるなど、なかなかややこしい。そしてキス釣りの外道としてはあまり歓迎されない種類です。
理由はおそらくぬめりがあったり、場合によってはかなりきつい臭いがするためだったりします。臭いについてはヤリヌメリが有名でひどい硫黄の臭いがしたりします。
 
 
調理の前、ネズッポの魚体をよく洗っておきます。
 
 
第2背鰭の後方から包丁を入れ、背鰭に沿うようにきっていきます。
 
 
このまま頭のすこし後ろまで包丁を入れます。
 
頭の少し後ろまできましたので、ここで包丁を止めます。
 
そして包丁の向きを変えまして、頭を落とすようにしますが、この際下の写真のような状態になるようにしてください。ようは頭を完全に落とさないで、腹の皮を残すようにします。
 
 
頭をもって、今度は後方の皮を引きます。普通は包丁でやるのですが、私は手で引きました。ただ包丁でやったほうが綺麗にできるでしょう・・・
 
 
 
 
 
あとは、尾鰭の付け根まで皮をむき、はがせばまずは下ごしらえ終了です。場合によっては臀鰭を落とすこともあります。内臓がついてる場合もありますので、その場合はよく流水で洗い流します。
 
あとは天ぷらの粉をつけて、油で揚げれば天ぷらの出来上がり・・・
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謎のトウジン属

2013年01月23日 21時09分35秒 | 魚紹介

 

本日のお題、それは「(・ω<) てへぺろ」とは何か。
 
ではありません。ホシゴンベをオキゴンベと打ってしまい、ややショック気味の本日、(・ω<) てへぺろの一言でごまかしたいものなのですが、本日のネタはタラ目ソコダラ科・トウジン属の魚の謎の種類です。

トウジン属の魚はほとんど世界中の深海に生息するグループです。静岡県沼津方面では「げほう」の名前でもおなじみのグループです。日本からは22種類が報告されていますが、テナガダラ属のテナガダラを本種に入れるべきという見解が強いようです。世界からは別の属に入れる見解もあるテナガダラやマタムアソコダラなども含め120種以上が知られる大きな分類群です。そしてこれらは同定が難しい・・・。同定で重要なのは、体側の模様や鱗の様子、吻の様子、そして腹面の発光器の様子などです。


 
●体側の模様
先ほどの写真と同じような・・・。はい、同じ画像です(汗 まず体側の模様が特徴的なのは、ヤリヒゲ、モヨウヒゲ、マトウヒゲで、これらの種は其々暗色の斑紋、細長い暗色斑がありその下に暗色帯がある、胸鰭上方に暗色斑があることで区別されます。
 
他に特徴的な模様を持つのは、体側に鞍状斑をもつズナガソコダラ、ムスジソコダラ、ミヤコヒゲの3種です。ズナガソコダラやムスジソコダラは九州パラオ海嶺に分布しなかなか出会えません。ミヤコヒゲは相模湾以南の南日本に生息し、水深360~755mから釣りなどで漁獲されます。
 
 
 
●吻の形状 側面
吻の先端の部分の様子は、本種の同定についてはとても重要な部分です。吻の前方には無鱗域があるのですが、それが広いものと狭いものがあります。この個体はとても惜しいことに、その吻の部分の様子が不明となってしまっています。
 
吻の長さも重要です。ムグラヒゲやキュウシュウヒゲなどのように吻が短いものや、テングヒゲなどのようなとても長く伸びるものまであります。
 
吻の背面が特徴的なのはツマリヒゲで、この種は吻がやや伸びるのですが、背面からみると幅広く吻端がやや鈍い形状をしています。こういうものもありますので、吻は上からも撮影するのが望ましいでしょう。
 
 
●頭部の形状 腹面
 
頭部の腹面で見るべきなのは鱗や小皮弁の有無です。イチモンジヒゲは頭部腹面に小さな皮弁をたくさん有しています。この個体ではあまり明瞭な鱗があるようには見えません。トウジンやオニヒゲなど、頭部下面はほとんど鱗がないものもいれば、ソロイヒゲ、ハナレヒゲ、キシュウヒゲなどのように鱗に覆われた種類もあります。
 
下顎に見える白くて細長いのはひげです。タラの仲間は1つのひげを持つものが多いのですが、カワリヒゲダラの仲間やバケダラの仲間のようにひげを持たないのもいます。日本産ソコダラの仲間ではアナダラ属のものではひげがないか、あるものでもわずかにある程度です。
 
●発光器とその周辺の様子
 
腹にある真っ黒な部分が発光器です。発光器も種類によって大きく形状がことなります。この個体では発光器は肛門周辺にのみあり、その先端がわずかにのびる感じです。そして、肛門は臀鰭基部の直前にあります。このような特徴からムグラヒゲやキュウシュウヒゲとは除外されます。これらの2種は発光器が長く伸び、臀鰭基部と肛門の間は少しはなれています。
 
今回はいろいろと撮影しましたが、これでも同定は困難なのがトウジン属の魚です。現在は体側の鱗にある、小さな棘の様子を顕微鏡で撮影することも重要なようです。一部の分かりやすい種類を除いて、同定は困難なのです、博物館などに標本を寄贈し、同定をお願いするのが一番よいかもしれません。今回の個体も、そうするつもりです。
 
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