魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

フィリピン魚6.スパインチークアネモネフィッシュ

2012年01月31日 17時32分36秒 | 魚紹介

日本は太平洋側にフィリピンからやってきた日本海流(黒潮)が通っており、沖縄などではサンゴ礁の発達も見られ、沖縄やフィリピンの間では魚の種類はある程度共通種がみられたりします。しかし勿論のこと、両地域を比較しますと沖縄にしかいない魚、逆にフィリピンにのみ見られる魚というのも存在します。

ベラ類、ハタ類、フエダイ、ブダイ類などは卵も仔魚もサイズが小さく、黒潮にのって広範囲に分布を広げられます。この仲間は日本にも同じ種類がいたりします。逆にハゼ類、テンジクダイ類、スズメダイ類などは卵や仔魚が大きいためにあまり分布を大きく広げないものもいます。このような分類群は日本に産しないものもいます。

スパインチークアネモネフィッシュPremnas biaculeatus (Bloch)は西部太平洋に生息するクマノミの仲間ですが、眼下に目立つ大きな棘があるなどクマノミ属と違う点がみられます。現在のところ1属1種です。

生態はクマノミ属の魚とほぼ同様で主にサンゴイソギンチャクと共生します。本種は雌雄で色彩やサイズが大きく異なることが報告されています。雌は雄よりもずっと大きくなり、黒っぽい体色が特徴的です。一方で雄は小さいものの、鮮やかな橙色と白色の帯が特徴の美しい魚です。雌は15cmを超える大型種です。

観賞魚として利用されていますが、性格はかなり強くほかのクマノミや小魚とは一緒に飼うことはできません。その性格が災いし、三重県などで本種が釣りによって確認されたことがあります。このような放流は単独での放流のためあまり大きな影響がないと思うひともいますが、交雑などの可能性もありますし、その地域にいない寄生虫や感染症などが蔓延することも考えられます。基本的には飼育した魚は最後まで自分で面倒を見るべきでしょう。

スパインチークアネモネフィッシュの名称はもちろん大きな眼後方下の棘に由来します。ほか「しろみすじ」という和名があったり、アクアリストの間ではマロンアネモネフィッシュと呼ばれることもあります。

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フィリピン魚5.マダラタルミ

2012年01月30日 17時32分56秒 | 魚紹介

第5回目になります、本日のフィリピン魚はマダラタルミMacolor niger (Forsskål)です。

マダラタルミはフエダイ科の魚で、大きいものでは70cmにも達する大型種です。幼魚は白と黒の模様が美しいのですが成長するとこの模様は薄くなり、やがて消失してしまいます。成魚は一様に真っ黒で、幼魚の愛らしい面影はありませんが、独特の雰囲気がある魚で、ぜひとも鮮魚の状態で、市場などで拝見してみたい魚です。

マダラタルミ属は2種からなりフィリピンや沖縄諸島、八重山諸島などには両種が分布します。もう1種のホホスジタルミは1931年に記載されたもので、本種にそっくりなのですが成魚は、頭部に青色線があること、など特徴によりマダラタルミと区別できます。幼魚はよく似ていますが腹鰭はマダラタルミよりもよく伸びています。

マダラタルミは英名でBlack and white snapperと呼ばれますが、幼魚の色彩にちなむものでしょう。フィリピンでは食用として市場に出ているようです。

成魚はこんな感じになります。

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マトウダイ薄づくり

2012年01月28日 22時44分47秒 | 魚介類を食べる

 

「昭和水産」の宮本専務におうかがいしマトウダイZeus faber Linnaeusを購入。昨日、今日と、美味しくいただきました。

マトウダイは沖合底曳網漁業の重要漁獲物のひとつです。様々な料理につかえますが、鍋物、焼き物、薄づくりなどにして美味しくいただけます。さばく時に注意しないといけないのが、背鰭と臀鰭の付け根付近に大きな棘の列があることです。無毒のようですが、袋や手を傷つけます。

マトウダイの薄づくり。これを美味しくいただきます。この身はもちろんのこと肝も使います。肝はあらかじめゆでておき、出した後、箸などでほぐします。この肝を身で包むようにしていただくと、美味なものです。大きい個体なら、1匹購入すれば、4人で1回分楽しめます。

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フィリピン魚4.コハクヒメジ

2012年01月27日 18時20分07秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はヒメジ科のコハクヒメジUpeneus sulphureus Cuvierです。

フィリピンにもヒメジ科、ヒメジ属の魚は10種ほどが分布しています。本種の特徴としては背鰭に暗色の縦線があり、体側の黄色縦帯は2本、そして何より尾鰭両葉に帯がないのが特徴です。第1背鰭の先端は黒く、これはヨスジヒメジやミナミヒメジと同様の特徴です。

尾鰭については、この「帯がない」特徴でフィリピン近海のほぼすべての同属魚類と区別されます。

体側の黄色縦帯を持つ近縁種にはヨスジヒメジやミナミヒメジがいますが、これらの種は尾鰭に帯を有するので区別できます。シロガネヒメジは背鰭の先端が黒くならないことでも区別できます。

本種は8本の背鰭棘をもちますが、本属の場合、第1棘が小さいものが多いです。残念ながらこの個体は第1背鰭最後の鰭膜がおかしなことになっています。最後の鰭を立てるのを忘れてたかもしれません。

コハクヒメジは日本にも分布し、長崎県・沖縄県に分布する、とあります。世界ではインド・太平洋域に分布するようです。東(南?)シナ海では底曳網などによってそれなりに漁獲されているようで、食用になっています。日本ではあまり見られないのか、食用にされるかどうかは不明です。

この個体はおなかに鮮やかな黄色線があります、すべての個体がそうではないようで、ネットの写真ではおなかが黄色くないものもいました。そういえばイトヨリダイ科のソコイトヨリなども似たような模様をもちます。面白いものですね。

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フィリピン魚3.アミメフエダイ

2012年01月26日 19時57分43秒 | 魚紹介

本日のフィリピン魚は、フエダイ科のアミメフエダイLutjanus decussatus (Cuvier)です。

アミメフエダイは沖縄以南のサンゴ礁域に多く生息するフエダイの仲間で、愛媛などでの確認例もあります。

体は白っぽく、縦帯が入り、体側の上方には薄い横帯がはいるなど美しい魚です。

体側にはクロホシフエダイや、イッテンフエダイのような黒色斑はないものの、尾柄部には大きな暗色斑があります。ほか、ユウダチタルミは尾柄部の大きな暗色域があることで本種に似ていますが、目立つ縦帯がなく、暗色域は尾柄部の広域に及ぶなどの特徴があります。ユウダチタルミは、ニューギニアや、カロリン諸島、マーシャル諸島などで見られますがフィリピンにも生息するようです。

成魚はサンゴ礁域やその周辺に生息しており、幼魚は時に潮溜まりにも入っています。食性は肉食で、小魚や甲殻類などを捕食する、獰猛なハンターです。フエダイ科魚類としては小型で、普通は体長20cmほどです。

 

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