百聞百見

ふじもと百男の政治活動日記

鎮守の杜で

2008年07月08日 06時55分13秒 | インポート

 Photo             歴史ブログ「ふるさと加東の歴史再発見」7月7日付に「稲尾の虫送り」を紹介した。写真には薄暗くなった稲尾の集落の田の中の一本道を進む実盛人形と幟、松明を持って進む行列を掲載した。虫送りの行事のようすについては歴史ブログを覗いていただくとして、この百聞百閒では、虫送りの行事で感じたこと、考えたことを書きとどめておきたい。

 虫送りの行事は初めての体験だった。西の五峰山に夕日が沈む頃、八幡神社の境内には地区の老若男女が集まり、虫送りの行事が始まった。神社は鎮守の杜とよぶにピッタリの森Photo_2にあり、本殿と拝殿の前には空がぽっかりと空いたほどよい広場になっている。ここに人々が集まり、和気藹々とした雰囲気に包まれて行事が進められる。だんだんと薄暗くなるにつれて真上の空だけが明るさを残し、夕日が朱に染まると一瞬にして照明がついたかのようにパアーっと明るくなる。鎮守の杜ならではの幻想的な空間が現出する一瞬だった。

 稲尾では6年前から途絶えていた「虫送り」の行事を復活し、地域おこしのきっかけにしようと取り組みがなされてきた。地域の崩壊、地域力の衰退といった言葉で表現されるように、地域に元気がなくなり住民同士の関係も希薄になっているなか、地域の再生がこうした伝統行事の復活という地区住民の共同作業によって実現しつつあるということを実感した。何より力強さを感じたのは、伝統行事が鎮守の杜を起点に行われていることだった。

 村の存立の原点たる場所すなわち鎮守の杜に住民が集い、村の歴史を語り合うなかでお互いの絆を再確認し、さらに伝統文化の復活という新たな時代の文化創造を共に知恵と汗を流しながら取り組むことで連帯感が深まり自分たちの村への自信や誇りも高まる。これが地域の元気再生の源になる。各地区でさまざまな取り組みがなされているなか、伝統行事の復活による地域元気再生の典型だと思った。

 


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