連休最後の7日(日)、兵庫教育大学(加東市下久米)の講堂で23年度加東市高齢者大学の開講式が行われた。今年も約500人の意欲に満ちた受講生の皆さんが講堂を埋めた。
開講式では、主催者の加東市を代表して安田市長が挨拶を述べた。市長は東日本大震災に対する加東市の救援活動を詳しく報告し、これからも市民の心を届ける活動を行っていくと述べた。私も来賓として祝辞を述べさせてもらった。連休中の加東市を舞台に繰り広げられた伝統のまつりや新しい交流イベントなどがこれからの文化創造の力強い基盤となるとの実感を得たこととともに、この高齢者大学での学びこそ「ゆとり学習」であり、よき学びの縁を大切にしながら元気に活動されることをお祈りして祝辞とした。
その後、記念講演が行われた。講師は曹洞宗安泰寺(新温泉町)住職のネルケ無方師。ドイツ生まれで、高校生の頃から坐禅に関心を抱き参禅。大学でも哲学、日本学を学びながら坐禅を続け、卒業後は日本へ。京都大学大学院に留学中に。実践の道を選び、僧侶になる。そうした自己の体験を語りながら、安泰寺での自給自足的な生活をスライドで紹介し、人間にとって大切なのは「心の主食」すなわち、人生の、生き方のバックボーン、基盤となるものと強調された。日本人はどうも米食よりおかずをたくさん食べる生活になれてしまい、すなわち、主食が曖昧になっている、拠り所が曖昧ではないか、という指摘がなされた。それにしても、坐禅をステージで実践して見せていただいたが、その姿勢、形の美しさに感激した。スライドで沢木興道師の坐禅姿を見せてもらったが、実は学生時代に「禅」に関心をもって沢木師の名もずいぶんと聞いていたのでうれしい気持ちだった。
日本人のバックボーン。連休の間に行われた加東市の伝統行事。数百年の歴史をもち、地域の先人がこれを大切にしながら継承してきた。まさにそこに文化継承、文化創造の基盤がある。そこに加東市の文化的な豊かさがあることにあらためて気付かされた。