魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

オグロコンニャクウオ

2018年04月25日 10時09分50秒 | 魚紹介

この間の日曜日にはじめて食する魚を購入した。スズキ目・クサウオ科・コンニャクウオ科のオグロコンニャクウオという魚だ。

オグロコンニャクウオをこのぶろぐで紹介するのは初めてではない。以前も北海道羅臼で獲れた個体を入手している。しかし前回の個体は20cmほどの小ぶりの個体。今回の個体は全長530mmもあり、前回の個体よりもかなり大きい。

オグロコンニャクウオの胸鰭にはザラビクニンなどに見られる欠刻はない。このほか体が汚れた桃色であること、歯が棒状で細長いこと、鰭の縁辺が黒っぽくなること、吻の形状などでほかのコンニャクウオ属の魚と見分けることができる。ただしその違いは微妙でわかりにくいし、成長段階で形質が異なることもありえる。たとえばダンゴウオ科は従来は体側の瘤状突起の有無で種を分けていたが、これは雌雄の差である(と思われる)とされていたりする。

●オグロコンニャクウオを食べる

コンニャクウオの仲間はまずいわけではないが、味は乏しい。煮つけなど味付けする料理に合うかもしれない。また鮮度が落ちやすい。今回のこの煮つけは当日はまあまあいけたが、翌日は変な食味。腐っているようなにおいもしていた。

しかしクサウオって保存中に腐るようなことがある気がする。以前のサケビクニンやエゾクサウオもそんなことがあったし、さばくと皮の下が腐っているような個体に出会うこともあった。サバなど以上に鮮度が命なのかもしれない。

さて、例の総選挙の会場がナゴヤドームで決定したということで、あちこちぶろぐを見てみたがやはり松井珠理奈の1位がほぼ確実に。ということで栄ヲタの皆様、珠理奈ではなく須田亜香里さんに入れていただけないだろうか。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

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ミノカサゴ属の一種

2018年04月20日 12時00分11秒 | 魚紹介

昨日4月19日は「こじはる」こと小嶋陽菜さんのご生誕30周年記念日であった。なお、今年の「例の選挙」の開催場所がナゴヤドームで決まりだそうだ。中日主催試合よりも多くの人をあつめそうなものだが、私には単純に松井珠理奈を1位にさせるためとしか思えない。

この魚はミノカサゴ属の一種である。これは前回ご紹介した「小学館の図鑑Z 日本魚類館」に掲載されていたミノカサゴ属の1種とおなじものと思われる。学名は不明であるがPterois russeliiという種かもしれないようだ。ただしFishbaseでみるP. russeliiとこの種とはだいぶ雰囲気がことなるように見える。ミズヒキミノカサゴも日本から報告されたときはPterois mombasaeと同定されたが、のちに別種(新種記載)された。

こちらはミノカサゴ。古くからよく知られている種で、北海道~種子島までの各地と小笠原諸島に生息する温帯性の種。

見分け方は腹鰭を見るのが簡単。腹鰭に白っぽい点が多数あるのが今回のミノカサゴ属の一種であり、一方黒い斑点が多数あるのがミノカサゴであるという。確かに黒い斑点が腹鰭似あるのとないのでは、印象もだいぶ異なってくる。

胸鰭もこの2種の見分けに役に立つという。ミノカサゴの胸鰭にはよく目立つ黒い縞模様がある(ことが多い)が、ミノカサゴ属の一種のほうでは赤みがつよくて黒い縞模様は不明瞭である。

ミノカサゴ属の一種は少なくとも三重県~種子島までの太平洋岸や琉球列島に生息しているようだが、数はあまり多くない。これからの研究が進むことを期待したい。なお今回のミノカサゴ属の一種は種子島近海、ミノカサゴは宇和海産、どちらも(有)昭和水産の海幸丸で漁獲されたもの。みなさんありがとうございます。

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小学館の図鑑Z 日本魚類館

2018年04月18日 10時36分09秒 | 書籍

先週イーアスつくばの中の本屋で購入してきました(このあたりでは一番の品ぞろえの本屋さん)。「小学館の図鑑Z 日本魚類館」という本。A5変形だが、大変分厚く読みごたえがある一冊である。

この6900円の本の購入に簡単に踏み切れたのは、まずほかの方からもお聞きしていたのだが、1.ヨシノボリの混乱の解消、2.サケビクニンのコンプレックスの掲載、の二つである。1.は千葉県産の某ヨシノボリと滋賀県産の某ヨシノボリのふたつが消滅し、トウヨシノボリの名称が復活していた。2.についてはトゲビクニンとアオビクニンが復活したが、復活して以降日本語で読める最初の図鑑になったかもしれない。

ほかにも学名についても最新の知見が見られる。特にエイ類で顕著で、これは日本魚類学会の「シノニム・学名の変更」でも触れられているが、個人的にはウシエイがこれほど広い範囲に生息しているとか、ホシエイが南半球にも生息しているとは思わなかった。そのほかにもいくつかの学名が変更されていたりする。ソウシハギの解説文に「温暖化の影響」というマスコミによるお馴染みのワーソが掲載されておらず、安心して読める本となっている。

ただしこれほどまでに分厚い本であっても収録されている種数は1417種にとどまる。膨大な量の解説や各部位の写真のため仕方がないところもあるのかもしれないが。日本にも大量に分布するスズメダイの仲間の収録種数が少ない(わずか4ページ)なのは残念だ。それでもこの本をおすすめしない理由はない。ちょっとお値段は高めだが。

次回はこの本に掲載されていた、あるスズキ目の魚の話を(亜目まで書いたらばれそうだ)。

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シロカサゴ

2018年04月16日 09時14分14秒 | 魚紹介

本の記事はまた今度。今回はナンヨウキンメとともにいただいた魚類のご紹介。スズキ目・フサカサゴ科・シロカサゴ属のシロカサゴ。シロカサゴはこのぶろぐで紹介するのはこれが2回目。前回の記事はこちら

シロカサゴはフサカサゴ科ではなく独自の科Setarchidaeにされることもある。日本産魚類検索の第二版ではフサカサゴ科の中にフサカサゴ亜科のほか、メバル亜科、ハチ亜科、シロカサゴ亜科、ミノカサゴ亜科、ヒメキチジ亜科、キチジ亜科、ヒレナガカサゴ亜科を含めてきたが、第三版ではフサカサゴ科にはフサカサゴ亜科のほかにはシロカサゴ亜科とミノカサゴ亜科が残り、他は現在は独立した科として扱われている。カサゴの仲間は概ね海底に生息しているが、このシロカサゴ亜科のメンバーであるクロカサゴなどは大きな胸鰭を使って中層を泳いでいるのだという。

背鰭棘数は11~13棘で、鰭棘には毒があり刺されると痛むことがある。取り扱いには注意しなければならない。底生動物などを捕食しているとみられるが、今回の個体は胃が反転しており、胃内容物を確認することはできなかった。

同じ属のアカカサゴとの見分け方は以前このぶろぐでも紹介していたと思うけれど再度UP。以下の特徴で見分けることができる。

シロカサゴの頭部。前鰓蓋にある棘のうち2番目の棘が1・3番目の棘よりも極端に短いということはない。

一方こちらはアカカサゴの頭部。前鰓蓋部の2番目の棘が1・3番目の棘よりも極端に短いのが特徴である。ただしこの棘の長さについては色々な段階のものがあり、これだけでこの2種を同定することができるのかという声もある。色彩的にはアカカサゴは赤色であるが、シロカサゴのほうは紫をおびた赤色という感じに思える。ただし冷凍などしてしまうと見分けるのは困難になってしまう。生息水深はどちらも100~1000mほどで、どちらも200m以深に多く見られる。ただし個人的にはシロカサゴのほうが深場に多いように思える。2009年の沖合底曳網ではシロカサゴの成魚は1匹しかみられず、ほかは幼魚であった。一方アカカサゴは数多く見られた。

●シロカサゴを食す

食味については前回のナンヨウキンメと同様、多くの図鑑で不味とdisられている(例えば北隆館「原色魚類大圖鑑」など、同書396頁のシロカサゴの項目で「不味」との記述がみられる)シロカサゴであるが、今回は食してみることに。

前回のナンヨウキンメの中骨を含むほかの魚と一緒に煮つけで食べることに。皿の上の方にある大きな赤い魚がそれである。なお我が家ではめったなことでは魚の頭が食卓にのぼることはない。肝心な味についてはかなり美味であった。

こちらはおそらくシロカサゴの卵と思われるもの。シロカサゴの繁殖様式はよく知られていないが、卵生ではないかと思われる。このシロカサゴもナンヨウキンメと同じく長崎 印束商店の石田拓治さんから。いつもありがとうございます。

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ナンヨウキンメ

2018年04月12日 15時40分29秒 | 魚紹介

すみません、前回の更新から時間がたってしまいました。もう4月も半ばになります。その間に最近の魚や古書の話も少ししようかと思ったのですが、とりあえず明日は古書の話でもしようかな、と思っています。

最近とても面白い魚をいただいた。キンメダイ目・キンメダイ科のナンヨウキンメの幼魚である。魚類図鑑のナンヨウキンメとは大きく見た目が異なるため、驚いた人も多いだろう。しかしキンメダイの仲間は幼魚のうち、背鰭の鰭条がよく伸びているのだ。しかしこの個体は驚くべきことに、体長20cmを超えている。こんなものなんだろうか?

ナンヨウキンメの頭部には大きくて顕著な棘があるのが特徴的である。某長谷川さんは頭部の背面を見ただけで本種とわかった。さすがである。魚を極めるのであれば、たくさんの魚を触ってみなければならない。私も魚をもっとよく見て理解したい。

フウセンキンメ

キンメダイ属は世界でも3種がしられているのみ。ほかのキンメダイ属魚類とは背鰭の鰭条数や体高などにより区別することができる。この写真の個体はフウセンキンメという別種である。フウセンキンメの幼魚については情報をほとんど持っていないが、フウセンキンメでは背鰭の鰭条が伸びるなんてことはないのだろうか。それとももっと小さい個体にはあるのか。この個体は全長18cmほどであり、上のナンヨウキンメよりも小さい個体である。

残念ながら巷にあふれる魚図鑑のほとんどにおいてナンヨウキンメの食味はキンメダイに劣る、とされている。しかし今回食した刺身はこの評価を覆すべきだと思った。キンメダイの刺身とほとんど変わらず美味しくいただける。

皮の色彩もキンメダイとほとんど変わらず美しい。しかし、もしこの色彩を楽しみたいというのであれば、面倒であっても皮を残すように調理するようにしたいところである。

キンメダイ科といえば煮物であるが、これらも美味しかった。ただし小型個体ということで煮つけにしたのは一部のみである。上の魚はまた別の魚であり、これはまた近いうちに紹介したい。今回ナンヨウキンメを食したことで、キンメダイ属3種、そして日本産キンメダイ科魚類4種すべてを食することができた。長崎県 印束商店 石田拓治さん、いつもありがとうございます。

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