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魚のぶろぐ

2006/5/28~。gooぶろぐサービス終了に伴いはてなぶろぐへ移行します

エイラクブカ

2025年06月03日 16時48分44秒 | 魚紹介

お仕事が忙しく、昨日はぶろぐを更新できずに申し訳ありません。6月もかなり忙しそうです。

ということで(どういうことだ?)、今日はモノノケトンガリサカタザメと一緒に我が家にやって来た魚。メジロザメ目・ドチザメ科・エイラクブカ属のエイラクブカという魚である。

エイラクブカを紹介するのは今回が初めて・・・というわけではない。2011年の年末に愛媛県の八幡浜漁港を訪問した際にエイラクブカが市場に上がっているのをみており、その様子はこの「魚のぶろぐ」の中でもアップしている。これだけではない。昨年も11月終わりに長崎県からやって来たエイラクブカをアップしている。2011年の年末のものは市場に水揚げされたのを見ただけで購入していなかったため、2024年の個体はは我が家に初めてやって来たエイラクブカとなった。しかしこのときは残念ながら首の後ろが切れてしまっていた。サメの血は独特なにおいをしており、それを放出させるという意味合いがあるのだろう。

エイラクブカの鰭

エイラクブカの背鰭は三角形で、2基ある背鰭の後縁はいずれも白く縁どられている。ただしこの縁が白いというのは必ずしも本種の特徴というわけでなく、注意が必要である。とくにシロザメとは背鰭の色彩よりも、以前このぶろぐでも紹介したように、歯の形状で同定するのがベストであろう。今回は歯の写真は撮影していないため、歯で同定する方法は前回の記事をご参照いただきたい。

なお、日本産のエイラクブカ属は2種からなり、もう1種のイレズミエイラクブカは本種に似るが、イレズミエイラクブカの第一背鰭起部は胸鰭内角直上かわずかに前にあるのに対し、エイラクブカでは第一背鰭起部は胸鰭内角よりも明らかに後ろである。また鼻孔後縁の皮弁はイレズミエイラクブカでは発達するが、エイラクブカでは発達しないという違いもあるものの、鼻孔の明瞭な写真がないとわからないだろう。なおイレズミエイラクブカは八重山諸島と台湾に生息し、エイラクブカは千葉県銚子以南の太平洋岸、山陰地方、隠岐諸島、九州西岸、五島列島、沖縄諸島に生息し、海外では台湾や朝鮮半島、中国沿岸に見られるという。


エイラクブカのムニエル

今回はエイラクブカが2個体もやって来た。その大きさは、いずれも70cmをこえている大型個体である。サメといえば筆者はまずムニエルやバター焼きで食することが多い。あまり芸がないといわれそうだが、届きませんねそのリプライ。味はChu 美味しくてごめん。

唐揚げとフライドポテト

唐揚げ粉でつくった唐揚げも美味しい。しかし見栄えはよくない。同じようにポテト(フレンチフライ)も揚げたので、まるでファストフード店のおかずのようになってしまった。でも、これらも美味しかった。

なお今回のエイラクブカも、モノノケトンガリサカタザメやカゴカマスと同様に長崎県マルホウ水産「魚喰民族」石田拓治さんから。いつもありがとうございます。

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カゴカマス

2025年05月31日 16時44分46秒 | 魚紹介

この「魚のぶろぐ」では本当に久しぶりに登場することになった深海魚。クロタチカマス科・カゴカマス属のカゴカマスである。カゴカマスをはじめとするクロタチカマス科の魚は、最近(というかもう2年たつのか、早い)もアオスミヤキやらナガタチカマスやらを紹介してきたのだが、このカゴカマスは久しぶりの登場で、前回アップしたのは2009年の6月ということで、なんと16年ぶりの「魚のぶろぐ」登場らしい。

カゴカマスの側線分枝

カゴカマスは同じクロタチカマス科のクロシビカマスに似ている。両種ともに体側の背中の方を走っていた側線がカーブし体側中央付近を走るからだろう。しかしカゴカマスだと側線は分枝し、2本になるのに対し、クロシビカマスは側線が分枝しないで1本のままであることにより見分けられる。よく似たものにオオメカゴカマスというのがいるが、カゴカマスは分岐して体側中央をはしる側線があまり波打たないがオオメカゴカマスは波打つこと、カゴカマスの体側背部を走る側線は第2背鰭後端までに達するが、オオメカゴカマスは第2背鰭後端をこえて小離鰭にまで達することで見分けられる。

カゴカマスをふくむクロタチカマス科の魚は、基本的には深海魚というイメージが強い。しかし、昼間は深場にいるものの、夜間は餌となる魚や甲殻類などを追いかけて浅場まで上がって来るらしく、東シナ海で操業している旋網漁業ではアジ類やシマガツオの仲間などと一緒に網に入って来るよう。また幼魚のうちは大型の定置網の中にも入ってくることがある。

前回食したカゴカマス幼魚。ウオノエつき

近年未利用魚がブームとかなんとかで、漁師さんが一般向けに未利用魚を直送する試みが近年よくあるのだが、そのなかにカゴカマスが入っていることもある。しかしカゴカマスは小骨が多く、とくに未利用魚の中に入っている小ぶりのものなどは、塩焼きで食べたらどうしても骨が残るという問題がある。ということで「タタキ」や「なめろう」とする、つまり身を細かくたたきまくるとそのような問題も解消されるのではと思いやってみると、骨がのこらない。カゴカマスには最適の料理かもしれない。ということは以前「サカナト」さんでも書いた。今回はそのときの個体よりも大きいものであるが、細かくたたいて食べることにした。

3匹分

ということでカゴカマスが今回は3匹分も我が家にやって来たので、3匹分のたたきである。ちょっとたたきすぎたかもしれないが、骨も細かくたたけるこのくらいのほうが望ましいだろう。これを味噌などと一緒にたたいたものが「なめろう」である。脂の乗りも良好であり、ご飯がすすむ。今回のカゴカマスは長崎県マルホウ水産「魚喰民族」石田拓治さんより。小ぶりのものは鹿児島県の田中水産 田中積さんより。おふたりとも、いつもありがとうございます。

はてなブログでも同じ記事をアップしています。goo blogサービス終了に伴い、2025年10月以降ははてなブログでの更新のみとなります。何卒よろしくお願いいたします。

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モノノケトンガリサカタザメ

2025年05月29日 22時49分38秒 | 魚紹介

長かった5月もようやくおしまい。毎年この季節が一番長く感じる。すき。


今日はこの間長崎県からトラック便でやってきた魚のご紹介。ノコギリエイ目・シノノメサカタザメ科のモノノケトンガリサカタザメ。シノノメサカタザメ科の魚は、水族館ではよく見るのだが、我が家にやって来るのは初めてである。全長2m近くにはなるようだが、この個体は1mないくらいである。もっとも、それでも巨大なのだが。このモノノケトンガリサカタザメは非常に大型になるため、入った箱をいつもの「クール宅急便」では運搬できないというできごとがあった。したがって一般の「宅急便」で我が家にやって来たのである。

側面からの写真。格好いい

さて、名前に「サカタザメ科」とあるが、サカタザメとはまた別の科である。サカタザメ科は従来、サカタザメ、コモンサカタザメ、そしてミナミサカタザメの3種からなる、とされたが現在はミナミサカタザメは別科に移されている。しかしながら別科に移すべきなのかということについては疑問である。また以前は本種やトンガリサカタザメの含まれていた科は「トンガリサカタザメ科」とされたが、現在はシノノメサカタザメ科に改名されている。おそらく科学名がRhinidaeなので、それに合わせた格好であろうか。分布域は房総半島から東シナ海にまで及ぶ。

腹面に鰓孔があるのでエイの仲間である

なお、みなさんご存知の通り、標準和名に「~ザメ」とついているが、サメの仲間ではなく、エイ上目となる。サメとエイは鰓孔の開く位置が異なり、サメは体の側面に、エイは体の腹面に開く。従来はツノザメ目やノコギリザメ目、カスザメ目などもエイの仲間に近いとされた。これらのサメはエイの仲間と同様に臀鰭を欠いていることが特徴であるが、現在はこれらの関係はそれほど近いものではないとされている。

背鰭がサメのよう

このモノノケトンガリサカタザメは従来はトンガリサカタザメと区別されなかった。太陽の冠くんが頑張っていて世界がパニックに陥っていた2020年の春、長崎県の石田拓治さんからLINEが送られてきて、この魚を購入しようと考えていたが当時の経済状況や社会情勢、そして巨大な体で明らかに高額そうな宅配便の代金がそれを許すはずはなく、その個体は我が家ではなく高知県に送られたようで、無事にパラタイプ標本に指定されることになったようである。トンガリサカタザメに似ているが、胸鰭や体側にある白い斑点がないことや、吻端が丸いことなどで識別できるようである。なお筆者はトンガリサカタザメの写真はないため、説明だけでご容赦願いたい。

いおワールドかごしま水族館の子(手振れが...)

マリンワールド海の中道の子

水族館では人気の魚であり、とくにいおワールドかごしま水族館のものは長寿で何年も飼育されているという。また水槽内で出産したこともあるという。シノノメサカタザメ科の種はすべてCITES(ワシントン条約)のⅡ種に指定されており、国際的な取引が規制されている(サカタザメ科の全種・ミナミサカタザメ科の全種も対象)。そのため水族館での飼育・ブリーディングには大きな意義もあるだろう。

味は美味しく、東南アジアの市場ではお馴染みの魚のようであり、底曳網や刺し網漁業などで漁獲される。味はまだ確かめていないが、今回届いた個体も食する予定なので、近いうちに別媒体でご紹介したいと思っている。

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ヒメアイゴ

2025年05月28日 01時06分36秒 | 魚紹介

5月28日というのはわが「魚のぶろぐ」の誕生日である。10代のころからぶろぐを書き続け、いまや筆者も30代であるのはもちろんのこと、四捨五入すると40代であり、時の長さと人生の短さという、相反したふたつの事実がある。なお、今年の11月にgoo blogが閉鎖される、ということで、goo blogにおいては最後のぶろぐ周年記念日でもある。

最近は非常に忙しかったので、特に記念日コンテンツというのは考えていなかった。ただしこの間の月曜日(26日)ユニークな魚を購入したため、それを近日中に紹介したいところ。

しかしせっかくの記念日なのに何もないのはつまらん、ということで、過去に紹介しようと思っても紹介できていなかった魚をご紹介。スズキ目・アイゴ科・アイゴ属のヒメアイゴである。このヒメアイゴは2019年に入手したもので、沖縄県石垣島産。おそらくHN「あらら」さんが地元のウミンチューの方から入手したものをおくっていただいたのであろう。いつもありがとうございます。

ヒメアイゴの背鰭棘

ヒメアイゴをふくむアイゴ科の魚というのは厄介な魚たちである。背鰭・臀鰭・腹鰭の棘に強い毒を有しているのである。これらの鰭の棘は驚くべきことに、アイゴ科魚類の共通の特徴といい、背鰭は13棘10軟条、臀鰭は7棘9軟条、そして腹鰭は1棘3軟条1棘、つまりふたつの棘の間に3軟条と鰭膜があるのだ。この特徴は条鰭綱でもかなり珍しい特徴の腹鰭といえそうだ。

ヒメアイゴの頭部

本種の特徴は頭部と胸鰭上方にある暗色の斜帯である。この暗色斜帯が下顎に達することにより、サンゴアイゴと識別することができる。サンゴアイゴはこの斜帯が下顎に達せず、体に微小な斑点がびっしりとみられるので容易に見分けられるだろう。

マジリアイゴ頭部

以前このぶろぐで紹介したマジリアイゴは眼を通る斜帯が下顎に達するものの、胸鰭上方の斜帯を有しない。またマジリアイゴの体側には青白い縦線が多数入っている。本種の場合体側の背部に細かい斑点が入ることがあるが目立たない。

水槽の中のヒメアイゴ

アイゴ科の魚の中でもヒメアイゴやヒフキアイゴは色彩が美しいため、観賞魚として飼育される。稚魚はやせやすいので専属でケアできる環境に置くことが重要だが、ある程度育つと丈夫で飼育しやすい。餌は配合飼料を与えるほか、できれば海藻なども与えたいところだ。また食用としても利用され、沖縄では追い込み網で漁獲され、刺身や揚げ物、焼き物など美味。

ということで19周年をむかえた「魚のぶろぐ」今後ともよろしくお願いします。

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ウチワフグ

2025年05月15日 23時46分04秒 | 魚紹介

さて、最近は本当に休みがとれない椎名さんである。もう栃木県某所へのお出かけは疲れたので家でできる仕事に変更しようかとマジで検討中。魚も最近は丸魚を購入して食べることができていないのだが、冷凍庫を整理せよという家族からの命令により、以前我が家に届いた魚の撮影。フグ目・ウチワフグ科のウチワフグである。

ウチワフグの最大の特徴はその腹部に見られる巨大な膜状部で、これは広げたり閉じたりできるらしい。しかしながら、それは生きているとき、このウチワフグの意思によるものだけであり、死後筆者により閉じようとしても、閉じることはできなかった。沖縄美ら海水族館では、このウチワフグの展示に成功しており、その際にもこの膜状部を伸ばしたり閉じたりすることができていた。伸ばしていないときは一見、金色でスレンダーなサバフグ属の魚に見える。

ウチワフグの模様

この膜状部の上方には小さな黒色斑があり、この黒色斑は白く縁どられている。この黒色斑にはバリエーションがあるらしく、細かったり円かったりいろいろあるが、なかにはハート形の模様をしたものもある。

ウチワフグの歯

さて、ウチワフグ科の魚は(少なくとも現生のものは)ウチワフグのみの1科1属1種である。属学名は「Triodon」といい、「3つの歯」という意味である。フグ科の属Tetraodonは「4つの歯」という意味であるが、そこからフグの仲間のことをいうようになったようである。ふぐ毒をよく「テトロドトキシン」といい、これはアルファベットでTetrodotoxinとつづるが、これはTetraodonにちなむらしい。いっぽうハリセンボン属の属学名はDiodonというが、これは「ふたつの歯」を意味する。だいぶ脱線してしまったが、まあ、このウチワフグだけは4枚でも2枚でもなく、上顎2枚、下顎1枚、合計3枚の歯をもつということについて覚えていただければ嬉しく思う。

ウチワフグの鱗

ウチワフグがフグ科魚類と異なるところはほかにもある。そのひとつが体表を覆う鱗である。フグ科の魚は体表がすべすべしているか、小さな棘に覆われているのに対し、ウチワフグの体表はモンガラカワハギの仲間のような鱗に覆われている。ウチワフグの色彩は金色であるが、先述のように膜状部を畳めば、そんじょそこらのサバフグ属と大して違いはないように見える(ただ幅や体の厚みなどはだいぶ異なっている)。また膜状部にも小さな棘が多数生えており、手触りがよい。

背鰭棘の痕跡がある

さらにウチワフグはフグ科の魚やハリセンボン科の魚には見られないものを有している。それは背鰭棘である。本種の背鰭軟条部の直前には黒い線があるのだが、じつはこれが背鰭棘の痕跡なのだという。実際に2本以下の棘がある個体もいるらしい。本種の研究はフグ目魚類の系統解析について大きな意味を持つに違いない。

こんなユニークな魚であるが飼育している水族館は沖縄美ら海水族館や沼津深海魚水族館くらいで、ほとんどない(さらに言えば筆者が美ら海水族館を訪問したときは展示していなかった)。というのもこのウチワフグは深海性で、水深100メートルを超えるような深さに多い種だからである。それゆえなかなか良い状態で飼育展示ができないのであろう。分布域は広く、いわき市、神奈川県三崎以南太平洋岸、琉球列島。海外では台湾、済州島、インドー西太平洋に生息している。今回は小笠原諸島産で、「魚のげぼ」さんより。ありがとうございます。

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