魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ヒチビキ

2019年03月31日 13時16分13秒 | 魚紹介

(※この記事は2019年3月31日に書いたものですが、2021年3月に株式会社桃鶴堂の社長氏に消され、アーカイブを残すこともできませんでした。そのため、ノンオリジナルとなります。あらかじめご了承願います)

今日は平成30年度最後の日です。明日には新元号が発表されます。楽しみです。

これはスズキ目・ハチビキ科・ハチビキ属のヒチビキという魚である。名前は「ハチビキ」に似ているがいち文字違う。古い図鑑には掲載されていないが、本種は1998年に新種記載された比較的新しい魚だからである。

一見体高の高いロウソクチビキやトゲナシチビキに見えるが、ロウソクチビキやトゲナシチビキは第1・第2背鰭が大きく離れていて、ロウソクチビキは二つの背鰭の間に小さい棘がある(トゲナシチビキにはない)のに対し、ヒチビキは第1背鰭と第2背鰭はあまり離れておらず、すべての背鰭棘に鰭膜があるか鰭膜のない棘は1本程度であることによりロウソクチビキやトゲナシチビキと見分けることができる。ただしこの個体はやや鰭がぼろくなってしまっていてこの特徴はわかりにくい。なお、本種はハチビキ属に含まれているのに対し、ロウソクチビキやトゲナシチビキはロウソクチビキ属というまた別属の魚となっている。

ハチビキ科の魚は外洋の中深層を泳ぎ回るような種が多く、分布も広域に及ぶように思われるが、本種はあまり広域に分布する種ではないようである。タイプ産地は高知県御畳瀬の市場で、ほかに兵庫県日本海側の浜坂や長崎県、九州-パラオ海嶺からしられている。日本産のハチビキ科はロウソクチビキ属の2種のほか、ハチビキ属のハチビキ、ハワイチビキ、そして本種の計5種が生息している。Plagiogenion属のナンヨウハチビキが高知県から得られたという話もあるが、おそらく海外で漁獲されたものを水揚げしたか、海外から持ち込まれたものと思われるが、どうやら体高なども異なるようでヒチビキを含むほかのハチビキの誤同定かもしれない。当時は今のような高品質な図鑑などなかった。

ヒチビキの食についてではあるが、インターネットで「ヒチビキ」と検索してもそれらしい情報にはなかなかたどりつくことができない。おそらく食べられていてもハチビキやロウソクチビキなどと混同されているのは間違いないようである。しかし今回は塩焼きで美味しくいただいた。ちょっと焦げてしまったけれど美味しい。今回のヒチビキも長崎 印束商店 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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イゴダカホデリ

2019年03月29日 10時57分28秒 | 魚紹介

(※この記事は2019年3月29日に書いたものですが、2021年3月に株式会社桃鶴堂の社長氏に消され、アーカイブを残すこともできませんでした。そのため、ノンオリジナルとなります。あらかじめご了承願います)

前回の記事ではナンヨウガレイの唐揚げのことを書いたのだが、今回はナンヨウガレイの下の方に写っている魚のことをご紹介したいと思う。この唐揚げの正体は実はスズキ目・ホウボウ科・カナガシラ属の底魚であるイゴダカホデリ。イゴダカホデリは過去にも紹介したことがあり決して珍しい種ではないのだが、久しぶりに見られたし綺麗な鰭たてもできたので改めてご紹介したいと思う。

イゴダカホデリの胸鰭はホウボウと違って青い斑点は入らず、一様に黄緑色で目立った斑点はなく、縁取りだけが赤いのが特徴。ホウボウ属の鰭は死んでしまうときれいに広げるのは難しい。それでもこれは、まあうまくいった方である。できれば生きているもの、例えば釣れた直後とか、網に入った直後の個体を撮影するなどしないと、なかなか美しく胸鰭を広げた写真は手に入らない。冷凍した後だと鰭が裂けてしまいやすいのでこれもやめたほうがよいだろう。

大きな特徴は吻棘。イゴダカホデリの吻棘はほかのカナガシラ属のものと異なり1本のみで強大なのだ。ほかの日本産カナガシラ属魚種では小さな棘が複数あるというものなので本種の独自の特徴といえる。ただこの棘の形状にはいくつかバリエーションがありそう。このほか体側には赤色の小さな斑点が多数あり、これの形状でもソコカナガシラなどと見分けるポイントになるかもしれない。某図鑑サイトで「イゴダカホデリ」とされていたのは体側の模様を見た感じではソコカナガシラだと思われる。今回の個体もナンヨウガレイと同様に長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

前回は2009年にこのぶろぐで記事にしたのだが、その間の2010年にも宇和島近辺の水深70mほどの海底から小型底曳網漁業によって漁獲されたのを入手したのでついでにご紹介したい。しかし小型底曳網漁業でとれたのは小型の個体ばかりで、大きいのはもっと深い海に生息しているのではないかと思われる。

小さくても吻棘は1本のみで強大でありイゴダカホデリとわかる。また体側にある小さく散らばった赤色斑点があるのも幼魚と成魚では変わらない。写真の個体は胸鰭を畳んでしまっていたのが残念。なおイゴダカホデリのほか同所的にカナドやカナガシラも漁獲されたがカナドはやはり小さい。カナドも本来はもっと深いところの魚であるが幼魚の時だけ浅い場所でも見られるようである。

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ナンヨウガレイ

2019年03月26日 20時54分49秒 | 魚紹介

こんばんは。今日3月26日は渡辺麻友ちゃんの誕生日です(なお私はこじはる推し)。今日は軽くいきます。

久しぶりの魚だ。今回入手したのはカレイ目・ヒラメ科・ガンゾウビラメ属のナンヨウガレイ。「南洋」という名前ではあるが分布域は南日本、東シナ海から南シナ海の大陸棚にかけてであり、長崎ではそこそこ漁獲される小型のヒラメ科魚類である。このナンヨウガレイは見るのは今回が初めてではなく、過去にも宇和海などで漁獲されているのを見たことがあるし、購入したこともある。ただその時はテンジクガレイやガンゾウビラメと誤同定していたので、真剣に見るのは今回が初めてであったりする。

ナンヨウガレイは鰓蓋の後縁に沿うように二つの黒色斑がある。また色彩も幾分茶色っぽく見える。しかしこの二つの黒色斑は薄くて明瞭でないこともある。そのためほかのガンゾウビラメ属の魚と間違えられることが多いのであろう。しかし本種は無眼側の鱗も櫛鱗であるという特徴があり、ガンゾウビラメやテンジクガレイなどの近縁種と見分けられる。

今回のナンヨウガレイは唐揚げにして美味しくいただいた。私は異体類については刺身や煮つけよりも唐揚げのほうが好きなのである。なお、ナンヨウガレイの下方に写っているもう一種の魚については、また今度ご紹介したい。今回のナンヨウガレイも長崎県 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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ヒゲオオメハタ

2019年03月24日 23時10分33秒 | 魚紹介

(今回の投稿は2019年3月24日にオリジナル版を投稿したものですが、(株)桃鶴堂の社長にぶろぐを消されてしまい、データも復元できませんでした。そのため、ノン・オリジナルのものとなります。あらかじめご了承ください)

今回はちょっと変わった深場の魚のご紹介。スズキ目・ホタルジャコ科・オオメハタ属のヒゲオオメハタ。ヒゲオオメハタは名前に「ハタ」とあるが、ホタルジャコ科の魚であり、ハタ科とは縁遠い存在である。この間長崎県のイトヨリダイやイネゴチとともに我が家にやって来た魚である。

我が家にやってくる前は同じオオメハタ属の「ワキヤハタ」と思っていたのだが、ワキヤハタだと下顎先端に1対の棘があるほかに、下顎には棘がない。一方このヒゲオオメハタでは下顎の先端付近に多くの小さな棘がある。これを顎髭に見立てて「ヒゲオオメハタ」というのであろう。臀鰭基底はワキヤハタと比べると短く、オオメハタに近いものといえそうである。側線有孔鱗数についてはオオメハタと大部分でかぶる。またほかの日本産のオオメハタ属魚類とはやはり吻の小棘で見分けられる。

ヒゲオオメハタの黒色斑

ナガオオメハタは側線有孔鱗数がヒゲオオメハタよりも多く(ナガオオメハタでは48~51、ヒゲオオメハタ43~48)、ヒゲオオメハタの主鰓蓋骨棘間に黒色斑がある(矢印)がナガオオメハタにはそれがないことなどで見分けられる。

オオメハタ属は日本産のものは従来は3種とされていた。ヒゲオオメハタは2001年に新種記載されたもので、分布域は駿河湾以南の太平洋岸、土佐湾、東シナ海、中国広東省沖、オーストラリア北岸となっている。このほかにおそらく千葉県沖や日向灘にも分布しているものと思われる。本種は体長25cmを超え、この科ではそれなりのサイズにまで育つようである。主に深海の釣りや底曳網で漁獲される。この属の魚は釣り人に「しろむつ」とよばれ食用となり、刺身や塩焼きなどで好まれる。また練製品の原料としても適している。

今回のヒゲオオメハタは刺身で食した。左上のがそれ。右上はイネゴチ、下はもちろんイトヨリダイである。イトヨリダイは黄色い蛍光色の縦線が入るためわかりやすい。味はいずれもよいが、ヒゲオオメハタはその中でもとくに美味であった。今回のヒゲオオメハタは長崎 印束商店 石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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9年ぶりのスジミゾイサキ

2019年03月11日 13時29分11秒 | 魚紹介

この間9年ぶりに出会う魚をおくっていただいた。スズキ目・イサキ科・ミゾイサキ属のスジミゾイサキという魚である。

スジミゾイサキは一見、イサキに似ているのだが体側に4本前後の細い橙色の縦帯が入ることにより見分けられる。ミゾイサキ属の仲間はイサキとは色彩だけでなく下顎に縦長の溝があることでも見分けられるのである。ミゾイサキ属の魚はみな南方系の魚で日本産は本当に分布するのか怪しいものを含めて4種。多くの種は九州以南に生息しているが、本種は神奈川県二宮や浜名湖でも確認されている。

スジミゾイサキの塩焼き

スジミゾイサキの唐揚げ

今回のスジミゾイサキはなんと10匹も届いた!塩焼きや唐揚げにして美味しくいただいた。成魚でも10数cmの小型種のようで、骨が硬くて食べにくかったが、味はかなり美味であった。

伊東正英さんよりいただいたスジミゾイサキ(2009年)

前回この魚に出会ったのは9年前の2009年の秋。その時は鹿児島県笠沙の伊東正英さんから送っていただいたもので、その時もイサキ科とは思えぬ。シマイサキか、あるいは大西洋産のイサキ科魚類であるタイセイヨウイサキ属のような色彩・模様に驚いたものである。ただし生きているときは体が黄色っぽく輝いて見えるようなので、間違えることはないかもしれない。写真は9年前のものなので展鰭がえらい酷いのは見逃してほしい。

今回のスジミゾイサキは鹿児島県の「田中水産」さんより。いつもありがとうございます。

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