魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ノコギリザメ

2015年08月15日 07時32分02秒 | 魚紹介

最近、鹿島灘や茅ヶ崎界隈の海水浴場でサメが出現して話題となっていますが、我が家にも「サメ」がやってきました。 ノコギリザメ目・ノコギリザメ科のノコギリザメPristiophorus japonicus Günther, 1870 です。


今回我が家にやってきたノコギリザメは、長崎県近海で漁獲されたもので、長崎県のお友達、石田拓治さんから頂きました。ありがとうございます。しかも2匹。


ノコギリザメの吻

ノコギリザメの特徴といえば何と言ってもそののこぎりのような吻。この仲間は英語名でも「Saw shark」と呼ばれています。この長い吻には大きなひげがあるのも特徴です。この吻の髭は腹面の写真を見ますと、後からつけたようにも見えるような・・・。のこぎりのような吻を持つ魚の仲間にはもう1つ「ノコギリエイ」というのがいますが、ノコギリザメとノコギリエイの違いのひとつは長いひげの有無。ノコギリザメにあるひげはノコギリエイにはありません。

ノコギリザメの鰓孔


他にもノコギリザメとノコギリエイには違いが見られます。鰓孔が横に開くのがノコギリザメで、腹面に開くのがノコギリエイ。ノコギリザメは鰓孔が5対ありますが、南アフリカの深海に生息するPliotrema warreni Regan, 1906のように、鰓孔が6対あるものも知られています。この種は1属1種で、現生のノコギリザメ科の魚はこのほかにノコギリザメ属7種の、計8種がいるのみ。そしてノコギリザメ目の魚も現生種はその8種のみです。

この他にもノコギリザメとノコギリエイには違いがあります。ノコギリザメ科のサメは体がやや小さ目です。このノコギリザメは全長が1.5mになります。「小型?」と思われる方がいるかもしれませんが、ノコギリエイは最大で7mにもなります。しかし最近ではそんな大きなものは見られなさそうです。現在絶滅が危惧されているのです。私もノコギリエイの画像は持っておりません。各自ググられたし。



ノコギリザメの仲間には臀鰭がありません。臀鰭がないサメといえば他にツノザメの仲間がおります。

この写真のサメは恐らくツノザメ科のトガリツノザメSqualus japonicus Ishikawa, 1908 と思われる種類です。このツノザメの仲間と、ノコギリザメはどこが違うでしょう。吻の形は勿論ですが、背鰭を見てください。ツノザメは背鰭に棘がありますが、ノコギリザメはその棘はありません。

●食する

サメもほかの魚と同様古くから食されてきました。現在はモウカザメステーキやら、サメのフライ、フカヒレスープ、もしくは練り製品の材料などさまざまな方法で食されています。



ノコギリザメの刺身。刺身は綺麗な白っぽい色でかなり美味しい。

こちらはムニエル。ほかに唐揚げでも美味しくいただけます。臭みも全くありません。サメの仲間の肉は和・洋・中華、色々な料理に使うことができます。このほかにフカヒレも現在作成中。お楽しみに。

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キボシカミキリ

2015年08月08日 20時59分43秒 | 昆虫・クモ

昨日我が家に珍客がやってきました。甲虫のキボシカミキリです。

図鑑では見る機会が多くあこがれていたシロスジカミキリっぽかったのですが、ネットで検索していてキボシカミキリと思いました。昆虫の同定は魚よりもずっと難しく苦手です。

私は魚を追いかけていますが、残念ながらそれ以外の水生生物に対してはあまりよく知らないのです。しかしそれは危険なことです。というのも魚はその周りの水生生物に生かされているし、ある生物がいなくなればほかの生物にも悪い影響が出てきてしまいます。

少しは周りの生物について勉強しなければなりません。陸生の生物もそうです。このキボシカミキリは撮影後リリースしました。お盆のお休みも近くなりまして、どんな生き物と出会えるでしょうか。

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青い石鹸魚

2015年08月06日 21時45分35秒 | 魚紹介

ごぶさたしておりました。この時期は本業も副業も本当に忙しくいまだに海の水を飲んでおりません。今週末行けるかと思ったのですが残念ながら行けなくなり、来週以降はお盆のため・・・。

ということで近況報告、以下は本題。



こんな美しい魚が我が家にやってきました。ルリハタという魚です。静岡県御前崎から遥々やってきてくれたのでした。「福一」杉本 昌司さんより。ありがとうございました。



本種も「ハタ」と名前がついており、ハタ科・ハタ亜科の魚なのですが、マハタ属やユカタハタ属などとは、やや異なるグループです。マハタ属、ユカタハタ属、スジアラ属、バラハタ属、トビハタ、ヤマブキハタ、クロハタ、サラサハタ、タテスジハタは「マハタ族」というグループに含められ、本種はヤミスズキ属やキハッソク属とともに「キハッソク族」をつくります(上記の写真はキハッソク)。ルリハタ属は本種のみの1属1種ですが、現在分類学的再検討が進められているようです。
以前は本種やキハッソク、ヌノサラシなどを「ヌノサラシ科」とまとめてあったりもしました。

ルリハタの形態的特徴としては体色が派手なことがあげられます。鮮やかな青い体で、背中が黄色く、他のハタの仲間と間違うことはないでしょう。そして頭部にも面白い特徴が色々とあります。


まず黒い円で囲ったところ。涙骨表面に迷路状の隆起があります。この特徴はルリハタのほかヤミスズキ属魚類にもみられます。黄色い円で囲ったのは下・間鰓蓋骨外縁が強い鋸歯状であるという特徴です。これはキハッソクなどでも見られる特徴です。



古い図鑑では図が記されておりマハタやユカタハタを青と黄色に塗ったような感じかと思いましたが鰭の軟条部や棘の様子などもそれらとはかなり異なる感じがします。また体側の鱗は大きな櫛鱗で、小さな櫛鱗のマハタやオオモンハタよりもざらざらした感じ。


●食する

ルリハタは皮膚から毒を出すことが知られています。この毒はグラミスチンという毒で、他の魚を殺すこともあります。魚類データベースである、「Fishbase」でのコモン・ネームは「Goldribbon soapfish」ということですが、これは皮膚から毒をだして水が泡立つことからきているからとも言われています。人間にはおおむね無害といわれておりますが、水槽で他の魚と飼育しているときは要注意です。漁法としては釣りなどがあげられますが、あまり食用にならず活かして持ち帰ってしまうと他の魚が死んでしまうなどの事故がおこることがあるためか、あまり市場では見ない種類です。今回は幸運にも入手することができました。



肉の色は幸いにも鮮やかな青色でも黄色でもなく、食味をそそるようなやや白濁した白色と薄いピンク。味は、薄味ではあるものの、やや甘味があり美味しい。


●仲間
皮膚から毒をだすハタといえば本種の他にキハッソクやヌノサラシが知られています。キハッソクは佐渡島以南の日本海と、相模湾以南の太平洋岸に生息し、幼魚がたまに定置網で漁獲されその美しさが話題となったりする種。ヌノサラシは岩手県大船渡以南のサンゴ礁域に生息する種で、黒い体に白色の線が入る種類です。



ヌノサラシは他のハタの仲間とはだいぶ姿が異なる種で、前鰓蓋骨に棘が2-3本あったり、口の下に小さな顎髭のような皮弁があるなど変わった種類です。ヌノサラシは、キハッソクとはまた別の族に含まれるようですが、背鰭の棘の様子などはルリハタとよく似ています。ヌノサラシ族の魚にはほかにもアゴハタやトゲメギスの仲間が知られています。アゴハタは下顎の皮弁がヌノサラシよりもさらに発達し、非常に面白い顔をしています。トゲメギスの仲間はハタ科ではなくメギス科に入れられていたり、独立した科とされたりしているようです。

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