魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

外来魚食べて駆除、どのような考えで挑むべきかというお話

2024年03月31日 15時13分04秒 | 環境問題

今日は3月31日である。つまりはもう年度末である。今年度は海には4回ほど行った。ただし遠征ばかりであり、お金が厳しい。魚を購入することも昨年度ほど多くはなかった。

外来魚チャネルキャットフィッシュをつかった「なめパックン」。茨城県行方市、道の駅たまつくり

最近は外来魚を「食べて駆除」という話をよく聞くものである。近年は環境教育というものもあり、外来生物の学習などもある程度行われており、各地の高校などで外来魚をはじめとする外来生物の利用などについても語られるようになった。そこには「外来魚の積極的な利用」ということが語られる。ただし、現在日本にいる「外来魚」はその多くが「利用するために」日本に導入されたものであることを念頭に入れるべきだろう。

先月長良川の一件で話題となったニジマスなどはその例であろう。ニジマスは釣り堀などで釣るためのゲームフィッシュとして、あるいは食用として利用するために大量に養殖されている。その歴史は外来魚の代名詞ともなっているオオクチバスよりも長い。しかしながらその養殖場、もしくは釣り掘からの逸脱により野外に逃げ出し、あるいは漁協により放流が行われ、在来種に悪影響をおよぼしている現実がある。オオクチバスが今なおあちこちの河川、池沼に見られるのもゲームフィッシュとして(違法な)移植放流がなされているからにほかならない。これも「外来魚の利用」である。在来のメダカと似た生態系の地位をもち、仔魚を産むことで繁殖力が高いカダヤシも、ボウフラの駆除のために持ち込まれたものであり、これも「外来魚の利用」である。つまり、ひとくちに「外来魚の利用」といっても利用方法を誤るとかえって環境に悪影響を与えてしまう。外来魚の積極的な利用は、「食用にするため」のような致死的なものに限るようにすべきであり、「持続的・恒久的な継続」にならないようにするべきであろう。「SDGs」と絡めるのであれば、「短期間持続的に外来魚を積極的に利用し、かつ早いうちに根絶できるような利用法」ととらえるべきで、「外来魚の恒久的な利用法」にしないよう注意が必要だ。

なお、外来魚はほとんどが淡水魚であるため、食べて駆除というのは積極的にしにくい場合も考えられる汚濁が著しい場所の魚はよほど慣れている人でないと食するのに抵抗があるし、寄生虫の懸念もあるため生食は危険。魚類ではないが魚類同様水生の生物としては最近話題となった「じゃんぼたにし」ことスクミリンゴガイなどは卵に毒をもつという。「食べて駆除」はけっこうなことではあるが、事前に調べておかないと危ない場合がある。

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モンダルマガレイ

2024年03月29日 10時51分44秒 | 魚紹介

今年度ももうおしまい。魚購入数は少なかったものの、珍しい魚をいろいろと入手できた一年であった。そんな今年度最後に入手した魚(になるだろう)はカレイ目・ダルマガレイ科・ホシダルマガレイ属のモンダルマガレイ。

ホシダルマガレイ属は世界中で17種がいるとされる。このうち日本産は3種。モンダルマガレイはインドー太平洋に広く分布している。大西洋にはよく似ているBothus lunatusという、リンナエウス(リンネ)により記載された種がいるが、正直どこが違うのかわからない。日本産ホシダルマガレイ属は3種で、トゲダルマガレイは特に本種に似ているものの、雄は眼前方の頭部背縁がくぼむこと(トゲダルマガレイではくぼまない)、雄の無眼側に小さな黒色斑が散らばっている(トゲダルマガレイでは斑点はない)ことなどの特徴により見分けることが可能。また背鰭軟条数は96~102と多く、トゲダルマガレイと見分けることができる。モンダルマガレイの雌をトゲダルマガレイと見分けるのであれば、軟条数を数えるのが確実であろう。もう一種ホシダルマガレイはほかの日本産種と大きく見た目が異なっているが、まだ写真はもっていない。

眼の上方に棘がある

トゲダルマガレイは眼の上方に棘があることによりモンダルマガレイと見分けられるとされている。しかしモンダルマガレイにも大きな棘があった。雄には大きな1本の棘があるといい、これだけで同定するのは避けるべきなのだろう。

これまでにもダルマガレイ科は何種か見てきた。しかし本種について驚くべき点がいくつかある。まずはその長い胸鰭である。胸鰭は非常に長く伸びているがこれは雄の特徴らしく、雌の胸鰭はもっと短い。なおトゲダルマガレイの胸鰭も同様に長くのびており、胸鰭の長さは同定の決め手にはならないので注意が必要である。

頭部の斑紋がきれい

吻棘も長くて大きい。ダルマガレイ科のうちいくつかの種は吻に棘がある(とくにダルマガレイ属など、雄に吻棘があるのが多い)。この吻棘はダルマガレイ属にあるものと同一のものなのかはわからないが、このモンダルマガレイのものはかなり長い。これも雄の特徴になるのだろうか。もっともニセダルマガレイのように雌雄ともに吻棘を有する種もいる。なお、これは室内でフラッシュをたいて撮影したものであるが、青い大きな水玉模様があり美しい魚である。

モンダルマガレイの唐揚げ

厚みがすごい

モンダルマガレイは日本では和歌山県串本や宮崎県南郷、屋久島、伊豆・小笠原諸島、琉球列島に分布している。とくに琉球列島では刺網などによって漁獲されることがある。沖縄ではヒラメは分布していない(ガンゾウビラメ属はいる)ので、この手の魚やガンゾウビラメの仲間がヒラメの代用になっているようだ。今回は唐揚げで食したが、切り身のその厚みにも驚かされる。もっとぺらぺらであるかと思ったが、かなり厚みがある。美味だが小骨がかなり多く、食した結果刺身にするのは困難なように思えた。「縁側」の部分は骨が少なく食べやすい感じであった。

長らく探しまわった魚であるが、ついに入手することができた。なお、今回はフォロワーさんのお友達の方から入手した個体となる。ありがとうございました。

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アユを増やすためにウグイを放流するのはどうかというお話

2024年03月27日 20時07分53秒 | 環境問題

アユ釣りの愛好家カモーン 太田川漁協、魅力向上へルアー解禁 おすすめポイント紹介も (中国新聞デジタル/リンク先はYahoo!ニュース)

またもや釣りのために問題が発覚したニュース。そしてまたもや放流関連のニュースである。広島市の太田川漁協がアユのルアー釣りを解禁するというニュースである。それだけならまだよい話かもしれないのだが、このニュースには「ウラ」というものがある。実はこのアユ解禁に先立ち、漁協がウグイを放流していたのだという。これはアユの捕食する珪藻を水生昆虫が食べてしまうというもので、水生昆虫に食べられる前にウグイを放って昆虫を食べてもらおうというものである。

ウグイは確かに水生昆虫を捕食するのかもしれないが、小魚も食べてしまう。太田川漁協はウェブログを持っており、当然ながらウグイを太田川の支流に放流している様子もしっかり公開されている(https://blog.goo.ne.jp/gyororin/e/95538682c2591645bca815eb66e53f7f)。放流しているウグイはかなり大きいサイズのように見えた。もしかすると昆虫のほかアユの稚魚なども捕食してしまう可能性があるかもしれず、放流は意味ないのかもしれない。(もっともこれについてはウグイがどれくらい魚を捕食するかというエビデンスは勉強不足からか見つけられなかったし、アユの成魚を放流するらしいからまた別の問題となるのだが)。しかもこのウグイのもとは琵琶湖産のものであるという。ウグイの系群については不明であるが、アユと同じく国内で様々な群があるように思われ、むやみな放流は交雑問題やそれによる不稔、系群の特性などが奪われてしまう危険性がある。さらにいえば琵琶湖のハスやらワタカやらイチモンジタナゴといった魚はアユの放流により各地で見られるようになったし、外来の珪藻やプランクトンの増加という懸念も大きい。

条件付き特定外来生物のアメリカザリガニ

現在はもはや生物を野外に放つということは、生物多様性保全の観点から受け入れられない世の中となった。近年も山梨県の荒川でのコイ放流のニュース(2018年)、犬鳴山納涼カーニバルのキンギョ問題(2017、2023年)、三重県のEM菌とコイの放流(2022年)、山形県酒田市でのイベントでアメリカザリガニ・カラドジョウの放流(2022年)、おさかなポストのコイ放流(2016年)、岐阜県の河川を区切った釣り堀からのニジマス逸脱(2024年)など、放流を好意的に報じるマスメディアが拡散し大きなニュースになることが多い。そしてこれらの放流された生物はいずれも環境に悪影響を及ぼしかねない生物であることはよく知られている。そしてこれは昭和の時代でも、一部のものを除いて平成でもなく、令和の時代のものであり、とくに最後のニジマスの件など1か月くらいしか経っていないように思う。

生物の放流は平成の世の中に置き去りにされるべきであった。しかもそれを個人や小さな規模の団体がやるのならまだしも、漁協という、生物多様性というもののなかで生きながらえている団体が放流しているのだから、この問題がいかに深刻であるか考えていかねばならない。そして団体だけでなく釣り人も、いよいよ「本当にこれでよかったのか」と考えるべきだろう。「アユのルアー釣り解禁!」あるいは以前のように「河川を区切ったニジマス釣り堀の運営開始!」に心躍っている場合ではもはやないのだ。

なお、筆者はウグイについては縁が遠い存在である。もともと主な活動地が福岡県と愛媛県の宇和海沿岸であるためだ。福岡県ではウグイは分布しないというわけではないが、局所的であり、宇和海沿岸ではウグイはほとんどいないらしい。トップ写真のウグイは韓国産のようで、韓国の水族館と山口県下関市の海響館との提携による展示のようである。

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そろそろAIがヤバくなってきそうというお話

2024年03月24日 14時33分02秒 | 魚類とインターネット
 
最近ぶろぐの更新頻度が落ちている。その理由は私自身が茨城県と栃木県の2つの県をまたにかけた活躍をせざるを得ない状況になっているからだ。今月など、起きている時間については栃木県にいることのほうが長くなる見通しである。
 
さて、そろそろAIがヤバくなってきそうだ。
 
AI画像がジャーナルに登場する土壌ができている(写真はAIではない)
 
最近公開された新しいAI動画は、ヒトが撮影した動画と遜色なく動物のドキュメンタリー風動画をyoutubeにアップロードできることを示している。今のところ動画内の昆虫は足が4本しかないが、それが6本足になるのも、遠いことではないだろう。しかしながら、このようなAI動画というのは常に悪用されるリスクも孕んでいる。以前も岸田総理のフェイク動画がニュースになっていたが、この手のAIによる偽の動画が蔓延るようだと、そう遠くないうちに科学が「作られたもの」になる危険がある。
たとえば、ダイビングで日本固有種のユウゼンの群れの中に日本に産しない別のチョウチョウウオ科の動画を仕込むなどできてしまうかもしれない。ただ、幸いなことに日本からの初記録として報告するならば写真だけでなく、標本も必要であり、水中写真だけでは報告してもコンセンサスは得られない。しかしながら短報くらいは書けてしまいそうである。現在は査読なし掲載料だけですぐ投稿されるハゲタカジャーナル誌も多く、それ自体も問題視されるが、今後AIで作られた画像がジャーナルに登場するための土壌が作られているのは確かなように思う。
 
飼育情報サイトは今後ますます信用できなくなる(従来から信用できないものも多かったが)
 
AIの登場で今後大幅に方向転換を強いられることになりそうなのは飼育情報系のサイトである。AIにより作成された飼育情報サイトが、生物の適切な飼育情報を提供し、これまでの低品質なサイトを駆逐する、のではなくむしろその逆で、さらに状況が悪くなってきた。AIにより作成された飼育情報サイトはまさに滅茶苦茶な内容であり、今後は劇的に品質は向上するのかもしれないが、現状は人間執筆の低品質サイトをはるかに下回るようなクオリティの文章しか書けていない。
 
そもそもとして、AIは魚を飼育したことがあるはずもなく、ではなぜ飼育サイトを書くことができるのかといえば、飼育サイトの内容を認識してそれをベースに書いているので著作権的に「限りなくクロに近いグレー」なものである。もちろん、AI文章だけでなく、AI画像においてももちろん著作権的にグレーの画像が生み出されており、Twitter(現X)においてはNo More 無断生成AIなるハッシュタグが一時流行った(流行った、は言い過ぎかも)。
 
AIによりヒトの暮らしが快適になるどころか、ヒトの仕事が奪われ、画像をパクられ、信頼できる情報へのアクセスが困難になる(もっとも、2010年代末からそんな状態だったかもしれないが)。そんな未来が待ち構える。そろそろAI、ヤバくなる前に規制した方がよくないか。なお、いつもの通り画像と本文についてはあまり関係がないと思うのでそこんとこヨロシク。
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霞ヶ浦のシラウオ

2024年03月22日 21時24分03秒 | 魚介類を食べる

今日はアリアケギバチくんの餌の確保のために朝から霞ヶ浦方面へ。餌はなんとか確保でき行方市の「道の駅たまつくり」にてヒトの餌も購入。こちらがそのシラウオの佃煮。佃煮はなかなか好きになれなかった私であるが、このシラウオの佃煮は大好物なのである。

 

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