魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

タテジマカワハギ

2011年08月30日 22時16分59秒 | 魚紹介

熱帯のカワハギ科魚類は種類が豊富。

写真のカワハギはタテジマカワハギPervagor nigrolineatus (Herre)という種で、日本(琉球列島)にも分布する魚です。

フィリピンにはカワハギ科魚類が約30種分布し(日本産は32種、共通種は約23種)、本種の含まれるニシキカワハギ属は4種が知られています。世界ではニシキカワハギ属はインド・太平洋海域に8種が知られています。いずれもサンゴ礁域や岩礁域に生息します。

本種の特徴は、体側に小さな暗色線が多数あり、胸鰭基部に暗色部がない、体側は前と後で2色に分かれない、ことなどがあげられます。

この仲間の雄の尾柄部側面には鱗に小棘があり、外見から雌雄の判別ができます、また、腰骨後端の鞘状鱗は大きく強い棘をもつのも特徴です。トゲカワハギ属とは良く似ていますが、雄の尾柄部の棘は帯状になりません。

本種は先ほどものべましたように、奄美諸島以南の浅い海にすむのですが、やや深い海底からトロール漁業でも漁獲されてるようです。

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イトフエフキ

2011年08月27日 13時02分24秒 | 魚紹介

フィリピン近海にはフエフキダイ科の魚が多数おり、同定に難儀する種もいます。
その中でこのイトフエフキLethrinus genivittatus Valenciennesは、長い背鰭第2棘などの特徴から、比較的同定しやすい魚といえそうです。

フエフキダイ科の魚もよく色彩をかえることが知られ、本種も体に斑模様があったりなかったりしています。同定ポイントとなっているのが、胸鰭基部の鱗の有無、鰭棘や鰭そのものの長さ、TRacと呼ばれる、背鰭中央下の側線上方横列鱗数などです。

本種は、背鰭第2棘がやや伸び、胸鰭基部の内側に小さな鱗が多数あることが特徴です。

このイトフエフキは日本にも分布しており、山陰・神奈川県以南の浅海で見られます。海外では台湾から、南はオーストラリア、東西ではインド洋東部~ニューギニア、カロリン諸島にかけて分布しています。

日本でもごく浅い砂底や、内湾にみられ、投げ釣りでたまに釣れたりします。肉は白身ですが他のフエフキダイとくらべやや小型のため、残念ながら利用価値はハマフエフキほど高いものではないようです。

英名は「Longspine emperor」、「鰭長帝」という意味です。和名も長く伸びる背鰭を糸に見立てたか、考えていることは同じなのでしょう。

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ヒシカイワリ

2011年08月24日 16時29分00秒 | 魚紹介

フィリピンにもアジの仲間はたくさんいます。
このヒシカイワリUlua mentalis (Cuvier)もフィリピンにすむアジ科の一般種、現地では市場にでて食用になります。

ヒシカイワリは東南アジアでは普通種ですが、日本では鹿児島で、3年ほど前に報告されたばかりという種類です。

リュウキュウヨロイアジとなかなか、よく似ていて、紛らわしいものなのですが、鰓耙数が大きく違っています。

鰓耙数は上枝が25-28、下枝が53-57(Motomura et al., 2007)と、リュウキュウヨロイアジのそれぞれ6-11、14-17を大きく上回ります。また、口も大きい感じです。

この手の魚には、ウオノエ類がいることがありますが、本種の鰓にも、ペアでついていました。

これがそのうちの1個体。日本のシマアジノエと同種でしょうか。それとも別種でしょうか。今アルコール保存中。

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ヤシャベラ

2011年08月23日 06時36分42秒 | 魚紹介

ベラの仲間は海水魚中でもかなり大きなグループ、約500種類が知られています。日本にも100種以上が分布しており、キュウセンのように、産地では重要な食用魚となっているものもいます。

ベラの仲間は琉球列島や小笠原諸島などの亜熱帯海域から熱帯域のサンゴ礁域に多くすみ、この地域では体長40cm以上にもなる中・大型種もよく水揚げされ、食用になるものも多いです。

このヤシャベラCheilinus fasciatus (Bloch)も体長40cmに達する中型種で、沖縄では食用とされています。これも「ミト」さんに買ってもらって、送っていただいたものです。ありがとうございました。写真は、残念なのですが、前回のシジュウカラと同じく鱗がはがれております・・・

ヤシャベラは、ベラ科の中のモチノウオ亜科、モチノウオ属に含まれます。この属の魚には他にもミツバモチノウオ、アカテンモチノウオ、メガネモチノウオといった中-大型種が含まれます。とくにメガネモチノウオは最大で2m以上にまでなり、ベラ科の最大種となっています。

ヤシャベラの幼魚Cheilinus fasciatus (Bloch) Young。こちらはフィリピンのやや東部にありますサマール島産 (鈴鹿さんご提供、椎名同定および撮影) 。ベラの仲間は雌雄、幼成で色彩が変わるものが多いのですが、本種の場合はその差が他種ほど大きくはないといえるでしょう。ただそれでも頭部や尾鰭の形状などが異なったりしています。

ベラの仲間は中型-大型種は刺身でいけます。このヤシャベラのほか、タキベラ、キツネダイ、メガネモチノウオ、イラ、シロクラベラなどはそのように食べられています。甲殻類食で、藻類を主に食うブダイよりもにおいが少ないようです。ちなみに、当方はモチノウオ亜科の魚の刺身は初めてです。

肉質はタキベラなどに比べると、白っぽいです。ベラの仲間でやわらかいですが、味は美味、やや脂っこい感じです。

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シジュウカラ

2011年08月19日 19時37分47秒 | 魚紹介

というわけで、今回はシジュウカラChlorurus japanensis (Bloch)

写真の個体は本ブログでも度々登場されている「ミト」さんが旅行中に沖縄で購入された個体。無理いって送っていただき、感謝です。

ミトさんからは、シジュウカラの生一匹の写真も届きました。載せてもいいよ、とのことで、掲載させていただきます。

シジュウカラの雄型は体側に広い黄色域があり、鳥のシジュウカラに似た特徴です。和名もきっとそこからついたのでしょう。これほど黄色い模様が派手なブダイの雄型は無いと思います。

一方雌型の個体は体が真っ黒、尾鰭が赤いという、ブダイ類としては雄も雌も比較的特徴がはっきりしている種といえそうです。

学名はjapanensisつまり、日本のという意味のようです。基産地は一応日本とされてるらしいのですが、インドネシアの誤りである、という説が有力です。分布域は屋久島以南の西部太平洋。本州や四国では今のところ見つかっておりません。中部太平洋にもいるようで、サモアからも水中写真の記録があります。

★ハゲブダイ属

本種は従来はアオブダイ属の中に入れられていましたが、今では、ハゲブダイ属の中に入れられています。特徴は、上顎歯板は唇で殆どおおわれないことや頬部の鱗列数が2である点などですが、この属の中にも頬部の鱗列数が3列のものがいたり、アオブダイ属の中にも頬部の鱗列数が2のものや、上顎歯板が唇に殆どおおわれないものがいるなど、例外も多いようです。アオブダイ属のアオブダイやオビシメはこの2属の中間的な形質をもつ種とも言われています。

この仲間は夜間、粘液繭を作って眠ります。

★利用

沖縄ではブダイの仲間はみな重要な食用種。沖縄の市場を歩けば緑色の鮮やかなブダイにお目にかかれることでしょう。この個体は皮を引いて刺身で頂き美味でした。今回は皮をひきましたが、実際には皮をつけたまま刺身にしたり、焼いたりすることも良くあります。

沖縄ではブダイの仲間は「いらぶちゃー」、もしくは「いらぶち」とかよばれています。値段は、フエダイや、ハタ類に比べて安価です。一部の種については「ぐんのーいらぶちゃー」(ナンヨウブダイ)、「あかぐちゃー」(ハゲブダイ)、「あーがい」(ヒブダイ)など、別の名前で呼ばれることも多くあります。

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