今日もお仕事なので軽くいきます。写真の魚はタルボッツドゥモワゼル。久しぶりに飼育するスズメダイの一種なのだが、だいぶ痩せてしまっている。最近購入した魚ではなく、何か月か前にチャームで購入した個体。ここから餌をたくさん与えまくって、回復させてあげたいところ。
おちついた色合いが美しい。比較的おとなしいように思えるが小型水槽ではほかの魚との組み合わせに注意したいところ。
今日もお仕事なので軽くいきます。写真の魚はタルボッツドゥモワゼル。久しぶりに飼育するスズメダイの一種なのだが、だいぶ痩せてしまっている。最近購入した魚ではなく、何か月か前にチャームで購入した個体。ここから餌をたくさん与えまくって、回復させてあげたいところ。
おちついた色合いが美しい。比較的おとなしいように思えるが小型水槽ではほかの魚との組み合わせに注意したいところ。
どうも、椎名さんです。勤務先から8月の予定表が今になってとどきました。なんか「何をいまさら」な感じがしますが、予定表を見てみたら・・・。ハイ、過労死確定ですかね。
ということで椎名さんの人生もおそらく今月いっぱい。過労死する前に久しぶりの「魚紹介」の記事を。今年の春に小笠原諸島の深海からやってきた魚のご紹介。イットウダイ科・エビスダイ属の深海性種であるカイエビス(たぶん)。
カイエビス(たぶん)という微妙な言い回しの理由は、この個体が本当に「カイエビス」かどうか、確信が持てないため。小笠原諸島からの個体であり、同地にカイエビスが生息しているとは魚類検索第三版にも明確には書かれておらず、どうしても微妙な言い回しを使わざるを得ないのだ。
魚類検索に掲載されているエビスダイ属の4種のうち、小笠原諸島に生息しているのはエビスダイとオキエビスの2種とされている。
カイエビスの側線上の鱗
カイエビスのTRacは2.5。白点列は側線有孔鱗
エビスダイTRacは3.5。白点列は側線有孔鱗
しかしカイエビスとエビスダイでは大きく異なる特徴がある。イットウダイは背鰭棘条部中央下側線横列鱗数(TRac)が3.5であるのに対し、このカイエビスではTRacは2.5である。写真のうち白い点がついているのが側線鱗なので、それより上の鱗を数えればよいのである。
カイエビスによく似た種で、先ほど名前だけが「ちらっ」と出てきたオキエビスについては写真で論じることが難しい。というのも椎名さんはオキエビスの写真を有していないからである。しかし、頭部の形状が大きくことなる。カイエビスの頭部背縁はゆるく突出しているが、オキエビスのそれは直線的である。また体側に見られる白色の縦帯についてはカイエビスのほうが幅が狭くて明瞭、オキエビスは幅が広いが、不明瞭な個体も多いようである(Google検索であきらかにオキエビスといえそうな個体を抽出)。また、この個体は胸鰭軟条数が16である。通常胸鰭軟条数はカイエビスは16、オキエビスは15ということなので、カイエビスでよさそう。ただしカイエビスの胸鰭軟条は15~17で、オキエビスは14~16とのことで、だぶりがあるよう。
長崎県で水揚げされたカイエビス
カイエビスは日本国内では伊豆半島、和歌山県、高知県、長崎県、沖縄舟状海盆、九州-パラオ海嶺に見られ、海外では西太平洋やインドネシア、オーストラリアなどに生息するとされている。ホロタイプはインドネシア バンダ海のカイ諸島で得られたものとされており、「カイエビス」の名前や学名Ostichthys kaiensisというのはここからきているという。
カイエビスの煮つけ。うまし
この属(や同じ亜科のアカマツカサ属やヤセエビス属もだが)は体を覆う、硬い「暴力的」なまでの櫛鱗のためさばくのがなかなか難しい。しかしながらさすがは高級魚エビスダイに近い仲間なだけあって美味な魚であった。ただ今回の小笠原諸島のものは一回冷凍されていたのがちょっと残念である。次回は現地に赴いて新鮮なカイエビスを食べてみたいところだ。今回のカイエビスはTwitterのHN「魚のげぼ」さん、また長崎県産のカイエビスは魚喰民族 石田拓治さんより。みなさんいつもありがとうございます。
7月8日に珍しいカレイを入手した。北海道産のカレイ目・カレイ科・アブラガレイ属のアブラガレイである。アブラガレイといえば流通量が多い大型カレイではあるが、大体がベーリング海で漁獲され切り身や「縁側」といったかたちで流通する種類なので、まるごと一匹で魚屋さんで売っているというのは実は多くない。・・・のだが、つくば市のトライアル、対面鮮魚売り場にドーンと。お金がないのだが、当然ながら即購入を決めたのであった。
アブラガレイの歯
早速観察。アブラガレイの全長は最大で1mにも達するというが、この個体も全長で60cmを超える大きさであった。このようなサイズのカレイ科魚類というのはわが国では少なく、アブラガレイのほかにカラスガレイ、オヒョウの3種くらいである。
そのなかでもカラスガレイ属のカラスガレイとは同じ属に含められることもあるほどよく似ているものの、下顎歯が2列であること(カラスガレイでは1列)や、そのうち長いほうの歯を倒すことができること(カラスガレイでは倒せない)、眼のうち上眼は体側部にあること(カラスガレイでは上眼が頭部背縁にある)、眼の間隔が狭いこと(カラスガレイでは広い)、などによって見分けることができる。北方性のカレイであり、分布域は茨城県以北の太平洋岸、富山県以北の日本海岸、北海道の全沿岸。海外ではオホーツク海、ベーリング海、アリューシャン列島近海に生息している。カラスガレイ属は1属1種であるが、アブラガレイ属はもう1種Atheresthes stomiasという種も知られているが、この種は眼の位置が異なり、上眼がカラスガレイのように頭部背縁にあるという。分布域はロシアからカリフォルニア州までの北太平洋とされていて、日本に入って来るアメリカ産のものは、アブラガレイではなくこちらの種かもしれないが、基本的に加工されて入ってきているので不明である。
2016年に入手した個体
我が家には過去2016年にもアブラガレイがやってきたことがある。そのときは残念なことに、写真のようにぼろぼろで、なかなか詳しく写真を撮影することができなかった。もっと詳細な写真を撮影する機会が欲しかったところであるが、今回ようやくそれをかなえることができたといえるだろう。
この個体はタグがついていた。北海道昆布森産であることを示すタグである。昆布森というのは北海道釧路町(釧路市ではない。Lineなどで釧路市としていましたが誤り)にある地名で、小さな漁港がある。Google earthなどで見ていると採集にも良さげな場所なのだが、森にはクマさんが出そうである。底曳網や釣りではなく、刺網漁業で獲れたもののようだ。
アブラガレイのお刺身
今回のアブラガレイをお刺身で堪能した。刺身の皿、手前右に見えるのが縁側である。これがこりこりして旨い。身の部分も脂がよくのり甘みもあり極めて美味であった。
ガーリックバターで焼いた
身の量は多く、ガーリックバターで焼いて食べても美味であった。ということで久しぶりの魚紹介の記事であった。
※はてなブログでも同じ記事をアップしております。goo blogのサービス終了により、2025年10月以降ははてなブログに完全移行いたします。何卒よろしくお願いいたします。
今日はお休みだったのですが、明日はまたお仕事です。椎名さんは大変なのだ。
椎名さんのお仕事からの帰り道、つくば市内に「トライアル」というスーパーマーケットがある。トライアルは大きな店舗に安い商品が多数あるというディスカウントストアの類なのだが、つくばのトライアルには魚屋さんがテナントとして入っており、いろいろ変わった魚を販売している。このカレイ科・マガレイ属のクロガシラガレイもそのひとつ。北海道産で1匹500円ほど。
クロガシラガレイの尾鰭縁辺
クロガシラガレイは同じ北海道に分布するクロガレイによく似ているが、やや体高が高いところで見分けられる。もうひとつ見分け方で重要なのは尾鰭で、クロガシラガレイは尾鰭後縁が白くなることで見分けられる。なおこの2種を識別するもう一つの特徴として有眼側鰓蓋腹縁に白っぽい、または黄色っぽい皮弁があることがあげられるが、この特徴はクロガシラガレイと同定される個体でも見られないことも多く、確実な同定方法とはいいがたい。
クロガシラガレイの無眼側
マコガレイにも酷似しているが、無眼側の背鰭・臀鰭・尾鰭の斑紋は大きく明瞭な帯状になることで見分けられる。マコガレイの斑紋は暗色で不明瞭な斑点である。なおクロガシラガレイとマコガレイはかつて同一種とされていたこともあるようで、見分けるのが難しい。この3種をしっかり同定するには標本を残すべきであろう。
クロガシラガレイの刺身
クロガシラガレイを食べるのは2015年以来、およそ10年ぶりである。その時は唐揚げで食したが、今回は刺身で食べることに。写真からもわかるように水っぽい。どうも産卵後のカレイというのは水っぽくなることがあるようだ。しかしながらどのようなメカニズムで水っぽくなるのかはわからない。しかし味はよく、500円でも満足いく味であった。
※はてなブログでも同じ記事をアップしています。goo blogサービス終了により、2025年9月末をもちましてはてなブログに完全移行いたします。ブックマークなどの変更をお願いいたします。
先日、モノノケトンガリサカタザメを購入した際に一緒に入っていたのがムロアジ属。どうも旋網船が入ったのか、数多くのムロアジ、そしてアカアジが私のてもとに届くことになった。しかしその中に、今まで見たことがない尾が赤いアジを発見。それが今回ご紹介のサクラアジである。
サクラアジは北スラウェシ ビトゥンで採集されたものをもとに、2013年に新種記載された尾が赤いアジのメンバーのひとつ。しかしながら今回の個体は水につかっていた時間が長かったためか、特徴である鰭の赤みというのが失われてしまっている(水揚げされて梱包されるまでは鰭は赤かった)。しかし赤みを帯びた鰭の色彩や、アカアジ・キツネアカアジと比較して妙に低い体高、第2背鰭起部直下に達する胸鰭というのはサクラアジの特徴と一致する。
オアカムロ
「尾が赤いアジ」といえばみなさんよく思い浮かべるのがこのオアカムロ。しかしオアカムロは定置網にはなかなかかからない。その理由としてはオアカムロは外洋性で、ハダカイワシの仲間を追いかけているらしいのだ。そうなると定置網よりは旋網で漁獲されるということになる。サクラアジの生態は不明な点が多いが、今回はアカアジやムロアジ、クラゲウオなどとともに旋網で漁獲されたようだ。
最後に、椎名さんがこれまで入手してきた尾が赤いムロアジ属の胸鰭と第2背鰭起部の位置関係の比較を。
サクラアジ
アカアジ
オアカムロ。胸鰭は第2背鰭起部直下に届かない
今回サクラアジを入手したことにより、まだ入手していない日本産のムロアジ属魚類はキツネアカアジのみということになった(ただしこのぶろぐですべてのムロアジ属を紹介しているわけではない)。ほかの海外産のムロアジ属は大西洋の広域にすむクロボシムロアジと、ニュージーランド沿岸のコヘルである。コヘルは背中が明瞭な黄色になり、同地近辺に生息するタカベ属の魚に擬態しているかもしれない。日本産の魚でいえば、タカベよりもウメイロのほうがしっくりくるのだが。ユニークな色彩なので、日本でも葛西臨海公園水族園あたりで展示してほしいところである(輸送が難しいかも)。
今回のサクラアジもマルホウ水産「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。
※はてなブログにおいても同じ記事をアップしています。goo blogサービス終了のため、2025年10月1日以降ははてなブログに完全移行となります。ブックマークなどの変更をよろしくお願いいたします。