魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ウッカリカサゴで総括

2011年12月31日 19時57分52秒 | シーズン総括

 

今日でいよいよ激動の?2011年もおしまい。1-2月に日本を襲った東北日本海側―九州にかけての大雪、3月には東日本大震災、福島原発事故、8月には紀伊半島で台風による甚大な被害など、自然環境に振り回され、その影響(ではないか)からか海にもあまり行けず、潜れたのは1日だけ・・・こんな年は久しぶりです。

新しい魚との出会いは少なかったですが、少ない出会いを大切にして長生きさせたいものですね。

今日はこのウッカリカサゴSebastiscus tertius  Barsukov and Chenをさばきました。普通のカサゴと比べやや深い海にすみます。白色斑に黒い縁取りがありますが成魚では斑紋は不明瞭になります。写真の個体は全長30cmを超える大物です。薄造りにして正月に美味しくいただきます。

さて、私的今年の総括・・・まずは今年の動静振り返り。

1-2月:水槽のコンディションが悪く、ナマズやクラウンローチ、スネークヘッドを失ってしまいました。海水魚でも、ジョーフィッシュが謎の突然死。その後小型のハゼであるイザヨイベンケイハゼを導入。あまり見る機会が少ない水槽の脇役で、今も元気です。

3月:弟が高校の修学旅行(沖縄)で同11日に魚を牧志の公設市場で魚を購入してもらう。この日は、昨年のGWに乗ったJR九州の夜行列車が廃止ということでちょっとショックな一日であったが、さらなるショックが・・・。翌週に船舶免許更新に行くが、免許証を忘れ、途中で引き返す経験も。

4-5月:喜界島で今シーズン初めて、魚採集と釣り。津波の影響でサンゴに海水の泥がかぶり死滅していたが、イソハゼ類やクモウツボを採集。特にウツボは我が家の人気者に。ほか、ネズスズメダイ、ナメラハゼ、ホソスジナミダテンジクダイなども最集。初採集は、メガネハギ、クマドリ、アカモンガラ、ニジハタ、ヤセアマダイ、タスジイシモチでした。

5-6月:三重出身で、今はフィリピンのサマール島におられる「鈴鹿」さんと初顔合わせ。駅前の市場で幾度かお買いもの、サクラマスやサケなど、サケ科魚類に結構な縁がありました。

7月:肉食系大和撫子、いや、なでしこジャパンの活躍に歓喜。一方和歌山県の白浜で長いお付き合いの友人と初顔合わせ。初採集の魚はいなかったのですが、オニカマスやワニグチボラなどを採集して持ち帰りました。

8月:再び和歌山へ。台風のうねりの中潜れず、陸からコガシラベラやイソギンポなどを採集。イソギンポは採集したときからかなり大きくなりました。

9月:魚類学会のため青森へ。1日フリータイムがあり釣りでもしようかと思いましたが残念ながら魚は釣れず。

10月:高知へ。今年唯一の潜っての磯採集。水温は低めで魚も少なく、魚はキリンミノを採集したのみ。ついにPCが壊れる。

11月:PC買い替え

12月:PC買い替え後またひと月で壊してしまう。何とか新型機で乗り切る、年末は宇和島で作業、(有)昭和水産でも専務・社長さまとお話しさせていただく。

という感じでした。

やはり今年のブログは、家での水槽の話題が多かったり、市場で購入した魚の話題が多くなったりしたのは「海や川にろくに行けていない」これにつきます。今年最初に海を見たのは4月29日、やはり海から離れてしまうと海に対する感情が変わってきてしまうのでしょうか・・・。そうだとすれば非常に残念なものです。その一方で今年はよくお世話になっている方々との初対面もいくつかありまして、年末には(有)昭和水産の宮本社長、宮本専務 (兄弟です)、ほか総務、事務の方々とも久しぶりの再会で、とくにトロール市のスタッフさんとは2009年の8月以来の再会となりました。

いいこともあり、悪いこともあり、の一年でした。来年もよろしくお願いいたします。私はサッカーワールドカップ(女子)スウェーデン戦(再放送)を聞こうかと思います。

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意外な魚

2011年12月30日 21時50分47秒 | 魚紹介

宇和島滞在期間中にマグロの胃の内容物も調査しました。珍しい、様々な魚が胃の中から現れました。デメエソ科魚類がもっとも多く、次いでムネエソ類が多く出現、このほかにハダカエソ科やイボダイの仲間も現れました。

そんな中、意外な魚も現れました。

ハコフグ科のウミスズメLactoria diaphana (Bloch and Schneider)です。

おなかが膨らみ見た目はフグそのものですが、体はかたい鱗に覆われています。ハコフグ科の特徴ですね。ウミスズメは小さいころ水を飲んで膨らむ習性が古くから知られており、この個体も飲んでいるようでした。このころはまだウミスズメの仲間の特徴である頭部などの突起は現れていません。

ウミスズメの分布はインド・太平洋の広域におよび、海洋島などにも見られるようです。この胃内容物も、量などから推測しますと、きっと海山や島の近海で漁獲されたものではないか、とも思うのですが。もっとも、カジキなどの胃の中からウミスズメは時々見つかっているようです。

これがウミスズメLactoria diaphana (Bloch and Schneider)の成魚。定置網で漁獲された個体です。成魚はごく浅い防波堤から、やや深い砂泥底まで様々な場所に出現しています。

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八幡浜の魚とトロール市

2011年12月28日 20時35分56秒 | 魚市場

八幡浜はみかん栽培が盛んになる前から魚の町としても有名でした。大正時代から二艘の船で網をひく沖合底曳網漁業が盛ん、戦後には食糧の増産を掲げる国策もあり、終戦直後には54隻の大船団を掲げましたが、その後魚価安、魚離れ、船の老朽化、などのこともあり、平成18年以降は海幸丸の2隻のみが操業しているというのが沖合底曳網の厳しい現実・・・

写真は昭和水産の本社屋もあります向灘地区の街並みを魚市場から見た様子。残念ながらもうすでに海幸丸は航海に向かった後でした。今年の最終航海です。

もうすでに2隻のみとなってしまった八幡浜の底曳網漁業ですが、海幸丸は頑張っておりました。感動です。最近はかまぼこやそのほか練り製品の需要を見込んだ近場「豊後水道南部」で操業が行われ、八幡浜で「石エソ」とも呼ばれるトカゲエソや、マダイ、キダイ、イボダイ(八幡浜では「アマギ」)、エイラクブカ(同「フカ」)、ヨリトフグ(同「ミズブク」)、アカエイ、ホウボウ、シログチなどの水揚げがあったようです。

ここで昭和水産の専務さま、社長さまとお会いできました。ちょっと雑談後「せり」を見学。

イボダイ(アマギ)Psenopsis anomala (Temminck and Schlegel)の「せり」の様子です。左側の赤いベストを着ておられるのが「セリ人」。独特の、早口の掛け声が朝の八幡浜魚市場に響きます。

こちらがイボダイPsenopsis anomala (Temminck and Schlegel)。多獲される魚で相場が安定しているとのことでよく狙うターゲットです。主に焼き物、フライなど。

未同定のコウイカも発砲スチロールの中に整列。イカ類も相場が安定しているようでよく狙うターゲットとなってるようです。

船の上で発砲スチロールの中に入れる場合もありますが、トロ箱を使うことが今でも多いです。写真はイカの墨で真っ黒になったトロ箱。

ホウボウChelidonichthys spinosus  (McClelland)。肉は白身で大変美味です。が、なぜか一般のお客様にはあまり売れていないようです。この魚はレストランを経営されてる方が好んで買っていかれるそうです。大きいものになると40cmを超えます。写真のは大体25cmほどでやや小ぶりの個体です。

その後はトロール市場。昭和水産の小売店舗です。朝6時から15時まで営業。市場が休みとなる土曜日は休業。年内は31日の大晦日まで正月用の魚を中心とした品ぞろえで営業。「一夜干し」とのれんに掲げてありますが、鮮魚も豊富に在庫しています。

写真で、軽のバンが止まっている横にはテーブルがあり、そこで魚を食べられます。「やわたはまトロールバーガー(ヨリトフグ・タチウオの2種があるカレー味のバーガー)や、沖合底曳網の魚で作られている「トロール寿司」など。

先代の海幸丸の浮き輪。現在の海幸丸は平成元年(1989年)建造です。

専務さま、社長さま、お世話になりました!またよろしくお願いします!

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八幡浜

2011年12月27日 21時33分53秒 | 

本日は愛媛滞在最終日で、新幹線で名古屋に帰ってきました。最終日は(有)昭和水産のみなさまのもとを訪問するため、八幡浜によりました。最終日は晴れでした。風も強くなく、2日前とは違い海は凪です。透明度はよかったのですが、水温が低いためか魚は殆ど姿なし。

八幡浜は「魚」だけでなく「ちゃんぽん」「飛行機」の町としても知られています。八幡浜出身の二宮忠八は、日本ではじめて動力飛行に成功した人物として知られ「飛行機(器)の父」という評価もされているそうです。

そしてもちろん「みかん」。八幡浜は山に囲まれていますが、その山ではみかんの栽培が盛んです。クリスマス・ツリーですが・・・

「もみの木」にみかんが・・・?流石はみかんの町。もうひとつの雄、魚についてはまた次の記事でご紹介したいと思います。

 

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雪の降る中、西海まで・・・

2011年12月26日 20時47分53秒 | 魚紹介

 

昨日の話になりますが、愛媛県は愛南町、西海のほうに行ってきました。お世話になっている定置網の漁師さんに魚をもらいに行ってきたのです。もうすでに定置網はたたんでしまってありました。冬は魚が獲れないようで、来年の春までお休みです。風・波ともに強く、船は避難してありました。

作業場にも人の姿はもちろん、ネコやカラスの姿もありません。帰りに道の駅「みしょうMIC」に立ち寄りましたがそこで大雪。魚は連日のシケで少ない。帰り道、須ノ川あたりでみる夕日が素晴らしくきれいでした。

今日は魚の同定・計測・耳石採取。その後はちょっとしたミーティングで結局7時ごろまで残っていました。

ヒブダイScarus ghobban Forsskål。4kg近くもある大型の雄。鮮度がよいと刺身でも美味しい魚です。沖縄ではブダイはイラブチャーと総称されますが本種はアーガイと呼ばれる。沖縄ではどこの市場でも普通に売ってる高級魚。

こちらはモンツキハギAcanthurus olivaceus Bloch and Schneiderの幼魚。ニザダイ科の魚で鰓蓋後方のオレンジ色斑が特徴です。本日で宇和島での作業はすべて終了!お疲れ様でした!

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