魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

アゴハゼ

2015年10月30日 06時27分51秒 | 魚介類採集(海水)

この間アゴハゼを採集してきたら、意外なことにこのぶろぐでアゴハゼのことをろくに取り上げていないことに気が付いた。

アゴハゼは北海道から九州までの潮溜まりに広く分布しているハゼで、磯採集家には大変馴染の深い存在である。しかし、周年沢山いるせいか、あまりこの種類をつかまえようとしている人はいないようだ。

アゴハゼ属はハゼ科のなかのゴビオネルス亜科に属し、ウキゴリ属に似ている。アゴハゼとドロメの2種が知られ、両方とも琉球列島を除く日本の沿岸で見ることができる種である。アゴハゼとドロメの見分け方は、一般的に尾鰭に黒色点があるのはアゴハゼ、尾鰭に斑点がなく、白っぽく縁どられるのがドロメという違いがある。

宇和島に長いこと住んでいたのだが、その時はドロメが多く見られ、アゴハゼはほとんど見られなかった。最近は関東の磯を訪れたがほとんどがアゴハゼであった。九州・宮崎の潮溜まりにもアゴハゼはいた。しかしながらなぜかドロメを見る機会が少なくなってしまった。綺麗な魚を追いかけるのもいいが、そのような魚ばかり追いかけていては、この2種の違いにはなかなか気がつかないだろう。

潮溜まりのアゴハゼ

関東の某磯潮溜まり。ここではアゴハゼのほかにも、クモハゼやイソハゼなどの姿を見ることが出来た。さらに潜ると、キヌバリの大きな個体も見られた。ミミズハゼやサビハゼなどもいるようだが結局見られず、キヌバリが多くみられる5月にでもまた採集に行きたいものだ。

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オアカムロ

2015年10月27日 22時34分30秒 | 魚紹介

最近深海の魚ばかりだったけれど、久しぶりに深海でない魚をご紹介。アジ科のオアカムロという種である。

オアカムロは小離鰭のあるムロアジの仲間(ムロアジ属)の魚。日本に産するほかのムロアジの仲間のうち、モロ、ムロアジ、クサヤモロ、インドマルアジ、およびマルアジとは尾鰭の色彩が鮮やかな赤色であることにより見分けられる。この尾が赤いムロアジの仲間は本種のほかにアカアジ、レッドテールスカッドDecapterus kurroides Bleeker, 1855、さらに最近記載された種類であるDecapterus smithvanizi Kimura, Katahira and Kuriiwa, 2013が知られている。これらの種類はインド洋から西太平洋にかけて生息するようだが、オアカムロは世界中の暖かい海域に生息しているようだ。

これらの種類のうち、日本に分布するのはオアカムロとアカアジ。アカアジはレッドテールスカッドや、D. smithvaniziと見分けるのはなかなか難しいのだが、オアカムロとアカアジを見分けるのはさほど難しくない、と思う。

オアカムロDecapterus tabl Berry, 1968

アカアジDecapterus akaadsi Abe, 1958

並べてみるとこんな感じなのだが、ちょっと難しかったかも。オアカムロの胸鰭は第2背鰭まで届いていない。逆にアカアジは届いている。ただしオアカムロは胸鰭が短いというよりは胴体が長い気がする。またオアカムロは鰓蓋弁の後縁が鋸歯状になっているという点も特徴的である。分布域はアカアジが北海道以南の海域、オアカムロは茨城県~沖縄県の海域に多く、それより北の海域や、日本海には少ないよう。

今回のオアカムロは刺身にして食べてみたがかなり脂がのっていて美味であった。魚の味は脂だけで決まるものではないし、養殖魚の脂はかなり強くあまり受け入れがたいということもあるが、今回のオアカムロはほどよい脂で、かなり美味であったのだ。もっとも、ムロアジの仲間はどの種類も刺身やタタキ、焼き物などで美味しいのであるが。

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ハゲヤセムツ

2015年10月26日 00時09分30秒 | 魚紹介

最近は「深海魚ブーム」であるけれど、ヤセムツの仲間は深海魚ファンにはあまりなじみがないようなのだ。きっとこの仲間は体があまり「特徴的」ではなく、似たようなのが浅い海にもいるせいだろうか。ヤセムツの仲間は日本近海に3属6種が分布しているが、数が多いのはヤセムツとハゲヤセムツの2種。写真の個体はハゲヤセムツ。

ヤセムツの仲間はテンジクダイに近縁と考えられていて、古い本では本種をテンジクダイ科に含めているものもあるほど。ハゲヤセムツは水深100~800mくらいの場所を群れで遊泳していて、釣りや底曳網漁業などで漁獲される種類。鱗はとても剥げやすく、今回の個体には少ししか残っていなかった。

こちらは眼がやや大きいのだが、上のハゲヤセムツと同じ種類と考えられるもの。ほかのヤセムツ科魚類は主鰓蓋骨に強大な棘があるのが特徴とされているが、今回の個体にはそれがない。したがってハゲヤセムツと同定できる。

なおハゲヤセムツと出会ったのは今回が2回目。2009年に沖合底曳網漁業で漁獲されたのですが、残念ながらぶろぐには掲載していませんでした。今回改めてご紹介。この個体は鱗が全くないだけでなく、鰭もぼろぼろ。第1背鰭に至っては基部しか残っていない様子。

ヤセムツの仲間は多くが全長20cmほどと小型であり、あまり市場で見た記憶がない。近縁といわれるテンジクダイの仲間も、テンジクダイなど一部の種をのぞいてあまり市場には出回らない。ただしハゲヤセムツは静岡など一部の地域ではスーパーでも販売されているらしく、それなりに認知されているようだ。一番でかいオオヤセムツという種類は大きいもので全長70cmになるといわれ、食用魚として日本に輸入されたことがあるそうだ。このオオヤセムツは大西洋の広域と、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。一方のハゲヤセムツも分布は広く、駿河湾以南の太平洋岸、大西洋、地中海、インド洋のレユニオン島、オーストラリア、ニュージーランドに分布。

この間のヒウチダイと同じく、この魚を食した話はまた後程。

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ヒウチダイ

2015年10月25日 14時04分21秒 | 魚紹介

前回、ヘリダラか、ハナソコダラか、というぶろぐの記事を書いたけれど、今回はそのヘリダラか、ハナソコダラと一緒に獲れたこれ。ヒウチダイというキンメダイ目の魚である。

最近は深海魚のブームで、「食用になる深海の魚」がメディアにいろいろと紹介されている。深海魚のものとしては、キンメダイ、ムツ、ニギス、アオメエソといった種ほどではないが比較的よく食されている種類。ヒウチダイは水深200m以深の海底に生息し、底曳網や釣りなどの漁法で漁獲されているもの。以前このぶろぐでご紹介したハシキンメに似ているのだが、ハシキンメは側線鱗がほかの鱗よりも少し大きいくらいなのだが、本種の場合は側線鱗が明らかにほかの鱗よりも大きく、縦状になるという特徴がある。

尾鰭は後縁が黒くなるという特徴がある。この特徴で日本に分布するヒウチダイの仲間でもよく似た種であるマルヒウチダイと容易に見分けることができる。

ヒウチダイの稚魚。写真の稚魚は体長29mmの稚魚であるがそれでも尾鰭の後縁が黒いという特徴が出てきている。この稚魚は沼津ではなく、愛知県三河湾産の個体で、アオメエソの中に混じって販売されていたもの。今回ヒウチダイの記事をアップして、私のブログに掲載されたヒウチダイ科の魚は合計3種となった。

後はクロヒウチ、マルヒウチダイ、そしてミナミハリダシエビスの3種であるが、クロヒウチは日本近海では東シナ海の水深500m以深の深海、またミナミハリダシエビスはクロヒウチよりは浅いものの、日本近海では九州-パラオ海嶺にのみ分布しているようで、なかなか拝むチャンスはなさそうである。

ヒウチダイを食した話はまた今度。

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ヘリダラまたはハナソコダラ

2015年10月23日 20時42分32秒 | 魚紹介

この間お友達の魚屋さんから貴重な魚を購入。それがこのソコダラ科の魚である。

この個体は駿河湾で漁獲されたもので、腹鰭鰭条数からヘリダラと思われた。しかしかながら頭部を背面から見た感じはハナソコダラのよう。また「日本の海水魚」の本を見た限りではハナソコダラのようであった。ただしこの個体はその魚屋さんいよればおよそ水深300m前後の場所で漁獲されたとのこと。ヘリダラは水深300m前後の場所で漁獲されたとのこと。ヘリダラは水深300~900mほど、ハナソコダラはもっと深く水深500m~1000mを超える場所に生息。どちらも本州の太平洋岸~沖縄舟状海盆にまでいるとされるが、ハナソコダラは北海道でも見られる。逆にヘリダラは台湾南部まで生息。ただし深海は安定した冷たく暗い環境であり、どちらも冷たい場所を好むようだ。

この個体の頭部背面。頭部の形状はハナソコダラのほうに似ている感じ。吻の先端には丸みを帯びた突起がある。頭頂部にある直線の切れ込みはおそらく神経抜きをしたときに開けた穴であろう。

この個体の頭部側面。茶色い体であまり派手な色彩ではないが、背鰭の棘がぴん、と伸びていて格好いい。ちなみにヘリダラもハナソコダラもこの特徴を有しているよう。ヘリダラもハナソコダラもホカケダラ属に含まれる。ホカケダラ属は日本には少なくとも13種が分布しているが、この2種類はその中でも口が小さなタイプ。上顎長は頭長の1/3未満となっている。

こちらはイバラヒゲという種。イバラヒゲは北海道から土佐湾までの太平洋岸、北米の西岸にも分布し、北太平洋の広い範囲に見られるソコダラである。水深3700mまでの深海に生息している。イバラヒゲの上顎長はヘリダラやハナソコダラよりも長めなのが特徴、なのであるが、この写真からはわかりにくいかもしれない。

いずれにせよヘリダラとハナソコダラは同定が難しいのであるが、今回いただいた個体は鍋で美味しくいただいた。送っていただき、ありがとうございました。

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